映画「第三の男」と不死鳥のようなトランプ氏の再選。そして安倍さんの復活(第1102回)

映画史上の名作中の名作。高校2年の時に観た時の感激は忘れない。

チターの弦をタイトルに使ってスタート。第三の男が登場する瞬間、下水道での追跡の迫力。そして紅葉の落ちる並木道を、

アリダ・ヴァリが画面手前から歩いて来て、画面から切れて去ってゆくラストシーン。

どのシーンも美しく、音楽がまた素晴らしい。

人間関係はこうだ。

初めに登場する人物はホリー・マーチンス(ジョセフ・コットン)で、友人のハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)に呼ばれて

ウィーンにやって来る。ところがライムが死んだといわれて葬式に行き、そこで美しい女性と出会う。これがアリダ・ヴァリでハリーの恋人。

 ライムは極悪人で、ペニシリンを病院から横流しさせ、水で薄めて売り、巨利を得ていた。ウィーンを占領している英国軍など

から追求され、病院の看護師を殺して自分と見せかけて誤魔化そうとしていた。

 この映画に私の旧知の英国の友人は、「真面目だが間が抜けた二流の人物と、悪人だが魅力的な本物のオトコと、女はどっち

をとるか」の映画だ、と言った。そうかもしれない。

 今回このコラムに前大統領 ドナルド・トランプ氏を取り上げたのは、米国の政治情勢がますます「トランプ化」しているからだ。

 「Washington watch(2022年2月6日号)」によると、今年の米国の中間選挙の運動資金は、共和党全国委員会(RNC)が5600万

ドルを用意したのに対し、トランプ氏の資金は1億2200万ドル。

 マッカーシー下院共和党院内総務と、マクダニエルRNC委員長は、このトランプマネーを使って党勢拡大を図ろうとしている。

 では、具体的にどんな行動をとるのか。

 反トランプ議員を落選させるため、予備選挙で対抗馬を擁立、支援する。(これは州知事でも同じ。)

 成果はどうか。ほぼ確実にバイデン民主党は中間選挙で負ける。無党派層の2割が共和党支持に向っている。バイデン大統領の

支持率の急落はご存知の通り。

 一方、日本の方はどうか。

 公明党と自民党との選挙協力体制に、「暗雲が垂れ込めている」(時事通信政治部長 松山隆氏)

 公明党が提案する相互推薦とは、全国に32ある改選一人区で自民候補を推薦。

 一方、複数区である埼玉・神奈川・愛知・兵庫・福岡の選挙区で自民側の支援を得る、というものだ。

 成果はどうか。2019年には公明党が選挙区で全勝。自民党は一人区を22勝10敗で乗り切った。しかし今回は、公明党、

創価学会の支援がなければ当選はおぼつかない議官がかなりいる(前出 時事通信社政治部長)。

 やはり岸田退陣の公算は前より高まっているのではないか。となれば、最後は安倍さんの再登場。先日もお会いするチャンスが

あったが、元気そのもの。何とも頼もしく思った。

 映画のセリフから、ライムがいう。

 「ボルジア家の圧政で人民は苦しんだが、優れた芸術家たちが続出、ルネサンスを生んだ。しかしスイスは500年の平和

と民主主義をエンジョイした。しかし、何を生んだ? 鳩時計だよ。」

 では日本株の見通しはどうか。

 プラザ投資顧問室の伊東秀広さんは、「3月10日近辺まで高い。目標値は2万9200円でヘッジファンドの踏みが入ると、

3万円到達もありうる。」と。

結論、私は強気だ。

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