続映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と中国のバブル破裂によるダメージの大きさ、対中依存のリスク。それにゴールデン・クロス(第1130回)

前回に引き続いて、中国経済の苦境を述べる。

チャート1に示した通り、つい12年前には2桁だった実質GDP伸び率は、2022年第2四半期でたった0.4%。恐らく現実はマイナス成長だったのだろう。

グラフ, 折れ線グラフ

自動的に生成された説明

当然、失業率は高い。中国全体の都市の失率は5%台。しかし6月の16〜24歳の若年層の失業者は19.3%、5人に1人である。

経済成長の減速のひとつの理由は「清零」。つまりゼロコロナのために、エリア住民を徹底的に隔離していた。

もうひとつは、不動産需要が減速し、業界のキャッシュフローに問題が生じていることである。

中国の不動産業界はGDPの30%(建材や家具などを含めた)を占める。

モトがタダの州有地の定期借地権を払い、デベロッパーはマンションを建設する。個人は5%の住宅ローンを借りて、建設途中の定期借地権付きの物件を購入する。

不動産価格が右肩上がりなら、全く問題はないが、チャート1の示す通りの低成長入りで物件をデベロッパーが完成できない例が多発する。自転車操業が停止したのである。

東京財団政策研究所の首席研究員の柯隆さんは「中国版サブプライム危機の可能性」まで指摘している。(金融財政ビジネス8月18日号)

柯隆さんは「問題が発生しているのは河南省の複数の農村銀行である。預金者は自分の預金をおろすことが出来なくなった」とも述べている。

グラフ

自動的に生成された説明

さて、日本経済への中国依存度の高さがあらためて懸念される。

中国への輸入依存度が50%以上を占める。集中的供給材を見ると、アメリカ59品目、ドイツ250品目に対し、わが国は1133品目。特に医療用マスクは90%超、医療用ガウンは80%超である。

新聞やTVは相変わらず中国礼賛だが、柯隆さんの云う通りになったら___

この秋の中国は5年に一度の党大会が開かれる。習首席は3期目の続投を目指しているが、状況は極めて多難である。何が起こっても私は驚かない。

どうしても、故安倍晋三元首相を想い出す。

この人だけが、「中露と仲良くする。同時にアメリカとはもっと仲良くする」という芸当をやってのけた。惜しまれてならない。タイミングが悪すぎる。

マスコミが「犯人は統一教会(旧)に恨みをもっていた→統一教会即「悪」。したがって付き合いのあった安倍元首相や現役の政治家も「悪」。」という論理で、国葬まで反対している。政治というものを分かつていない。私に言わせれば、バッカジャナカロカ。

(なお前回、露軍の死亡兵士の数を1万5000人としたが、実際は4万5000人だった。訂正します。

三国志の赤壁のエピソードで一番面白いのは、(いくつもあるが)孔明が霧の夜に太鼓を鳴らして曹操軍から、矢を百万本獲得する。船体はカヤでびっしり囲んで、曹操軍の矢をうばい、ご本人は一晩中飲んで笑っている。相棒の呉の魯粛はただ呆れているだけ。

最後になってしまった。日本株への私の強気をウラ付ける情報が入った。

グラフ

自動的に生成された説明

いちよし証券投資情報部の高橋幸洋さんが教えてくれた。先週末に発生したゴールデンクロス(GC)である。週足終値ベースで13週と26週の移動平均のGCが明瞭に読み取れる。

GCは過去4回存在した。平均して時期は11週間。上昇幅は8.73%である。

起点を2022年8月5日の2万8175円とすると、8.7%上昇で3万626円。最も上昇幅が大きかった例をとると2022年11月第3週日に3万2357円が目処となる。いかが?

ついでに一言。8月26日、FRBパウエル議長の発言で、1008ドルも下げた。利上げの最中の株式の上げはベアマーケツトラリーで、下げる時の幅は大きい。慌てちゃあいけない。買い場は11月に遅くともやってくる。

一方、日本株。日経平均のPERは12倍台。ここで買うと、例外なく3年後には5割儲かる、私を信じなさい。NISAでもイデコでもいい。市場と連動する投信を今買う。大チャンスが今来ている。

なお、私は昨日87歳になりました。充実した晩年です。お陰様です。感謝。感謝。

関連記事

今井澈のシネマノミクス

映画「生きる LIVING」とトランプ再選の可能 性。米企業収益悪化が抱く日米「ドカ」。 (第1167回)

映画「生きる LIVING」とトランプ再選の可能性。米企業収益悪化が抱く日米「ドカ」。 20

記事を読む

JAII副理事長 伊藤稔のコラムが、1月19日(木)の日経新聞に掲載されました

『日本経済新聞』2017年1月19日の夕刊に、日本個人投資家協会の伊藤稔副理事長がコラム『十字路』で

記事を読む

投資の羅針盤
確定拠出型企業年金への「自動加入化」を【上】

日本個人投資家協会 副理事長 岡部陽二 確定拠出型企業年金は制度導入後10年を経た。 公的年

記事を読む

伊藤稔の目
割高さはない米国株、停滞長引く日本経済

日本経済新聞2014年10月22日夕刊に日本個人投資家協会の伊藤稔副理事長がコラム「十字路」を寄稿し

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「知りすぎていた男」と想定外のリスク

2017・3・20 先々週ヒッチコックの名作を書いたら、何の因縁かBSで56年の「知り

記事を読む

PAGE TOP ↑