収益性を1期で判断できないのはなぜか?
「投資のための財務分析」総集編③
金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第26回
ここまでお届けしてきた「投資のための財務分析」の総集編として、投資の決定をどのように行うべきかを4段階のチェックポイントとしてまとめました。
会社の健康診断に問題がなければ、いよいよ会社の価値を探ります。
チェック3 収益性を知る
会社の価値を探るには収益性を見ることになります。これは1期だけではなく長期の趨勢を見ることになります。期間は最低でも過去10年は見たい感じがします。下に岡谷鋼機の過去10年の損益計算書を示します。
これを見ると、2007年~2008年に業績のピークがあり、その後リーマンショックで2010年2月期は売上高、利益とも大きく落ち込んでいます。2011年以降業績は回復してきており、前期2014年2月期は、利益的にはほぼピークに近いところまで戻しており、純利益は過去最高を更新しています。
この会社、上位取引先にトヨタや小糸製作所などの名前があり、世界的にビジネスをやっている会社への販売がかなりあることが想像できます。内需型というより、世界経済の動向が影響する会社だと思います。したがって、今後も業績の振れは予想されますが、よほどのショックがない限り、営業利益で120億円以上、経常利益で140億円以上は計上できる実力はありそうです。
利益について過去10年の平均および直近の数字から今後10年を見通すとつぎのようなものが想定できます。
ここまでの3つのチェックポイントを基に、投資に値するかどうかを考えます。
次回はいよいよ「投資のための財務分析」シリーズの最終回です。
金融リテラシー講座 第27回終 会社の値段と収益率からどう投資を判断するか? 「投資のための財務分析」総集編④
フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明生
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