金融商品を買う前に数字をチェックしていますか?
金融リテラシー講座、開講します。
金融リテラシー講座「投資のための財務分析」第1回
フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明生
このシリーズは、投資に必要な基礎知識を伝授するものです。
われわれは、日頃モノを買う時、いろいろ数字をチェックします。例えば、冷蔵庫を買う時は、デザイン、使い勝手なども考慮します。冷凍、冷蔵それぞれの容量、電気の消費量、外形の大きさ、それに当然ながら冷蔵庫の値段といった、いろんな数字を確認します。
値段がもっと安く、日常頻繁に買うものでも数字をチェックします。ヨーグルトを買う時なら、何グラム入っており、カロリーが幾らで、たんぱく質や脂肪は何%か、といった数字です。トイレットペーパー、牛肉、カップ麺など、たった数百円のものを買う時でも、いろいろと数字をチェックするはずです。
ところが金融商品に投資する際は、何十万円、何百万円あるいは1,000万円といった額で投資する際に、ヨーグルトを買うほどにも数字をチェックしていない、ということはありませんか。
例えばブラジル・レアル建て債券に投資する際、ブラジルの金利水準、ブラジルのインフレ率、GDP成長率、経常収支、そういった数字をどれだけの人がチェックするでしょうか。
金融商品への投資は、直感だけでやっても運良く(長期的に見れば運悪く)成功することがあります。しかし、いつまでも直感だけでやっていると、長期の集計で見ると必ず負けます。
投資にあたってのリテラシーつまりは基礎的な知識は、金利、会計、経済の数字を読み取る力です。このシリーズ、最終的にどこまで行くことができるか今はわかりませんが、最初に財務分析からシリーズをスタートしたいと思っています。
投資はタイミングより財務分析
さて皆さん、「株式投資に成功するのは、値上がりそうな銘柄を人より先に見つけ、それに投資することだ」と思っていませんか? はっきり言って、これが最初の大きな間違いです。この考え方で長年株式投資を行っても絶対成功しません。それは保証します!
投資で成功するには、株式や社債などの投資物件の価値を推定し、価値に対し取引価格が十分に安いものに投資することです。
株式の価値を正しく評価するには、その会社が開示している決算書ほかの数値を読み取り、分析するしかありません。有名企業であるとか、学生の就職で人気があるとか、あるいは本社ビルが立派とか、製品が洗練されているとか、そういったことは基本的には株式の価値と関係ありません。われわれ投資家は、無味乾燥の数字から株式の価値を推測するしかないのです。
ところが個人投資家の多くは、決算書を見るということをせずに株式投資を行っています。株式投資を何十年もやっているが、決算書などただの一度も見たことがない、という方は案外多いです。
個人投資家だけではなく、運用の専門家であっても財務分析に必ずしも時間を割いていません。財務分析より投資タイミングに重きを置いているプロの投資家が多いのです。
「決算書を見て面倒くさい分析などやりたくないから、いろんなレポートを読んでいるのであって、今さら財務分析などやりたくない」という人は多いかもしれません。
たしかに、自分では判断できないから、有料、無料の各種レポートを読んだり、このメルマガを利用しているはずです。しかし、どうでしょうか。人から勧められた銘柄であっても自分で得心を持って投資すべきではないでしょうか。
株式投資においては、昨年2013年のように何に投資しても儲かるような場面もあれば、非常に厳しい場面もあります。幸運と不運は同じくらいの頻度で現れます。チャンスもあればピンチもあり、ピンチは得てして投資チャンスであります。
激しく環境が変化するマーケットにあって冷静に行動できるのは、自分なりに数字の裏付けを持っているからではないでしょうか。チャンスに行動できるのは、単に誰かに勧められたかどうかではなく、自分なりに分析でき、自分なりに納得したからではないでしょうか。
いずれにしても今これを読んでおられる貴方は、金融リテラシー講座に付き合おうと思っている方のはずですから、次回以降、挫折せずにどうぞお付き合いください。
第2回金融リテラシー講座 あなたは何問正解できますか?投資の基礎教養をはかる10のテスト
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