ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」と 中国の台湾侵攻そして目先の相場見通し(第1067回)
「現代のモーツァルト」と称賛されているアンドリュー・ロイド・ウェーバーの出世作。私はNYと東京、それに映画でも観た。
「私はどう愛していいか分からない」の美しいメロディーは、ご存知の向きも多かろう。「ミュージカル」としたが、現実のこの作品はセリフがなく、音楽だけ。まあ「ロックオペラ」の方が近いだろう。
では、なんでこの作品をこのブログにとり上げたのか。 このロックオペラは、キリストの最後の七日間を取り上げた。誰でも知っているテーマだ。解釈の方がきわめて新鮮だ。
使徒のひとりのイスカリオテのユダ。この人は次の二つの視点をもつ。
まずイエス・キリスト。ユダはこのイエスが教団主導者がもつべき計画性に全く欠け、聖者としての名声にあぐらをかいている、と考えた。
次はユダの危機感だ。イエスに対する期待が大きすぎるため、ローマ軍支配下にあるユダヤ人を危機におとしかねない。こうしてユダはイエスを売り渡す。
ここまで書けば、賢明なる読者方はおわかりだろう。習近平中国共産党総書記の心中は誰も判らない。
しかし、後述する中国の軍事能力の急拡大と、中国首脳部の思い上がり、加えて法整備もあって、台湾進攻準備が進んでいる、と世界がおびえている。
まず中国の軍事能力。約1万人だった海兵隊を3万人に。潜水艦も56隻から2022年最大80隻にする。ちなみに米海軍の方は現在71隻に過ぎない。
海軍艦艇数も中国は350隻。米国は293隻。これでは米国側はあせるはずだ。
中国首脳部の「好戦的外交」への転換は重大な意味をもつ。
鄧小平から江沢民、胡錦涛時代は、実力がないように見せかけ、また「遠交近攻」でバランスを取っていた。
これがご存知の通り、習近平時代に一変する。外交官たちは激しい挑発的言動をくり返すようになる。一言で言えば「頭が高くなった」
去る3月18日の米中アラスカ会談で、中国側の言いたい放題が、報道されているのもご存知だろう。米国を近く抜くとまで言った。
台湾進攻への法整備は完成に近い。改正国防法と海警法。
このために、私が愛読している夕刊フジが連日のように台湾進攻の危機説をうったえている。
加えて私が敬愛するビジネスパートナーのSAIL代表の大井幸子さんは、最近の「ヘッジファンド ニュースレター 5月29日付」で次のように情勢を伝えてくれた。
「このところ鉄鋼製品が軒並み値上がりしている(4~6割)。
「海上封鎖」のせいだと(大井さんの知人)は話している。
4月に米国陸軍が台湾入り。「戦争前の値上がり」とみられる、と。
この結果、大井さんは「仮説」としながらも「夏の熱い頃に熱い戦争が起こる」と結論づけた。
私はこの見方は、中期的には正しいが、時期は先と考える。
理由は北京五輪。習近平は自分のレガシー作りには五輪成功が必要なので、これが終わるまではやるまい。そういえばプーチンのクリミア半島の武力併合もソチ五輪のあとだった。私は少なくとも年内のドンパチはない、と観測している。
では目先の相場はどうか。
フィナンシャル・テクノロジー・リサーチの箱田啓一さんは6月中旬を買い場とする。目標はマネースクエアの宮田直彦さんは目先は3万1400円が高値
2万7500円が安値。しかし中期的には「年内3万4千円も視野に」とする。私は両方とも賛成。
結論。私は強気だ。
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