【初・中級者向き】映画「アトミック・ブロンド」と中国党大会人事と「北」制圧

2017・10・29

「007」のジェームス・ボンド、「ミッション・インポシブル」のイーサン・ハントなど男性スターが独占してきたスパイ・アクションのジャンルに、シャーリーズ・セロンが挑戦した。私は彼女のファンで「マッドマックス 怒りのデス・ロード」の女戦士フユリオサ役なんて凄かった。今回の「アトミック」・ブロンド」は主役だけでなく製作にも加わった。

 

主役ロレーンは英国秘密情報部M16に所属。KGBに奪われた世界中で暗躍するスパイのリストを取り返し、同時にM16内部の二重スパイを見つけて殺害するミッションを受け持たされる。時期は1989年、ベルリンの壁が崩壊する前後で、KGB、M16だけでなくシュタージ(東独)、CIA(米)DGSA(仏)などの諜報機関が入り乱れて闘う。

 

シャーリーズ・セロンの見せ場は7分間のアクション・シーン。ワンカットでソ連側の刺客8人と格闘して倒す。私は大いに楽しんだ。

株価上昇に押し目なし

ご存知の16連騰のあと10月25日は一日下がったが、27日には2万2008円に上昇した。私は以前から、2万1000円までは売買高は厚く、ここを突破したら2万8000円近くまで真空地帯。上昇ピッチは速く、押し目待ちに押し目はないことと見た。これまでの展開は予想通り。

 

また株価が5ケタの値がさ株を狙うのが、投資作戦としてはベストなこと。決してバブルではないことを強調してきた。そこで注目しているのが2万2684円である。

 

1989年12月29日の歴史的高値3万8915円87銭。当時私は警告を発し、イールド・スプレッドという指標から、市場でいわれている4万円だの5万円はトンデモない、2万円も怪しいと週刊東洋経済に書き、米ビジネス・ウィーク誌から「東京のビッグ・ベア」と評された。

 

その後日経平均は20年間下落し、2009年3月10日に7054円98銭。これが最安値となった。

この1万5930円もの20年間の下げ続けた相場が漸くアベノミクスの成功で回復し、これまで重かった天井を抜いているのだが、「半値戻しは全値戻し」という経験則の半値戻しが前記した2万2684円。そこで私は気が早いこと百も承知で言うが、目標値「3万円以上」といい続けている。

北有事の

さて、本題に入ろう。「北朝鮮有事近し」と桜井よしこさんは政府中枢と自民党幹部を取材して①米軍の攻撃は今年末から明年早々②米軍の攻撃は二日で完了するという情報を紹介しておられる(週刊新潮10月26日号)。

 

私には違う情報ソースが、制裁強化で「北」にとって過去と比較にならない大被害をもたらし、和平交渉に応じる可能性がある、と。

北への制裁強化と和平交渉シナリオ

理由は次の通り。今回の中国共産党大会でチャイナセブンから外されたメンバーに「北」擁護派の三人が含まれていた。これで中国の対北朝鮮経済制裁に拍車がかかる。

 

三人がパージされることが決まった北戴河会議の直後から習近平政権は「トンネル貿易」を禁止した。これは中国から「北」に素材を輸出し、縫製したりして製品とし、再度中国に輸入して「中国製」として世界に輸出する、というもの。中国企業1200社が2000億円以上、このビジネスをやっていた。その分、北朝鮮の輸出は減る。

 

また9月1日以降はジェット燃料の輸出を全面禁止。11月以降さらに対「北」経済制裁の強化を始め、ロシアからの物資も海上臨検で不可能。そこに原油を中国が送っていたのを恐らく止めるので、来年には燃料不足で和平交渉に応じる。これがティラーソン米国務長官の読みで、日本の外務省に入っている情報だ、という。まあ、いつ攻撃するかを言うはずがないけれども。

 

私は「鴨緑江に向かって中国が六車線の高速道路を建設中」という情報に注目している。攻撃用に決まっている。

 

二日間で北朝鮮を落とせるというマティス国防長官の作戦は、米国が空中を押さえ、地上は中国に任せるという役割分担なら理解できる。

 

昨年12月、まだ金正男が生きているころ、米国務省の高官でトランプ大統領がただ一人、クビにしなかった人が、北朝鮮を米中露で分割統治、日本は統合されたユナイテッド・コリアに再建資金を出すという案を持ってきている。ロシアの参加?と首を傾げたら、中国に日本海の軍港を管理させないため、という説明だった。「北の核にビクビクしなくてすむから、日本の資金提供は安いものでしょう」と言ったとか。

11月中旬までに2万2684円

まあ、どう展開するにしても11月中旬ぐらいまではコワーい動きはなく、日本株は日によって一高一低あっても上昇基調が続くだろう。好決算が株価の支えになり、安倍政権の長期安定を好感した外国人投資家が買うだろう。オイルマネーの売りは懸念されるが、日本株はすでにほとんど売り切っていると私は見ている。

 

結論。今週から来週に「半値戻し」が達成されるだろう。「もう」はまだなり、である。

 

映画のセリフから。ロレーンは一夜を共にしたフランスの女スパイが「こんなイヤな商売止めたい」と嘆くのを聞いていう。「詩人にでもなったら」。複雑なパワーゲームを読むのは難しい。私にわかっているのは、東京株式市場が重かった天井値を突破して進撃が始まっていることだ。

 

 

映画「アトミック・ブロンド」と中国党大会人事と「北」制圧(第883回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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