【初・中級者向き】映画「マスカレード・ホテル」とジワジワ迫る今年の買い場

東野圭吾作品の映画化は多いが、私は「ガリレオ」シリーズの福山雅治、「新参者」シリーズの阿部寛が適役だったので、この「マスカレード」シリーズがだれを主役にするのか関心があった。ところがパンフレットを見たら、東野氏は主役の新田警部補に木村拓哉を想定していた。なるほど、私は長沢まさみも適役と思う。

「マスカレード」とは仮面舞踏会の意味だが、ホテルに来る人は本当の自分の顔の上に面をかぶっているという意味もあろう。映画は主役の2人のほかに山ほど腕っこきが出ているので、演技合戦も楽しい。とくに笹野高史、松たか子がうまかった。

都内で起きた三件の殺人事件。すべての現場に残された数字の羅列から、警察は予告殺人を防止するため、想定される犯行現場である高級ホテルのコルテシアに警官を配備することにした。あとは全く手掛かりのない犯人を待つしかない。そこで主人公の新田警部補(木村拓哉)はホテルマンに化け、経験はさほどないがフロントとして優秀な山岸(長沢まさみ)が、教育指導にあたる。

いつかは必ず発生するが、目先は根拠の乏しい状況―それが現在世界が落ち込みかけている「新冷戦不況」だろう。1月の「アップル・ショック」とか日本電産永守会長の「尋常ならざる、私の46年の経験からみても初めて」という販売の落ち込みなど「証拠」は出ているが、一部のエコノミストにはまだ「中国のせいではない」というあきれた楽観論もある。

飛んでもない、と私は考える。

2019年は米中覇権争いの第2年だ。

抗争が激化することは、まあ間違いない。一時的には休戦状態がおきることはああっても、グローバルなプラットフォーマー企業(アップルはその代表)は新冷戦により、ピーク時の利益の数分の一、あるいは赤字になるくらいまで業績悪化が起きるだろう。「アップル・ショック」は今後何回も発生するに違いない。

アップルは双日総研の吉崎達彦さんによると「米国で設計し、中国で製造して、全世界で販売する“いいとこ取り”のグローバリズムの申し子」だ。GAFAと呼ばれるほかのハイテクも同じ。要するにITバブル崩壊の再来、とわたくしは考えている。あの時も人気銘柄は惨憺たる減益が続いた。

再びアップルの部品供給会社を上位200社の配置で見る。①台湾45②日本43③米国42④中国36.中国の部品供給は斬られるから、中期ではゼロになるだろう。逆に日本には配分が増える可能性もあるが、目先の1,2年は対アップルのサプライヤーは注文激減に苦しむに違いない。

当然、企業業績は悪化する。2018年10~12月期の最終利益は金融を除く全業種で23・8%減、うち製造業は32・7%もの減益となっている。2020年3月期の上半期の企業収益の折り込みにかかる春先の株価は、今、来週に下落。今年の安値を付けると予測している。昨年12月25日の1万9155円近くと予想している。ダブル底で形がよい。

早ければ6月、遅ければ9月から今度はこの21年3月期の企業収益を織り込みに入るが、ここで消費税引き上げがあれば、前記した底値を割り込んで、世の中の大騒ぎで「百年に一度」という見出しが出るに違いない。

そこで私が以前から予想している永久債が具体化への第一歩を踏み出し、日経平均3万円への道が開かれる―というのが私のシナリオだ。

では、何を底値で狙ったらいいのか。私ならETFの日経ブルを狙うが。内需中心の優良銘柄でもいいだろう。

映画のセリフから。新田がバスローブを理由にホテルから金をおどしとろうとした男を見抜いていう。「人を疑うのがオレたちの仕事です。ダテに目付きが悪いわけじゃない」。プロはダテにプロじゃないんです。

(第950回)19・2・11

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