こんな金融商品にご用心
実は高いクラウドファンディングのリスク
未公開株の解禁は時期尚早【上】
楠本 くに代 金融消費者問題研究所代表
クラウドファンディングとは、多数の資金提供者(=crowd〔群衆〕)から資金を調達する(ファンディング)の意味です。
企業や個人等がインターネットを通じて小口の資金を多くの人から集める手段を指しており、ビジネス等にとっては資金確保、投資者にとっては投資目的で、世界的に需要が増えているといわれています。
クラウドファンディングには、寄付型、購入型(資金の見返りに商品やサービスを提供するもの)、投資型の3つに大別されます。
今回、規制緩和の対象となったのが投資型クラウドファンディングです。
日本の投資型クラウドファンディングには①株式型と②ファンド型があります。①はクラウドファンディングを通じて出資する投資家が資金需要者である未公開企業の株式を保有する形態になり、②では株式はクラウドファンディングサービス事業者が保有し、投資家はこれに対するファンド持分を保有する形態となります。
①は未上場企業の資金調達手段として日本の法制度では実施不能、②は現在の法制度の下でも実施可能となっていましたが、金融商品取引法の改正(2014年5月30日成立、施行は1年以内)により、①は実施可能に、②は投資者保護のための法整備がなされることになりました。
国民生活センターによると、詐欺的投資に関わる相談件数は平成21年度(2009年度)の約5000件から、24年度(2012年度)には約1万6000に増加しており、公社債、未公開株、ファンド型投資商品の3つで9割を占めるということです。
2013年の消費者問題に関する10大項目の一つにも、「依然として多い投資トラブル」という項目が挙がっており、「未公開株、社債、ファンド型投資商品の投資トラブルは依然として多く、高齢者のトラブルが目立つ」と記されています。
誰に売ってもよい商品ではない
投資詐欺、特に未公開株被害が蔓延する、そして解決のめどもまだついていないこの時期に、未公開株を一般消費者に販売可能とするような法改正がなされたことに大きな驚きを感じざるを得ません。
特に、欧米と異なり、日本の消費者は株式を知らず、上場株式さえ買ったことがないというソフィスティケートされていない人々です。そのような、被害をこうむりやすい日本の消費者に未公開株を解禁することは、間違いなく新たな消費者被害の火種を造ることが、目に見えています。
クラウドファンディングは非常にリスクの高い商品です。元本がゼロになる可能性が非常に高いことについては、英国でも、米国でも、IOSCO(証券監督者国際機構。世界各国・地域の証券監督当局や証券取引所等から構成されている国際的な機関)でも、繰り返し言及しています。
したがって、クラウドファンディングは誰に売ってもよいといった商品ではありません。
英国の金融規制機関、FCA(前FSA)は、特に以下のような人たちに特別のリスクをもたらす可能性があるとしています(コンサルテーションペーパー 2013.10)
◎学習が困難な者・メンタルな問題がある者はリスクを理解する能力に限界がある
◎年金に頼って生活し、自由に処分できる収入がない者は預貯金に資産が偏り、金利が低いので高い金利を提供するところはないかと求め、多額の資金をクラウドファンディングに注ぎ込み不適正なレベルのリスクを負いやすい
◎ウェブ・ベースという性格上、若者や投資経験の乏しい投資者がリスクを理解することなくコンセプトに惹かれて参加しリスクを負いやすい
そして、FSAの時代から、消費者に警告を出しています。(次回につづく)
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