映画「杉原千畝」と2016年に発生するサプライズ

むずかしい名前だが、スギハラチウネと読む。第二次大戦中、外務省リトアニア領事として、6千人ものユダヤ人の命を救うビザを発行。「日本のシンドラー」と呼ばれている人物の名だ。彼が救ったユダヤ人と関係者たちの子孫は4万人いて世界中で活躍、日本の外交力を支えているといわれる。

主演唐沢寿明、その妻は小雪。日本映画だが監督は「サイドウエイズ」のチェリン・グラッグ。ストーリーの展開がキビキビしていてお涙頂戴型の割に人道主義映画になっていないところがいい。出来もいいのでおすすめだ。

 

センポと呼ばれる主人公は単なる外交官ではなく、優秀な諜報員としての一面もあった。ナチスドイツのソ連侵攻とか、ヤルタ会談でのソ連の対日戦参加密約とか、最高級の情報を本国に送った、という。当時の最高首脳にこの情報は伝わっていなかったらしいが。センポはさぞ口惜しかったろう。

ビックリしない2016年のサプライズ10

三国同盟、ナチスの対ソ不可侵条約で日本が対米戦争に追い込まれてゆくなど、1930年代の世界は見通しのつかない混沌として状態だった。現在に共通している。

さて、今年のサプライズという今週のテーマである。

恒例のバイロン・ウィーン氏の2016テン・サプライズは

  1. 2016年米大統領選、民主党のヒラリー候補が勝利
  2. 米株は下落
  3. Fedは2015年12月利上げ後、2016年の利上げは1回のみ
  4. 海外投資家、米株の持ち株を縮小
  5. 中国はかろうじてハードランディングを回避も経済減速は免れず
  6. 難民問題でEUは再び崩壊の危機
  7. 原油は30ドル台で低迷
  8. ニューヨークやロンドンなど、高級不動産が急落
  9. 米10年債利回り2・5%以下で推移
  10. 世界経済成長率は2%増へ

ちっともビックリじゃない。

現実には年初からの①中国発世界同時株価急落②北朝鮮の水爆③サウジとイラン断交、などのビックリが続発。(②が昨年末に慰安婦問題合意を急きょ決定した真因でしょうなあ)。

私はコロンボの経済のフォーラムで7日にジョージ・ソロス氏が「中国問題こそ危機と呼んでもいい」というポジション・トークくさい発言通り、人民元の暴落と外資流出、その背景にある中国景気不振があると思う。

中国で自動車急回復

ただし、ただしである。私はスフィンクス・リサーチの藻谷俊介さんが指摘している中国を筆頭に世界の自動車生産が急速に回復していること。つれて日本の自動車メーカーも日産、スズキ以外はトヨタはじめ国内生産も上昇に転じた。最近の中国の年率生産台数は2割増の2700万台にも。この3カ月急上昇だ。

「季節調整グラフで見ないと体感できない変化で、一般にはまだ認識されていないが、いずれひろまることになろう」と藻谷さんは言う。私もそう考える。いまが2008年と考えている向きは、「2007年が今年(爛熟の年)」という氏の見方は正しいのではないか。

結論。

私は今回の世界同時株安は昨年の「夏の嵐」と同様、結果としては一過性のものとなる。私の強気に変わりはない。来週の火曜日あたりから反発だろう。月曜は買いだろう。

10の2016年トンデモ予想

今回みずほ総研の「とんでも予想2016年」をご紹介する。バイロン・ウィーン氏のよりこっちの方がずっと意外性があるし、何といってもユーモアのセンスがある。

常務チーフエコノミストの高田創さんに脱帽。

ただし、しいて穴を探すと中国経済が欠けている。むしろAIIB加盟など強い中国を前提としたサプライズが入っているのが、ハテナ?と思わせる。

  1. 米国大統領選挙で不動産王のトランプ氏が当選。米国大統領のレイムダック期での権力の空白から、世界的規模で地政学な不安が増大。各地で非常事態宣言が出される状況に
  2. 準備不足でリオ五輪開催できず。ルセフ大統領が罷免され、レアル暴落
  3. 日本(あるいは日米両国)が、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への加盟を決定。それを契機に日本企業なども参画するAIIBの融資プロジェクトも発足し、アジア等におけるインフラ投資の動きが活発化
  4. 政府がデフレ脱却を宣言。日銀は物価目標2%の達成を中長期的に目指すことに変更。債券市場が日銀金融緩和の出口を意識し長期金利は1%台まで上昇
  5. 軽減税導入事務の遅れを口実に、政府は消費税先送りを決定。日本国債がBBBに格下げ
  6. NISA非課税枠拡大、ジュニアNISA創設等で個人投資家の増加傾向は続き、80年代以来の投資ブームが到来。家計の株式・投資信託保有残高は一気に250兆円を突破。日経平均株価は1991年以来25年ぶりに25,000円台に
  7. 訪日外国人数が一気に3,000万人を突破。消費財への需要が拡大する一方、ホテルなど宿泊施設の整備が追い付かず、規制緩和で全国での民泊が可能に
  8. 女性の活躍には男性の働き方改革が必要との意識が高まり、男性の育児休業取得率が2020年20%を達成(2014年実績:2・3%)、「イクメン」が一気にトレンディドラマの中心に
  9. 仮想通貨の法令上の取り扱いが明確化され、仮想通貨の取り扱いが激増。仮想通貨による決済の普及が加速し、銀行グループもビットコインビジネスに参入
  10. リオデジャネイロ・オリンピックでの日本選手団が大活躍し、20個の金メダルを獲得(過去最高は、東京(1964)、アテネ(2004)の16個、7人制ラグビーのメダル獲得でラグビー人気がさらに高まる

 

映画のセリフから。

杉原が幼い時から教えられた言葉「ひとの世話にならぬよう。ひとの世話をするよう。そして、めぐみを求めないよう」。日本人ってすぐれた国民だと誇りに思う。

 

映画「杉原千畝」と2016年に発生するサプライズ(第808回)

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