映画「鵞鳥湖の夜」と私の「それでもトランプ」説(第1033回)
久しぶりに妻の渋い顔をヨソに有楽町まで足を延ばしてこの作品を観た。「浅田家!」の方は文庫で原作(?)を買っているのでこれから。「TENETテネット」はどうもこうも、あと一回見ないと、ストーリー自体がよくわからない。
なんでそんなにヒットしていない、それも中国映画を観たかったのか。理由はカンタン。フィルムノワールが大好きだからだ。とくに監督のデイアオ・イーナンの前作の薄氷の殺人」が良かったこともある。
ストーリーは、警官殺しで30万元の懸賞金をかけられた窃盗団の幹部の逃げ回り。本人は自分にかけられた懸賞金を妻と息子に残そうとする。そこに見知らぬ娼婦アイアイが巻き込まれ、主人公は思わぬ運命が―。
撮影地は武漢とのこと。報道にあった都市風景は全く出ず、下層庶民がひしめく集合住宅、路地、そして廃墟。この監督の映像美は凄い。それに娼婦を演じたグイ・ルンメイがいい。まあ一見に値する。
警察と仲間のはずだった窃盗団の残党と両方から追われ、男性の主人公は逃げ回る。私はこの主人公とトランプ氏と状況はよく似ていると思う。バイデンとの選挙戦の最中に、こともあろうに自分自身が新型コロナ肺炎にかかったのだから。世論は冷たく、Wパンチだ。
とくに第一回TV討論会のあとの世論調査は従来5~6%だったバイデン氏とトランプ氏の支持率格差は12%に拡大した。日本のTVでもしたり顔でもうトランプはダメでしょうなんて言う司会者もいる。
しかし、ここ数日、流れは変わったと思う。
きっかけはトランプ大統領自身の退院、それに10月7日のペンス対ハリスの副大統領候補のTV討論会だ。(この部分はパルソナス・インベストメントの宮島秀直ストラテジストのレポートによった)。
猛烈な勢いでトランプ・ツイッターを書き込み続けた効果、それにペンス効果もあってか、10月8日発表のスイングステーツ6州で―。
フロリダで3ポイント、テキサスで7、モンタナで13とトランプ支持が上昇。
一方ペンス副大統領は(勿論私も観ていた)ハリス候補よりも明瞭に器量が大きい。TV討論前に「どちらが大統領として任務に適するか」の質問に、ハリス40%、ペンス26%。これが討論後にペンス41%、ハリス38%と逆転した。
また例のラスムッセンでも、7日から9日までで3ポイント支持が好転した。
これに加えて、15日と22日。あと2回大統領候補二人のTV討論会がある。この間、バイデン氏が認知症のボロが出ずに済むか、息子と民主党幹部の中国での利権が証明されるか、またヒラリー・クリントンのロシアゲート疑惑が(今や新段階を迎えつつあるが)どう展開するか。
もうひとつ。重要なキーは10月22日だ。
この日に米FDA(食品薬品局)はすべてのTV,WEBに、ある委員会を公開する。テーマは新型コロナの開発状況だ。ダメです、なんて全国にTVを通じて言うのだろうか。その直後にトランプ候補が「対コロナ戦争勝利宣言」として、自分の治癒を語り、ワクチンの国民全部への投与を公約する。
これは私の夢ではない。ウオール・ストリートの友人たちが以前から言っていた「オクトーバー・サプライズ」である。私はバイデンになるとまた日本叩きと中国優遇であると思う。勿論表面上はやらないが、中国がソンになることは避ける。その分日本がワリを食う。
映画の終わりに「ブンガワン ソロ」の歌がある。昔インドネシアに行ったとき、あの川を見たが、印象に残っている。大自然と同じように、また川の流れが穏やかな時もあれば暴力をふるうこともある。うっかりすると、大昔のように、日本人が中国共産党首脳をあがめることだってある。どうしても米中覇権戦争は、アメリカに勝ってもらわないと、日本はメチャメチャになる。米民主党政権、特にクリントン時代には日本がどういう扱いを受けたか、思い出してほしい。
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