【初・中級者向き】映画「ゴッドファーザーと三部作」とトランプとヘリマネー(第844回)

 

2017・2・5

ご存知のフランシス・フォード・コッポラの三部作。原作はマリオ・プーゾで第一作は1972年、2年目に「PARTⅡ」さらに16年たって「PARTⅲ」。物語は20世紀初頭から80年あまりの大河ドラマだ。

物語はマフィアの抗争史だが、イタリア人の一族の愛の絆は強い。マーロン・ブランドが長男に言う。「家族を大事にしないヤツは男じゃない」。そのドンが射たれて重傷を負うが、三男のマイケル(アル・パチーノ)が病院で父を守り、黒幕の二人の男を射殺し復讐する。このシーンや、赤ん坊の洗礼の時に手下を使って有力マフィアの親分を皆殺しにするシーンなど。映画としての盛り上がり迫力十分な見せ場になっている。

父は子にしきりと教訓を垂れる。「一番親しいものを疑え」「『オレのシマで手打ちをする』。というのが一番危ない。そいつが裏切り者だ」。

トランプは防衛費の増額を求めた

国防長官来日で、日米安保の確認が行われ、マスコミは「ひと安心」ムードが拡まっている。尖閣やら「北」の核やらで心配の種は多かったから、やはりトランプになっても米国は頼れる同盟相手だという安心感が大きいのだろう。ただし、私は安倍=マティス会談で99%、トランプ氏の伝言の「防衛費の増額」が伝えられたと思う。GDPの1%というカベはこれまでも米国の一部では批判の対象だった。

トランプ氏は欧州NATO加盟国が応分の責任を果たしていないと批判し続けてきた。NATO加盟国はGDPの2%の防衛費支出が目標だが、達成している国は英国、ポーランド、エストニアなど。中核の独、仏も2%以下である。

三日のABCテレビでマティス国防長官は「日本に駐留費増額は要求しない」と述べていたが、防衛費(つまり米国製兵器の輸入額を含む)のワクは別だろう。米軍駐留費は7600億円で54%が日本負担。100%負担でも3500億円増に過ぎない。しかしGDPの1%増は5兆円。ケタがちがう。

消費税繰り延べと財政ファイナンス

当然のことながら、財源をどうする、という大問題になるが、米国は連邦税としての付加価値税(消費税)は輸入品に有利、として1960年代以来反対の立場だ。とくに新商務長官ウィルパー・ロス氏は従前から消費税反対の立場をつづけている。

トランプ氏自身もメキシコ叩きの中で「メキシコは16%の付加価値税があり、米国で販売されるメキシコ品は無税だが、米国製品はメキシコで16%課税される。長い間放置された欠陥協定だ」と述べている。

 

では、日本はどうするか。

浜田宏一内閣参与の招へいで、プリンストン大のC・シムズ教授が来日。同氏は拡張型財政政策、消費税繰り延べまたは廃案を主張している。

またほんの数週前に、ジョージ・ソロス氏と元英FSA長官が官邸を訪問した。今後の防衛予算増、国土強靭化計画などのために、財政ファイナンスを行う意志があるかどうか、確認に来たのではないか。

高橋財政を研究すべし

恐らく年後半の総選挙前には防衛予算も財源もマル秘だろうが、戦前の高橋財政の勉強をこのブログの読者におすすめしておきたい。要するに一番大事な実例は歴史にあるということだ。だから、世界中が恐慌になっても、資産デフレを卒業した日本だけは打撃は軽く「独り勝ち」となる。私の確信だ。

注目している業種・銘柄は「中長期ならいいものへの投資は必ず報いられる」と、どうぞ皆さんに確診していただきたい。そうはいかない向きはロスカットを15%とか20%と決めておくことも重要だ。

映画のセリフから。

PARTⅢで大親分になっているマイケルが甥にいろいろ教訓を垂れる。「目をよく開いてみる。口を開くんじゃない」。「敵を憎むな。判断が鈍る。」「政治と犯罪は一つのコインのオモテとウラだ」。

へええ、そうなのか。

映画「ゴッドファーザーと三部作」とトランプとヘリマネー(第844回

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