会社の”健康診断”で見るところは?
「投資のための財務分析」総集編②
金融リテラシー講座 「投資のための財務分析」第25回
ここまでお届けしてきた「投資のための財務分析」の総集編として、投資の決定をどのように行うべきかを4段階のチェックポイントとしてまとめました。
チェック2 財務内容を知る
チェック1では、会社全体の値段をみました。値段を知ったうえで、買う意味があるかどうか、会社の価値を考えますが、その前に貸借対照表のチェックを行います。
これは、言わば健康診断のようなものです。昨年ヤンキースで大活躍した田中投手は入団前に念入りに健康診断を受けました。ヤンキース球団は田中投手と契約する前に田中投手の健康診断を行ったのです。
株式投資も同じです。投資を決める前にその会社の健康診断をやるべきです。観点は肥満体でないかどうかです。
岡谷鋼機(7485)直近2期損益計算書 1株利益は調整後
同じく貸借対照表〈2014年2月末現在、単位百万円〉
診断の始めは売上高と総資産の割合です。
総資産回転率 = 売上高÷総資産 = 744,403百万円÷406,481百万円 = 1.83倍
卸売業なら総資産回転率は2倍以上ほしい感じがしますが、1.83倍はやや低いです。ただ資産内容を見ると岡谷鋼機は投資有価証券が1,000億円以上あります。これはトヨタほか取引先の株式です。金融資産(現預金と投資有価証券)を除いた総資産で見ると、
総資産(除金融資産)回転率 = 744,403百万円÷288,774百万円 = 2.58倍
2.58倍なら特に問題ありません。他に売上債権、在庫、有形固定資産の多寡もチェックします。
売上債権回転日数 = 売上債権÷売上高×365日 = 90.1日
在庫回転日数 = 在庫÷売上高×365日 = 20.3日
有形固定資産回転率 = 売上高÷有形固定資産 = 18.5倍
売上債権が90日、つまり3ヶ月滞留するのはやや長い感じはしますが異常値ではありません。これは今年2月末が休日であり、回収が一部3月にずれこんだことも影響しているかもしれません。いずれにしても岡谷鋼機の健康診断、資産の効率性チェックは特に問題ないと思います。
金融リテラシー講座 第26回 収益性を1期だけで判断できないのはなぜか?「投資のための財務分析」総集編③
フィナンシャル・アドバイス代表 井上 明生
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