三島由紀夫「橋づくし」と宇宙開発と外国人機関投資家の買っている九銘柄 (第1031回)
三島由紀夫の、没後50年。先日、日生劇場で劇化上演したのを観に行った。残念ながらとんでもない愚作。同時に上演された「憂国(死なない)」はこれに輪をかけた箸にも棒にもかからない超愚作。若手の男性スター目当ての女性ファンは別として、85歳の私にとっては苦痛以外の何物でもなかった。
ただし、原作を読み返したキキメもあった。歌舞伎の道行きの趣向に感心したり、三好橋のたもとの記念碑を思い出したりー。
お話は簡単に。一流料亭の一人娘と芸者二人、おつきの女中の四人が、七つの橋を旧暦8月15日の夜に①同じ道を2回通ってはいけない②話してはいけない③話しかけられても返事をしない④橋を渡る前後にお祈りをする。以上のルールに従って願掛けをすると、願いが叶う、という言い伝えを女中以外の三人は信じている。
では、何で今回のブログにわざわざ取り上げたのと聞かれそうだ。理由は後述するが、主因はFDS代表の箱田啓一さんである。従前から9月下旬にNYダウに、大幅下げを予想、従前から「9月はダメ」説を唱えていた私が同調。私のボイスメッセージ「ウラ読み」で更なる大幅下落はなく、短期で完全な戻りはないものの、押し目は買ってしかるべき、と私は助言した。
震源地の箱田啓一さんが、9月7日と9月14日のWEBサービスで、宇宙開発の重要性を全力を込めて説き始めた。日本企業も絡んでいる、と聞いた以上、どうしてもご紹介したくなった。以下、かいつまんでー
- 月の表面には「ヘリウム3」が数百万トンあると想定されている。このヘリウム3は核融合の燃料となる物質で、1万トンあれば全人類の100年分のエネルギーをまかなうことが出来る。
- この推定を行った米ウイスコンシン大学の研究グループは採掘コスト迄試算している。当初はグラム当たり1万5300ドル、これが生産量の増大、月へのプラント機器の輸送費用の低減の効果でグラム当たり150~300ドル。
- すでに核融合事業はスタートしている。アマゾン出資の2025年の発電開始が計画中。MITからスピンオフしたCFSはビル・ゲイツから支援。京都フュージョニアリングは2019年10月に設立。
- ルクセンブルグ、国連、米国などが宇宙資源に関係する法律を作ったが、宇宙資源は発見した国に所属するとはルクセンブルク以外の条文にない、宇宙空間の領有を禁止しているのみだ。
- 日本企業とのかかわりを書く。㋑.高砂熱学工業(1969)水の電気分解装置を開発 ㋺トヨタ自動車(7203)月面走行車
以上。
では「橋づくし」との関係は?
舞台は陰暦8月15日の満月(仲秋の名月)
この日は2020年では10月1日。あと四日です。満月を見上げながらお子さんやお孫さんに「月にはスゴーい資源があってね」と一席ブツのも楽しい。
さて、お待たせいたしました。
私がなぜ9月は弱気だったか?米国はポストコロナ時代への銘柄入れ替えのために必ず入っているGAFAなどは例外として、コロナ・ショックで打撃を受けた七業種(航空、レジャーなど)は戻りを売る。
日経平均の方はSBGのMBOが、どちらかと言えば悪材視される。
以上は主に機関投資家の投資姿勢からの推論だが、やはり的中した。
この間に外国機関投資家のストラテジストたちは、新社会秩序(NEW FORM)で成長が期待される銘柄への投資を本格化させる。
案外、ウオーレン・バフェット氏の日本五大商社株の大量購入も、これにあたるかもしれない。
今後はどうか。パルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役宮島秀直さんが先日、日本証券アナリスト協会での講演会で投資作戦を言及されている。
「今や世界の投資家たちは(中略)半分以上は新社会秩序(NEW FORM)に沿った銘柄を買っていこうという動きになっている」。
具体的な日本企業の組み込みは次の通り、①カカクコム(2371)②新日本科学(2395)③デイ・―エヌ・エー(2432)。
宮島さんはIT企業の中で特に成長余地が大きい銘柄として④メデイカル・データ・ビジョン(3902)⑤チェンジ(3962)
ヘッジファンドでもロングタームで保有する企業として⑥トリケミカル研(4369)⑦ホットリング(3688)⑧NECネッツエスアイ(1973)⑨ケアネット(2150)
私は勉強のいいヒントを頂いたと思って、宮島さんに感謝している。
さて、「橋づくし」のオチを述べよう。料亭の一人娘、芸者ふたりはいろいろな事情で脱落。ノロで間抜けな女中ただ一人がお祈りを完了する。周囲の人がいくら「何を願ったの?」と聞いても、ニヤニヤして一言も話さない。
この9銘柄でいくら儲かっても、おひとりでニヤニヤしていないで、今井さんからヒントを得た、とそっと親友に漏らしてください。85歳の冥途への手土産です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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