映画「ワンス・ア・タイム・イン・ハリウッド」と内閣改造後の積極財政への転換

レオナルド・ディカプリオとブラピ、クエンティン・タランティーノ監督の組み合わせ。しかも「10本限り」と宣言しているタランテイーの9本目。わき役にアル・パチーノやカート・ラッセル、ブルース・ダーンときたら映画ファンにはたまらない。

 結論から言うと、残念ながら駄作に近い失敗作であった。終わりの方に近くなればなるほど手抜きになってゆく。

 お話は良く出来ている。1969年。人気が衰えかけ、今は敵役で飯を食べている元大スターと、その付け人でスタントマン。そのお隣は若手女優で夫は新鋭監督のロマン・ポランスキーのシャロン・テート。

 この元スターは「大脱走」のスティーブ・マックイーンに役をさらわれ、せっかくマカロニ・ウエスタンの話を持ち掛けられたのに断り、クリント・イーストウッドになれるチャンスを自分から断ってしまう。

 私はこれを観ていて、こう感じた。2020年にほぼ確実に訪れる日本経済の「昭和40年型大不況」に対して、不況対策を全く行っていない現状と、この没落しかけている主人公とは全く同じではないか、と。

 ちょっと考えれば来年、特に後半の大不況到来は(何もしなければ)必然的である。理由は次の通りだ。

  1. 米中覇権争いによる関税争いと、世界市場の狭隘化。これに伴う世界不況。
  2. 中国経済の減速による第一次産品の需要の大幅減退。中国習近平政権の「持久戦」戦略で、このやせ我慢時代は当分、続く。
  3. GAFAなどの巨大グローバル企業のビジネスモデルの転換。新ココムで中国の子会社を非中国化、つまり移転を余儀なくされる。もちろん漁夫の利を得る国もあるが、中国経済の減速も不可避。
  4. 合意なき離脱による英国経済の不況。イングランド銀行の推定では、実質成長率を8%押し下げる。リーマン当時は6・25%だから大不況だ。これにドイツ経済の成長率急低下とドイツ銀行処理問題。
  5. アルゼンチン、中東などのテールリスク。

これに加えて、わが国には三つの悪化条件がある。第一は2020年にはオリンピックの特需が後半になくなること。第二は6月までのポイント還元がなくなること、第三は所得税控除が850万円から1000万円に変わること(普通のサラリーマンは年5万円減収)。

 これに加えて円高がほぼ確実に予想され、輸出企業には減益懸念が生まれることがある。

 ECB,FRB,イングランド銀行、豪中銀などの金利引き下げ競争は自国に通貨安を生む。しかし日銀はすでに相当タマを打ちつくしている。たとえばマイナス金利の深堀りは、地銀の首つりの足を引っ張るのでほぼ不可能だろう。

 従って、9月の安倍内閣の改造での財務大臣の交代が必要条件だが、大型経済対策が早く実施されなければ、大不況は必至だ。

 では、財源はどうするか。わざわざ消費増税で強行して、財務官僚への「借り」を返済したのだから、次期財務大臣はフリーハンドを得たはず。ここは建設国債(又は投資国債)の大量発行、それも60年もの債又は100年もの債の日銀引き受け。前提としては政府と日銀とのアコードが必要だが、年内に済ませれば明年度予算から、この債券発行を10年間時限立法として実施できる。年間11兆円の財源が生まれる。10年で110兆円だ。

 やれヘリマネとか、戦前の高橋財政の復活だとかの批判は確実だが、戦前の軍部のような圧力団体はないのだから、世界不況が回復に向かえば、いつでもこの政策は終了できる。超長期債で「永久債アレルギー」を回避する。ついでに言えば米国財務省も超長期債の発行を準備している。「納税者の負担を減らすことができる」とも。

 私が「松田プラン」として以前から主張しているポリシーだが、これをやらなければ大不況なのだから、政府特に安倍首相の決断を待ちたい。

 不況到来前に解散、総選挙という案もあると聞くが、そこでこの新政策を公約又は争点にしてもよい。不勉強な野党は攻撃するだろそうだから、選挙後に方針発表するテもないではない。

 大切なのは大不況を回避することだから、ひとつのメドは明年2月2月28日だ。2019年10月~12月の成長率発表がある。悪いに決まっている。そこで新政策を出して世論を味方にするというのも一つの作戦だろう。

 私がこの政策を力説するのは、ヘッジファンドが日本株を見捨てる日が近いからだ。

 すでに「日銀が何で、この情勢で動かないのか」「円高で1ドル95円になれば、日経平均は大幅減益で“円買い日本株売り”になるが」というオドカシまがいの質問が筆者に寄せられている。また先物中心の株式指数売りも始まった。事態は切迫していると考える。ロンドンからの売り注文には、油価の関係から産油国ファンドのものも入っているのは常識だが、運用担当者からは、日本株の売り材料探し臭い内容が多い。いや、最近特に多くなった。

 映画の中で印象に残るワンシーンは、シャロン・テートが自分の出演している作品が上映されている劇場で「私が出ているの」とねじ込んで無料で入場する。すぐにマンソン一味が自分を襲撃するなんて、もちろんツユほど思っていないまことに美しい顔を画面に映し出す。世の中いつ、何がおこるかわからないものです。ましてや危機がわかっているのに何もしないのは。不作為の罪です。わが政府がそんなバカとは思いたくありません。

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