映画「スター・ウオーズ/フォースの覚醒」と「隠し砦の三悪人」とアベノミクス

二つともご存じの映画史に残る名作。私を含めてワクワクしながら次の「STAR WARS/フォースの覚醒」の上映を待っている向きも多かろう。

黒沢監督が世界に影響を与えたのは皆が知っている。あのR2―D2とC1―3POが「隠し砦の三悪人」の太平と又七がモデルであることは有名。ついでにジョージ・ルーカスが黒沢監督にその件で怒られるんじゃないかと思っていたら、あっさりと笑って許した、というのも広く知られている。

あの武将六郎太(三船敏郎)が手綱を持たずに刀を振りかざし、快速で馬上から三騎の敵を切り捨てるシーン。

また最後に近く。六郎太、姫、それに「裏切り、御免!」兵衛の三頭の馬が一気に早川領に走り下りる。あの爽快感、開放感。北海道の美幌峠で撮ったそうだが、名場面だと思う。

私は今回のスター・ウォーズは2回観るつもりで19日と20日の2回予約した。別に中学生の孫娘に2枚やったし予約状況をみるとほぼ満席。1枚がやっとだった。

「隠し砦―」は他国に占領され、生き残った姫と軍用金を三人の男が守り抜いて同盟国に逃げる物語。次から次へと難問が降りかかる。

ヘッジファンドの先物買い

世界中見回すと不安材料、難問だらけ。中国の経済減速は何でもありの金融緩和と自動車取得税ゼロで目先はしのいでいるが、あと何年かで共産党独裁はダメになろう。内線か難民か。

ドイツはVWとドイツ銀行問題。「第二のリーマン」という声も。

また原油安、資源安で新興国から消費国に2・5兆ドルの所得移転が起きつつある。世界全体ではゼロサムだが、急激な価格低下のマイナス効果が先行。どの資源国が先にアウトになるか分からない。

ところが、産油国の国営ファンドの日本株売りが終わったところで、どうもグローバルマクロ戦略で運用している大手ヘッジファンドの大量な先物買いが先週から発生した。

ヘッジファンドは先週も書いたが買うために売り、売るために買う。これはアテにならない。

しかしメリル・リンチのグローバルなファンドマネジャーの動向調査だと日本株の比重で11月は28%で前月比5%の大幅上昇。早速手を廻して聞いてみると「旧いアベノミクスの方の『第三の矢』の成長戦略を評価している」との声が聞こえてきた。

これは捨て置けない。意外性があるし、現物買いにつながるからだ。

旧・第三の矢、岩盤規制に風穴

たしかに、国家戦略特区をうまく使って、安倍政権は岩盤規制に風穴を開けつつある。

浜田内閣参与が第一の矢はA、第二の矢はB。しかし第三の矢はE。ABEという有名なジョークを飛ばしたが、竹中平蔵さんが「ドイツの例から見ると、成長戦略は7年から10年かかります」とたしなめたら浜田さんは言わなくなった、とか。

去年のダボス会議で安倍さんは「2年のうちは岩盤規制を特区を使って何とかします」と公約した。確かに昨年1月からスタートした戦略特区は次第に効果が出始めた。例えば農業への企業による参入は農協が猛烈に抵抗していた。しかし兵庫県養父(やぶ)市には11社が参入し愛知県常滑市が第2号。

また36年間大学医学部がつくれなかったが千葉県成田市に。家事支援の外国人労働者は神奈川県と大阪。

一方「コンセッション」つまり公共機関が所有権を持ちながら民間に運営権を売却、委託するのも始まった。仙台空港のコンセッションには140社が参加し東急電鉄と前田建設、次は関空。

インバウンドでは博多港の入国管理手続きの民間委託も検討されている。何しろ一日5000人も入港し150台のバスが待機、入国手続きに三時間もかかる、とか。

ヘッジファンドが作る押し目は買いのチャンス

次の二月のダボス会議で安倍さんが成果をご披露。対日認識が改まる―ー。これをウォール街は期待しているに違いない。

長々と述べたが、私の見方は変わらない。押し目をヘッジファンドがつくってくれれば、買いのチャンスだ。

 

「隠し砦―」の六郎太は山名側に捕えられ護送されて打ち首になる前夜、姫に耐え難い苦難を掛けたことを詫びる。姫に「楽しかった!この数日の楽しさは城の中では味わえぬ。装わぬ人の世を、人の美しさを、人の醜さをこの目でしかと見た」と六郎太に礼を言う。これが田所兵衛の裏切りと救出劇につながる。一見ダメだダメだと文句をつけられているアベノミクス・ワンだが高い評価も。固定観念でモノを見ないことだ。

 

ついでにトリビアを。ダース・ベイダーの兜は伊達政宗のを大体そのまま使ったそうな。へええ。

 

映画「スター・ウオーズ/フォースの覚醒」と「隠し砦の三悪人」とアベノミクス(第802回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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