映画「誇り高き男」とコロナ肺炎特効薬の発見と日本株二番底説の当否 (第1007回)
主演のロバート・ライアンは渋い二枚目だが、悪役も沢山演じ、とてもうまかった。もちろん正義のヒーローも演じた。この作品は黒澤明監督が選んだ100本の映画の中で、西部劇では「荒野の決闘」とこの「誇り高き男」の2本だけ選ばれたので、少々驚いた。「駅馬車」も「シェーン」も入っていない。選んだ理由として黒沢監督はライオネル・ニューマンの主題歌、ルシアン・バラードのカメラを挙げた(「夢は天才である」)。もちろん、巨匠は映画全体の出来栄えを高く評価したのだろうが。
映画のストーリーに話を戻す。ロバート・ライアンはベテラン保安官、その恋人にヴァージニア・メイヨ。色っぽかったなあ。
。保安官は町長で賭博場経営者のボスの無法ぶりに抵抗。ボスの雇った多数の殺し屋たちと対決する。
メキシコ人の殺し屋と保安官のやり取り。
「誇りは命を縮めるぞ」
「自信過剰もな」
現在の世界は、コロナ肺炎ウイルスのために、誇りも自信も失っているように見える。
しかしFDS代表の箱田啓一さんが教えてくださったのだが、有効なコロナ治療薬の利用がすでに始まっているらしい。内容をかいつまんで書くとー
トランプ大統領の最近の発言。「新型コロナウイルスに対抗するため、症状が出ている人も含め『抗マラリア薬』と『抗菌薬』の服用をすすめる」
このトランプ発言に先立って3月28日FDA(米国食品医薬品局)が、抗マラリア薬(ヒドロキクロロキン)と抗菌薬(リン酸クロロキン)の緊急使用許可を提出。
翌3月29日、HHS(米保健福祉省)が、スイスのノバルテイスからヒドロキシロキン、独のバイエルからリン酸クロロキンを大量に無償提供を受けた、と発表。
箱田さんは「症例は論文の数からみて200例以上。この二つの薬品が同時に供与されると、五日から八日でウイルスを減少らせる情報が広く欧米で共有されたのでないか」と言っている。
その証拠として、トランプ米大統領にインド首相が電話会談し、これまでインドは抗マラリア薬の輸入を禁止していたが4月7日に解禁した、と箱田さんは言う。これに加えて8,9月には米モデルナのウイルスワクチンが出てくる。もちろん我が国のアビガンも。
これらの薬品により患者に効果が出始めたら、先行きの見えない不安が払拭される。また、大不況も一時的なものであることが分かり、おのずと脱出時期も読めてくる。
そうなると、一般に流布されている「二番底説」は怪しく見えてくる。長期不況を前提にしているからだ。
先週の日経ヴェリタス4月5日号に掲載されたプロ12人の見方を見ると、11人が、1万5000円から1万7000円までの二番底を見ている。残る一人も1万3800円だから、二番底を予測しているのは全員、ということになる。中には「不可避」という向きも。
皆が皆、実体経済の悪化を予測しての二番底だが、前記のように薬効の高い処方があることが判明すれば、不況期間は短い。それなら「プロ」が予測している6月近辺には景気の底で、3月に比べて下値が大きい(価格が低い)とは考えにくい。株には先見力があるからだ。
強いて弱材料を、現在いわれているもの以外で探すと、景気刺激効果の極めて弱い「108兆円の経済対策」だろう。
私が懸念していた財務省の官僚の圧力のせいだろう。景気に直接効果のある「真水」はなんと1兆6000億円。これが外人投資家に伝わり、ガクンと来た向きは多い。
しかし、チャート上は強気のサインがある、とテクニカルアナリストは言う。
三菱UFJモルガンスタンレー証券のチーフ・テクニカルアナリストの宮田直彦さんは次の点を指摘する。
「日経平均の3月足は過去最長(2558円幅)の下ヒゲが表れており、底入れを強く暗示している」。
宮田さんは「今後1~2か月の間に二番底をつける可能性はあるものの、下落の最悪期は過ぎたと思われる」と結論付ける。
いちよし証券投資情報部の高橋幸洋さんは一目均衡表から見て、次のような見通しを発表した。
高橋さんが注目するのは週足で見て、日経平均は先週(3月30日~4月3日)の陰線を包む陽線が今週(4月6日~4月10日)に出現した。また三週前の終値1万9389円を上回って引けた。
「今後は上値抵抗線となっている転換線2万133円を上回った場合には、3月19日の安値1万6358円が当面の安値」。
やはり前記したコロナ肺炎の治療薬が出現していることが広く認知されれば、この強気が一般化するだろう。現在の不安感、焦燥感はなくなる。これは大きい。
映画のセリフから。カウボーイが多数やってきて町は賑わう。保安官とその恋人のやり取り。「人が増えれば、収入も増えるわ」「人が増えれば、トラブルも増えるんだ」。トラブル(病気)が増えれば、保安官(対策)の出番も増える。見通しさえ見えてくれば、コトはおさまるものだ。
結論。私は強気です。国難の後には新しい飛躍があるに決まっています。戦後、廃墟からの復興、オイルショックからの国力の増大、いくらでも例は挙げられる。悲観は言うのは楽だが何も生まれない。楽観はバカみたいに思われるが、最後には勝つのです。私は84年の経験から、そのことを知っています。読者の皆さんも、どうぞ元気を出してください。終わらない嵐は、ありません。
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