【初・中級者向き】 映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦

2017・4・16

24歳で交通事故死、三本の映画しか残さなかったジェームス・ディーンの主演二作目。私もこの「永遠の青春スター」には熱を上げたものだ。

1955年の作品で舞台はLA。17歳の高校生ジムが主人公。番長のバズから度胸を競う決闘を強いられた。チキン・ランと呼ばれるレース。ガケに向かってぎりぎりまで車を走らせ、早く飛び降りた方が臆病者(チキン)として負けになる。バズは車から抜け出しそこなって転落死してしまう。

ジムは警察への密告を恐れたグループにつけ狙われ、警察で知り合った問題児プレイトーとジュディと三人で廃屋に隠れる。プレイトーは襲ってきた少年に発砲し一人を倒してしまう。

半狂乱のプレイトーはプラネタリウムに逃げ込み警官隊に包囲される。ジムがなだめてピストルの弾丸を抜くがプレイトーは銃を手にして――。

「エデンの東」では厳格な父に愛されなくて反抗する少年を演じたが、この「理由なき反抗」では、物分かりがよくご都合主義の父に反発してジムは無軌道な行為に走る。

監督はニコラス・レイ。ジェームス・ディーンの個性が主人公と同じく「受け入れられたいという欲望と、受け入れられることに対する恐怖心」にあるのに注目して起用したとか。

米朝チキン・レース

いまトランプ政権と金正恩とでチキン・レースをやっている。「本当にアメリカは「北」を攻撃するのでしょうか?」とか「日本へのミサイル攻撃は?」とかの質問を受けるようになった。TVも週刊誌も「北」のことを取り上げるようになった。森友だのマオちゃんばかりの時期とは変わってきた。ようやく1か月前から私が指摘してきた「キムチ・ショック」を市場が認識し始めた。円高と株価、長期金利安、金価格上昇、みな騒ぎを織り込んでの動きだ。

私は昨年12月17日の米国務省ダニエル・ラッセル次官補の来日時の報告を聞いたとき4・5月にトランプ政権が、金正恩斬首作戦をやる可能性が2,3割あると考えた。そこで正月の「びっくり予想」の第一に挙げた。ダニエル・ラッセル氏は、トランプ時代になって次官補クラスが全員首になっている中ただ一人留任した北朝鮮専門家である。
①トランプ政権はオバマ時代より踏み込んだ政策をとる②金正恩が暴発する前に片付け、その後米・中・露の三か国信託統治する③ポスト金正恩に現在チェコ大使、金平日。(この金平日は金日成の後妻の金聖愛の子で金正日の異母弟。1994年の核危機の折、カーター米元大統領と金日成の会談に同席し後継者とみられていたが、直後金日成が急死し金正日が継いだといういきさつがある)④日本の役割は「北」の再建資金の供給。1965年の日韓国交正常化の時に無償3億ドル有償2億ドル、現在の貨幣価値だと1兆円と少しに当たる。「北」の核やサリンやVXの心配がなくなる代金と考えれば安いものだろう。

米中チキン・レース

ただし、別の見方、つまりチキン・レースをしているのは米対中であって、習近平に「北」への食料、石油の禁輸をさせるかどうか。チキン・ランのガケはシリア攻撃をやってみせたり、大幅関税だったり、あるいはカール・ビンソンだったりー。党大会で再選を狙う習近平は、ケシかけられてもレースに乗ろうとしない。いや出来ない。

ところが14日付の人民日報系の環球時報は「核実験を放棄すれば、政権を保証する」という社説を掲載した。つまり、今月や来月の話じゃない。

鉄鉱石と銅が急落する不思議

私はこれだけ地政学リスクが言われても、鉄鉱石と銅の価格が急落していることに、注目している。鉄鉱石は3月16日のトン88ドルから70ドル台前半まで、銅は3か月ぶりの安値降更新だ。本来なら軍事需要で上伸するはずが、オカシイ。

「北」へのオドシはうっかりすると朝鮮戦争ネクストになりかねないが、習近平が石油を禁輸すれば金正恩政権は自壊する。その前に対北の制裁の対象を中国企業と中国人に拡大して「いずれ」という回答が習→トランプに近く行われる。しなければこの話は来年遅くとも4月。

今回攻撃の確率を三割としたのは、4月15日と25日の金日成記念、軍創立記念日に外国マスコミを大量に呼んで攻撃させないという苦肉の策。

韓国大統領が北の走狗の文在寅氏になれば熟柿が落ちるように金正恩の勝ちになるので、恐らく安氏になるように工作が行われる。4月30日説は、まずない。また中東での内戦に米国がひっかかっている限り、対中、対北に注力することはできない。習近平の米国への読みは、対北の制裁が今できなければ、中東はソコソコで年内にカタチをつけ、その後北への攻撃を行う。口実は「北」の核実験だろう。1年も核開発を休めば金正恩は失脚する。

この間、日本は。長嶺大使の帰任理由に「邦人保護に万全を期する」とあったのが目を引く。旅行者を含め5万7000人いる邦人の数をできるだけ減らすのに全力をかたむけるだろう。何しろ金正恩もトランプも普通の常識で考えられる理性的な人間ではないからだ。

映画のセリフから。ジムが父に言う。「男であることを示さなければならないときに、父さんは何ができるんだい?」マッチョが好きなアメリカ人はトランプの支持を上げ、議員の中で反対ばかりしていた人が何人もシリア攻撃を支持した。

まあ間違ってもゴールデンウィークに韓国に観光旅行なんかしない方がいい。確率は三割あるんだし、外務省も「注意」としている。

映画「理由なき反抗」と金正恩の斬首作戦(第854回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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