松川行雄の相場先読み
1万8500円から1万9000円辺りが
日経平均のターゲット

松川行雄 増田経済研究所

増田経済研究所では「黄金銘柄リスト」として仮想ポートフォリオを組んでいる。
同ポートフォリオでは10月8日寄り付きで全面撤退した後、15日に投資再開した。
(なお2月以来のパフォーマンスは+76.3%だった。この間の日経平均は+9.7%)

10月8日に株式投資から全面撤退した直接的な基準は、米国のダウ輸送株指数が、50日・100日移動平均線を一気に、割り込み直近安値更新をしたことが根拠だった。
逆に、10月15日に投資再開し打診買いを始めたのも、同指数が14日から反転上昇し、長期的なトレンドラインである200日線を奪回したためであった。
ちなみに日経平均の安値は10月17日である。

写真 2014-11-05 14 19 01

世界の株式市場で、最も先行的なダウ輸送株指数は、その後、10月28日に史上高値を更新した。ダウ輸送株指数が新値を取れば、その他の主要指数は追随すると考えてよい。
事実、10月30日には、その他主要米国株価指数もすべての主要移動平均線を突破。翌31日には、ダウ工業株、S&P500、ナスダックいずれも、史上高値更新となった。

10月30日までは、2つのシナリオを考えていた。
一つは、9月高値を突破できれば、東京市場は二番底の可能性がなくなるというシナリオ。
もう一つが9月高値を突破できずに、打ち返されれば、8月安値を割るかどうか試されるという、いわゆる二番底の確認作業に陥るシナリオだった。

9月高値更新で上昇トレンドが確定

実際には、31日金曜日に、日銀が実弾で資産買い入れ額の質・量・期間ともに引き上げる判断をしたことで、一気に日経平均は9月高値を更新した。これで、二番底を探るような下げが発生する可能性はなくなった。

今後も、つど、下げがあるだろうが、それは単なる一般調整・ガス抜きでしかない。上昇トレンドが確定した。これからについては、11~12月にヘッジファンドが東京市場で買い仕掛けをするかどうかが注目になる。

BNPパリバ、ソシエテジェネラルなど、典型的な裁定業者の手口からは、ここもとの戻り相場で、先物でのまとまった売りが目立つ。逆に言えば、現物をそれだけ積み上げてきているということ。
次の一手は、当然、下落局面と反対に、先物の買い仕掛けにより、現物の上昇を誘う裁定買いの動きが鮮明になるはず。

一方、米国市場は、FRB(米連邦準備制度理事会)が量的緩和を終了した今、利上げへと政策を大きく転換するまでに、一度本格的な調整があると考えておくべき。
そのタイミングは来年1月から3月になりそうだ。

日本で言う信用残(信用債務)に当たるマージンデットが9月の段階でも、まだ記録的な水準であり、解消が始まっていない。過去のパターンからは、このマージンデットのピークから、4~6カ月で大天井を打っている。

今年9月を最後の最高水準とすれば、調整が訪れる4~6カ月後とは来年の1月から3月となる。
早ければ、年末年始という米国株式市場が好需給である時期の後、つまり、1月中旬から2月前半であろうと推察される。もし、10月もまだマージンデットが高水準であるとしたら、米国株式の本格調整時期もさらに後ズレし、2月から3月頃ということになる。

このように、来年初頭から春先までに懸念される米国市場の本格調整までは、基本的に相場は上昇トレンドが持続すると考える。

 ドル・円の水準だけでいうと2万円超えもおかしくないが

高騰した日米市場だから、来週にかけて、押し目があって当然だ。

年初来、東京市場は毎月、第1週の米雇用統計前後まで高く、第2週の日本のSQ前後まで弱いという傾向が繰り返されている。
この月間アノマリーから考えれば、7日(金)の米雇用統計発表から、来週のマイナーSQまでの間が一番可能性が高い。

6日には欧州中央銀行(ECB)の理事会がある。日銀に置き去りにされるか、それとも汽車に乗り遅れまいと政策判断をしてくるか。米国中間選挙もある。
この過程で発生する短期的な利益確定、押し場は、そこから年末年始の米国市場の好需給環境を経過するまで、かなり過熱したブル相場に突入する可能性がある。

なお、増田経済研究所では、現状のポートフォリオを、この短期的な押し場を狙う想定をしている。
日銀の果断な政策発動で、軒並み金利敏感株が高騰したが、持続性があるかどうかは疑問が多い。あくまで個別銘柄のスクリーニングに基づき、ポートフォリオ構成銘柄の入れ替えを随時する予定だ。

来年初頭に発生するリスクが高い本格調整だが、それまでの日経平均は、ドル・円の水準でほぼ高値が決まってくる。
昨年までのパラメーターを使えば、すでにドル・円は110円を突破しているので、日経平均は2万2000円まで上昇してもおかしくないはず。

しかし、問題は円安の最大の根拠である米10年国債利回り(米長期金利)が、まだ2.3%台だということ。これは整合性がつかない。
本来、現状のドル・円の水準からいえば、米長期金利は3%を突破していなければならない。
だが、欧州経済のデフレ入りや落ち込み、ユーロ下落の続行などで米国債需要が引き続くことなどを考えると、米長期金利は2.7~2.8%辺りまでと推測される。

米長期金利がドル・円の水準にまで追いついてこない場合、日経平均のターゲットは1万8500円から1万9000円辺りと想定される。
つまり、小泉内閣時代の高値を突破するかどうかが、試される相場になりそうだ。

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