【初・中級者向き】映画「ザ・シークレットマン」とNYダウと円高の行方

2018・2・24

1972年6月17日、ワシントンのウォーターゲートビルの民主党本部に、盗聴器を仕掛けようとした男たちが逮捕される。共和党ニクソン陣営は当初関与を否定していたが、大統領による事件のもみ消しや不正工作、司法妨害が次第に明らかになる。世論に押され、また弾劾決議が行われることが確実になったので、ニクソンは辞職した。これが「ウオーターゲート事件」である。

 

リーアム・ニーソン主演のこの映画は「ディープ・スロート」とよばれる情報提供者であったFBI副長官マーク・フェルトを画いている。自分が30年も務めたFBIが、ニクソン政権の腐敗に巻き込まれていくのを目撃。危険を承知で内部告発に踏み切る。

 

先週私はこのブログで「日本の国難」が平昌五輪の後に来ると主張した。2月22日(木)のワールドビジネスサテライトを見ていたら、防衛関連株の人気(細谷火工、豊和工業、重松製作)を報じた。「ブラッディ・ノーズ作戦」が第二次朝鮮戦争につながる可能性が十二分にあるという軍事専門家の意見も報じていた。市場の動きは素早い。

トランプ政権がキリモミ墜落

私はこの2週間、NYダウの急落は①トランプ政権内部の混乱②米長期金利の上昇という政治・市場の複合下落であることを指摘してきた。大幅急落の「戒名」も「トランプ暴落ワン」と名付けた。政治が絡み、簡単におさまらないことからワン、ツー、スリーとなってゆくという意味だ。

 

なぜ「政治」か。私の得た情報ではロバート・マーサー氏(大手HFルネサンス・テクノロジーのCEO)が「トランプ政権内での不測の事態」を明確な言葉で表明し、タービュランスつまりキリモミ墜落発生の危険を指摘した。同氏はトランプ支持者で、陣営への巨額の献金と自分の娘をホワイトハウスの幹部に送り込んでいる。

 

またトランプ支持のダブルライン・キャピタルのトップ・ジェフリー・ガンドラック氏も「トランプ対抗陣営(共和、民主両党にまたがる)の持久戦攻撃により、政策的行き詰まりが原因で、株価は2018年末には下げに転じる」と予測している。このガンドラックは16年早々にトランプ勝利を予言し、17年末の長期金利2・7%以上を的中させた「新債券王」である。

 

「政治」「どんな事件がキッカケになるか不明」となると、ドルは当然ながら、売られる。いまの円高は円高じゃない、ドル安である。ヘッジファンドの一部が「北朝鮮情勢が混迷すると円高で1ドル100円を切る」と言い出した。日本の金融当局との神経戦が開始されているが、105円近辺を、私は円高の上限と考えているので、ここは守り切る、とみる。日米財務当局者同士の暗黙の了解ラインだからだ。

 

結論。NYダウの方は2万6000ドル台を超える前にリスク回避の売りが出て、新高値更新は相当難しい。ドル下落は米国の外貨準備の根幹である米国債の海外投資家の売りを誘う。米国のどこかからブレーキをかける声があろう。

 

一方日本の株価の方は、PERもPBRも割安だし、昨年9月ごろの信用取引の買戻しはある。また海外投資家の長期投資ベースの投資信託、年金が安値をすかさず買ってくるのを注目している。NYはNY、日本は別、である。

 

この映画で見ていてアレレと思ったセリフは、ニクソンが辞任するTV演説の冒頭だ。「私の信条は『アメリカ・ファースト』です。」へえ、この言葉はトランプ専売じゃないのか。

 

さて、実はここまでは最近の私の主張とほとんどダブリ。何か新しいことはないの?

会談の2時間前にドタキャンした「北」の非礼に温厚な米ペンス副大統領がカンカンとなって怒っているとか。PEZYの騒ぎも東京地検の動きを見る限り、捜査は終わりだ。安倍内閣に何かとイチャモンをつける朝日や毎日が、もう騒いでいないし、野党の追及もシリつぼみ、まあ大したことのない1週間でしたな。本当は心の中ではNY発の下げが今週か来週、と思っているからあまり気が乗らない。まあこんな週もあります。来週にご期待!

 

トリビアをひとつ。「ディープ・スロート」とは当時大ヒットしたポルノ映画の題で、ノドの奥に性感帯がある、という奇想天外なもの。勿論いまでは内部告発者の意味だ。

映画「ザ・シークレットマン」とNYダウと円高の行方(第898回)

 

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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