映画「オールド」と米国のアフガン撤退で地下資源獲得し有利になった中国の落とし穴(第1078回)
スリラーの鬼才M.ナイト・シャマラン監督作品の恐らくベスト
。秘境のビーチを訪れた数人の社会的エリート家族が、逃避が出来
なくなり、異常現象に見舞われる。
その異常現象とは、30分に1年歳を取る。6歳の男の子が、アッと
いう間に青年になり、最後はヒゲだらけの五十男になる。勿論両親
は一夜のうちにボケ、老衰死。
このシチュエーションは、異常なビーチを利用して人体実験を行
った製薬会社がつくり出したもの。
要するに、トシには何人といえども敵わない、という永遠の真理
がテーマ。この間に次から次へと意外な事件が発生するので、イキ
もつけない。快作、傑作と思う。
双日総研の吉崎達彦さんは今回の米軍のアフガン撤退を「クリー
ニング」と評している。「いつか見た光景」とも。たしかにデジャ
ブ感が強い。
三菱JPモルガンスタンレー証券の藤戸則弘さんは、「アフガニス
タンの戦後復興を先取りする中国」と題して中国を賞賛している。
内容を簡略にご紹介しよう。
「中国商務部の資料によるとアフガンの資源は石炭4億ドル、鉄鉱
石100億ドル、銅・金・モリブデン3000万トン。他にも天然ガス、
石油が埋蔵している。」
「とくに注目されるのが、リチウム、ベリリウム、パラジウムな
どのレアメタル。正確な量は不明だが、ニューヨークタイムスによ
ると、1兆ドルの資源の上に暮らす貧者、だそうだ。
藤戸さんはこの説の終わりに「戦後の商売を念頭に外交を展開す
る中国の戦略には感歎を禁じ得ない」と評している。
このほか、時事通信コメントライナーには、「ラオスが中国の属
国に」というと大げさだが、それに近い経済支配下に置かれている
と報じられている。
前記した吉崎さんも「米国が失った同盟の信頼を取り戻すのは容
易でない」としている。
以上のべることをまとめると、何となく中国の判定勝ちになりそ
うだ。
しかし、この「オールド」のテーマ通り、中国といえどもやはり
トシには勝てない。
経済産業研究所の藤和彦さんによると「中国は豊かになる前に老
いる」
永い間の一人っ子政策のツケで、人口構成がアンバランス。先進
国は高齢社会となった時点では一人当たりのGDPの2万ドルをはる
かに上回っていた。しかし現在の中国は1万ドル程度。にもかかわ
らず「2025年までの5年間に66才以上の高齢者は3億人をこえる(中
国民政部)」
全人口に占める比率が14%を超えると高齢社会だが、来年、中国
のそれは15%以上に達する。2060年には26%。(ちなみに2050年
の米国は22%で日本は2020年にすでに28%である。)
藤さんはこの分析の結果をこうしめくくった。
「今後10年のうちに米国を越え世界一の経済大国となるとされて
いる中国だが、内外からの圧力の高まりで一瞬のうちに瓦解してし
まうリスクが高まっているように思えてならない。」
やはり国もトシには勝てないのだろうか。
なお東洋経済新報社の株式ウィークリーの9月早々の号に「米国市
場を斬る!」「来年まで上昇、秋口の『ドカ』に注意」という山川
清弘編集長との対談のまとめが刊行されます。
ご期待ください!
なお、最後に三人のテクニカルアナリスト達にお礼を申し述べる
。いちよし証券の高橋幸洋さん、マネースクエアの宮田直彦さん、
プラザ投資顧問の伊東秀広さん。それぞれのお立場から適格にこの
上げ相場を予測したお三人様に感謝!
私はこの三人のおかげで、8月20日で底値がついた、これから上昇
、と私のボイスメッセージで断言できた。その通りになったことは
歴史が証明する。
再び感謝!!
関連記事
-
-
映画「杉原千畝」と2016年に発生するサプライズ
むずかしい名前だが、スギハラチウネと読む。第二次大戦中、外務省リトアニア領事として、6千人ものユダヤ
-
-
映画「セッション」と来週の「植木屋の地震」
今井澂・国際エコノミスト映画「セッション」は、若冠28歳の監督の傑作と呼び声が高いので観に行ったが、評判
-
-
トルストイ「戦争と平和」とポスト・コロナ新時代とジョージ・ソロス氏の新しい提案 2020・4・26 (第1009回
トルストイが36歳から40歳まで書きつづけた大長編。サマセット・モームは 「あらゆる小説の中でもっ
-
-
映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と対露戦略で人為的に下げさせられた原油価格。同盟国としての日本に投げかけられた美味しいエサと重荷 (第1129回)
1900年前の「三国志」つまり魏・呉・蜀の物語は誰も知っている。権謀術数に満ち満ちたストーリーは誰
-
-
秀吉の鳥取城兵糧攻めと食料価格の上昇の今後。それに米国の債務上限問題。2023・2・26 (第1161回)
443年前のこの戦いは、空前の餓死者を出したことで知られる。城内に数多くの農民の追い込み、事前に高