あなたの外国株投資は店頭取引?委託取引?
ある男性の憤怒【上】
公開日:
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最終更新日:2016/06/30
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ジャイコミ編集部
証券会社が個人投資家向けの外国株取引を拡大しているという。
4月20日の日本経済新聞は「外国株 身近に」との大見出しで、大手各社がセミナー開催やリポート発行、取り扱い銘柄増など営業に力を入れている様子を伝える。「世界的な株価上昇で拡大する個人の分散投資ニーズに応える」というが、外国株投資にはこの記事では触れていない落とし穴がある。ある男性がジャイコミ編集部に自身の経験を赤裸裸に語ってくれた。
東幹久似の精悍な顔立ちの男性は50代半ば。個人で事業を営んでいるといい、話しぶりも堂々として抑揚がついている。
「ところで手数料ってどうなっているの?」
それまで投資とは接点がなかった男性が投信を購入したのは2009年のことだった。銀行から熱心な勧誘を受け、事業で得た資金で投資信託を購入。これで利益を得た。各社からさまざまな勧誘を受けるようになる。外国株投資を勧めてきたのは、そのうちの1社だった。仮に「赤井証券」としよう。「外国株は上がり方のケタが違う」「うちは外国証券を買収したので詳しい」ー―このような売り文句での営業に押され、グーグルなどの3,4の銘柄を取引するが、それほど利益は上がらないまま口座は休眠状態となった。
赤井証券から再びアプローチがあったのは、2014年6月。担当が変わったと挨拶に来た営業マンが外国株を勧めてきた。そこから10銘柄ほどを売買する。イェルブ、ロックウッド、ワークディといった銘柄。1銘柄に全額を投資するスタイルだった。全部売却し、また別の1銘柄に全額投資。銘柄選定や売買のタイミングは営業マンの勧めるままだった。1700万円から2500万円まで増えて「大したもんだなぁ」とほめた。
だが、10月になって、2500万円をピークに下がり始めたとき、「あなたのことを信用していたので、いままで聞かなかったけど、手数料のこと話そうか」と切り出した。株価上昇で資産が増えているときはよかったが、徐々に減り始めたので手数料が気になり始めたのだという。そうすると、それまでの担当者が「忽然と消え」、課長に選手交代となった。そして「以前からお話したかったんです」。
課長は家に来ると録音機を置いて男性の話を聞き、「社に持ち帰り、検討してお答えします」と去った。
「毎回、二択で示さなければ成績が下がります」
疑念が膨らんだ男性は、取引のあった別の大手証券の営業マンに尋ねた。すると思いもよらない答えがかえってきた。
「外国株取引には委託取引と店頭取引があります。店頭取引には手数料の概念が確かにありません。でも、営業マンは二つの選択肢とその中身を顧客に伝えなければなりません。聞いていないんですか?うちの会社では電話で売買する時にも毎回、委託か店頭か、二択で示すよう命じられています。それを言っていないと総務部から指摘を受けて成績が下がるんです」
男性は最初に外国株取引を始めたときも、再開した時も、店頭取引と委託取引について何か説明を受けた覚えはない。この2つの言葉自体、このとき始めて耳にしたという。ところが、知らないうちに、店頭取引を選択したことになっていたのだ。
外国株ならではの取引方法
ここで外国株の2つの取引方法について説明しておこう。
委託取引とは、証券会社が顧客の売買注文を海外の証券取引所に取り次ぐ方式。売買価格に手数料が上乗せされるところは国内株式と変わらない。手数料は明示されており1%前後だ。
一方、店頭取引とは、証券会社と顧客との相対取引。証券会社が購入した外国株を、顧客との間で売買する形だ。売買価格は証券会社が決める。実際の外国株の値動きをもとに、顧客に提示する。手数料は売買価格に含まれており、開示されていないが委託取引より高いとみられる。
委託取引の場合、指値の注文を出せるものの、成行注文の場合は注文を入れた時の想定と約定価格が大きく異なることもある。時差があるためだ。米国市場の取引時間は日本だと夜にあたる。注文から約定までの間に為替も動く。
店頭取引では、これら価格変動や為替のリスクを避け、決まった価格で取引できるのは確かにメリットといえる。だが、それはコスト=手数料と比較して、顧客が判断することだ。
「そんなの聞いてねぇ!」
男性は2つの取引の名前も、違いも知らないまま、手数料の高い店頭取引で外国株投資を行っていたことに激しい憤りを抱き、行動を開始する。
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