年金の利回り、いったいいくら?

公開日: : 最終更新日:2016/05/02 ゼロから学ぶ投資 ,

金融リテラシー講座 「金利計算、利回り計算のやり方」9回

フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明生

第2回目に出題した4つの問題の中からいよいよ最後の第4問について考えてみましょう。
第4問はつぎのような問題です。

第4問 毎月1万4,000円の掛け金で40年間(480ヶ月)掛け、その後年金(年額)80万円が10年間貰える確定年金があるとします。さて、この年金商品、利回りはいったいいくらでしょうか?

前回は利回りから債券単価を求める問題でしたが、この問題も基本的には同じです。ただし、今回は単価から利回りを求める問題です。そして、もうひとつ前回に比べ厄介なのは、前回は将来受取るキャッシュフローだけが複数年に別れていましたが、今回は支払うキャッシュフローも複数年に別れていることです。
この問題では、支払うキャッシュフローが40年間に渡り、受取るキャッシュフローが10年間に渡ります。問題になっているこの年金商品の利回りとは、支払うキャッシュフローの合計と受取るキャッシュフローの合計を等価値とする利回り(割引率)のことです。

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表面上のキャッシュフローを確認しますと、支払い合計は、14,000円×12×40=6,720,000円、受取る合計は、800,000円×10=8,000,000円です。支払い額と受取り額を等価値にするのが利回りです。しかし、どうやって利回りを計算するのでしょうか?

ヒントは、「利回り(割引率)を使えば、異時間のお金を同じテーブルに乗せることができる」ことです。同じテーブルに乗せる場合のルールはつぎのようになります。
①基準時より過去のキャッシュフローは、利回りにより基準時までの時間分、複利計算により増やす。
②基準時より将来のキャッシュフローは、利回りにより基準時までの時間分、複利計算により割引く。

そして、基準時はどこにおいても正しく計算できます。第4問では、基準時をこれから掛け金を開始する時点、つまり0年(A)に置いても良いですし、掛け金を掛け終わり年金支給が開始される前、つまり40年後(B)においても良いです。あるいは、年金支給がすべて終了した50年後(C)に基準時を置いてもかまいません。(その他任意のところに置けます。)

Aの場合、すべてのキャッシュフローは時間分複利により割り引きます。Bの場合、掛け金は時間分複利により増やし、年金は時間分複利により割引きます。Cの場合はすべてのキャッシュフローを時間分複利により増やします。

さて具体的に計算してみたいと思いますが、第4問の内容をつぎのように修正します。
掛け金は年払いとして、年1回168,000円(=14,000円×12)を掛ける。それを現時点(0年)から39年後まで40回掛け、41年後から年1回800,000円年金が50年後まで10回貰えることとします。最後の掛け金を支払った後ちょうど2年後に最初の年金が受け取れることとします。

つぎに計算の基準時ですが、40年後とします。これは最後の掛け金が終了した1年後であり最初の年金が貰える1年前の時点です。現時点(0年)から40年後を基準時にすると計算のイメージが一番理解できると思います。

基準時(40年後)から見ると掛け金すなわち支払いキャッシュフローはすべて過去のものですから各キャッシュフローを時間分複利で増やします。
掛け金合計の基準時での価値をK(掛け金)とし、利回りをrとしますと、

kinyuinoue20160502-01

右辺の一番左の項は最初に払った掛け金を表しており、利回りで40乗して増やしています。右辺一番右の項は最後に払った掛け金を表しており、基準時から見れば1年前ですから利回り1年分増やしています。

つぎに、受取る年金合計の基準時での価値をN(年金)とすると

kinyuinoue20160502-02

受取る年金は基準時から見るとすべて将来のキャッシュフローですから時間分割引きます。右辺一番左の項は最初に受取る年金です。これは基準時から見ると1年後に受取りますから利回りで1回だけ割引きます。右辺一番右の項は最後に受取る年金で基準時から見ると10年後ですから、利回りを10乗して割引きます。

そして、K=N となるrを求めればよいことになります。といってもrに適当な数字を入れ、K=Nとなるrを探すことになりますから計算を何度も繰り返す必要があります。
KやNを求める式は等比数列になっていますので、上記の式はもっと短い式にできます。Nについては前回やった債券の単価を求める式(前回の式⑤)で元本が無くクーポンだけにした式と同じです。Kにつても同様に短い式にできます。その上で近似値を求める計算を繰り返すことになります。エクセルの表計算を使えばできますから、次回までにやってみてください。

(次回につづく)

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