【初・中級者向き】 映画「グランド・イリュージョン見破られたトリック」とトランプと中国

公開日: : 最終更新日:2016/08/05 マーケットEye ,

 

 2016・7・31

グランドイリュージョン

一昨年、世界的ヒットとなったマジック映画の続編。不正な儲けを権力者から盗み取り弱者たちに分配する。まあ義賊マジシャンの四人組「ホースメン」の物語だ。もちろん見せ場は奇想天外なマジック・ショー。まあお気軽に気晴らしするには格好の作品だ。

ある悪徳ソフトウエア会社の新製品発表会をホースメンがハイジャックして悪だくみを暴くはずが、逆に作戦を読まれて4人が捕まってしまう。そこで「科学にマジックが勝てるはずがない」というカタキ役のエンジニア(ハリポタのダニエル・ラドクリフ)に世界中のコンピュータにアクセス可能なチップを盗め、と4人は脅迫される。盗みに成功した後、取り返すシーンが見せ場になっている。

トランプの乱暴演説

米国の共和・民主両党の党大会が終わった。私は深夜目をこすりながら観ていたが、世評通り・トランプの乱暴ともいえる演説ぶりに驚いた。

たとえば警官が黒人に射殺されている事件では“Blue Lives Matter”つまり警官の安全第一を繰り返し、黒人側が主張する“Black Lives Matter”に対抗する立場をとった。

白人、低学歴、低収入の労働者を中心に1500万票を獲得したトランプだが、民主党から1000万票が流れるとして、大統領になるには6000万票必要だから、あと3500万。黒人、女性、ヒスパニックを敵に回して、どんなマジックを使ってあと3500万票をとるつもりだろうか。

世論調査ではわずかにトランプはヒラリーを上回る支持率。しかし「好感を持っていない(Unfavarable)がトランプ59%とヒラリーより高い。私は先日の英国離脱の件があるので世論調査不信。カケの方がまだヒラリー有利なのを信じたい。日本人としては。

トランプが中国にやさしい理由

というのはトランプはバカに中韓露にやさしいため。中国の南シナ海の傍若無人の行動へは“Not Very Good”。本気で言ってるのかしら。

事情通に聞くと、バブル時代にトランプは日本の長銀から400億円借り入れ、その後バブル破裂で返済を強要され、倒産。その恨みからアンチジャパンになった、とか。

だから中国の方はシメシメと考えているのだろう。

元外交官の情報によると、最近の日中間は「もう対話とか説得の段階ではない。」しかも尖閣について「中国は本気」。

始めは接続水域どまり。しかし最近中国軍艦による領海侵犯侵入に“進化”し明らかに中国は「ゲームチェンジつまり新局面に入っている」、と。

問題は海自と中国海軍クラスの軍事行動でなく、海上保安庁クラス同士の領土占有の戦いになった場合。中国側100隻に対し日本側は47隻と劣勢だ。

権力空白期の9、10月は要注意

ただ全く別のソースに私が確かめたのは、トランプが大統領になっても、米国防総省とくに海軍は中国が日本を押さえ込むことは許さない。

理由は佐世保と横須賀にある原子力空母を手入れできる乾ドック。何ヵ月か航海すると船体にカキがつく。太平洋では日本の軍港がなくなるとたとえばシアトルに帰国しなければならない。つまり太平洋全部の制海権は中国のものになってしまう。現時点でトランプは海軍からの進講を開いていないので、この事実を知らない。知ったら、発言がどう変わるか。

しかし、9,10月の米国権力の空白期で習近平がトランプ有利と読んだら、何が起きるか分からない。

私はこの中国リスクとヘリマネと関係あると思う。ヘッジファンドがさあヘリマネ、やるぞと騒いだ7月29日、日銀はほどほどの追加緩和に止めた。ヘリマネは法改正を伴うし、何が起きるか分からない時期。余力を残したのだろう。代わりに円高。月曜の8月1日の相場は少々心配だ。1円の円高で日経平均200円下がるから。

ただ8月2日の27兆円の財投出動、3回の内閣改造でどの位持ち直すか。映画ではまさかのどんでん返しがあるが、現実はやっぱり厳しいんだろうなあ。

 

映画では主人公アトラスが演じるイリュージョンが魅せる。「降っている雨を空中で止めてご覧に入れます」「次は下から上に雨を動かして見せます」。ネタは降雨の機械と照明で広場の観衆をダマしていた。超能力ではなかった。私は中国共産党政権もトランプも世間さまをダマしていると考えているのだが。

映画「グランド・イリュージョン見破られたトリック」とトランプと中国 (第837回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ
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