映画「SHADOW/影武者」と内閣改造の(十分あり得る)失敗

 

 

 

(第980回)2019・9・8

 チャン・イーモウ監督の待望の新作で、しかもあの「HERO」「LOVERES」のようなアクション武侠もの。前2作のような華やかで美しい画面作りを期待していたが、今回は水墨画風の白黒を中心としたこれまたセンスの良い作品に仕上がった。流石名監督と言われるだけのことはあった。

 時は戦国時代の中国、小国沛は大国炎に国境の境州を支配され、代わりに同盟を結んで平和が続いていた。これを不満とする重臣の都督派と、ともかくこの状態で我慢しようとする国王派が対立していた。

 都督の身体は、境州を奪われた時の敵の将軍との決闘を受けた刀傷がもとで、実は半身不随。そこで自分の影武者が本人そっくりなのを利用して、宮中に出勤していた。都督は影武者に「敵の将軍の楊蒼を殺せば、お前は自由の身だ」と言い、翌日コトを構えて沛国王に都督を無官にするよう仕向ける。これで国王の意に背いて敵将と決闘に向かう。相手の鉾に対し、何と傘を武器にして闘う。そして対決へ。国王軍の一部が味方になり、影武者は勝利する。そのあとの結末は、意外や意外のドンデン返しで、一種の宮廷ドラマで終わる。

 9月11日、安倍首相は大幅な内閣改造と党人事を行う。この映画を観て、登場人物それぞれの思惑でドラマが構成されているところが、今回の一連の人事と共通していると感じた。私なりの取材と(例によって)パルナソス・インベストメントの宮島忠直情報が中心だ。

 ズバリと結論から言おう。最大の注目人事は二階俊博幹事長の衆院議長への転任で、これが決まれば、ある一点を除いて首相が希望する人事パズルがうまくはまる。ご本人は否定的と聞くが、うまく説得できるか、どうか。

 安倍首相の意向はまず一部は成功しているようだ。安倍さんの浪人時代から盟友で日米商協議で米ライトハイザー代表とウマが合う茂木敏充経済再生相の外相就任が確実視されている。

 第二のポイントは、麻生太郎副首相兼財務相が財務相の兼任を解かれて、新財務省に甘利明議員が就任できるか、どうかだろう。麻生氏は財務省官僚に洗脳されていて、大幅な財政出動に否定的なので、新しい大臣が断行しないと実施できない。

 私は二階幹事長の後任には、選挙に強い菅義偉官房長官で、さらに内閣官房には若い小泉進次郎氏が副長官を抜擢。菅長官の後任には加藤勝信自民党総務会長か河野太郎外相、岸田文雄自民党政調会長のどれか。しかし小泉氏が否定的な発言をしているので、この構想は微妙だが。

 景気や株式市場のことを考えると、麻生氏の財務相の兼任を解くことが、カギになる。実はこの情報を待っているのが、外国投資家、とくにヘッジファンドであることは容易にお分かりだろう。

 政治の安定が対日投資の重要なポイントだったものが、二階、森の二人が、ヘッジファンド運用者にとっては、安倍政権の安定性と日本経済の不況脱出への障害に見える。したがって11日の報道でこの二人が「全く現状維持」と報じられたら、間違いなく先物売りを厚くし、円買いを進めるだろう。日本からの投資引き揚げさえも予想される。

 女性を描くのが巧みと定評があるチャン・イーモウ監督らしく、都督の妻の描き方が面白い。決闘の練習で影武者にどうしても勝てないとき「身体を寄せ合えば心が通じ、柔らかさがわかる」と自ら傘の使い方を教える。柔らかい身の動きで影武者の技は急速に上達してゆく。そして、勝つ。大切なことは、柔軟に情報を受け取る姿勢だろう。

 要は麻生財務相でも、積極的な財政政策で、米中対立が引き起こした世界大不況の日本への波及を防止してくれればよい。それだけの柔軟性を麻生太郎氏が持ってくればの話だが。

 なお、私はこのブログを日曜昼に執筆している。情勢の変化があったり、見通しが間違っていることも十分にあり得る。文責は全く私にあります。念のため。

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