映画「決算!忠臣蔵」とトランプ再選と安倍四選(第988回)

まことに楽しい時代劇コメディーの佳作。大石内内蔵助が残した請払帳を分析した山本博文著「『忠臣蔵』の決算書」の映画化。関西弁でやんわりと笑わせる。

 物価を換算してテロップで見せるアィデアが楽しい。江戸時代のそば一杯は16文、時価480円とすると一文30円。一両は12万円。

 赤穂浪士の軍資金は800両だから、現在の円では9600万円。主な原資は内匠頭の正室、遥泉院の持参金。

 上野介をはじめ吉良側は全く登場せず、赤穂側はひとりひとり十分に描かれる。堤眞一の内蔵助、お家再選に巨額の資金を使ってダマされ、細かい情報は後回しされるなど、かなりおっとりしたお人好し。勘定方の矢頭長助(岡村隆史)がその分、頑張る。

 軽快な海外のミュージシャンを使った音楽。「倒産」「残務整理」「再建」「リストラ」「リハーサル」など、赤穂藩を現代企業に見立てた仕切り方も楽しい。

 この映画を観ていて私は自分の経歴と重ね合わせた。30年いた山一證券、スカウトされて8年いた日本債券信用銀行、ともに現在は、ない。ひと様にも「世にもまれなる経歴」とからかわれるが、骨身にしみて先行きの不透明さをわからせてくれた年月だった。

 その体験が「当り屋につけ、外れ屋には向かえ」という作戦である。

 もう11月も終わり。そろそろ来年の予想を特集した経済誌が店頭に並ぶ日も近い。そこでおすすめは、近くの図書館に行って、2019年の予想をひっくり返して読むことだ。

 肩書や知名度は関係ない。誰が予想を的中させ、だれが外れたか、一目瞭然だ。

 次は外れ屋を飛ばし、当り屋の2020年の予想を重視し、当り屋の2020年の予想をよく読んで、当り屋のコンセンサスを見る。

 ではイマイさん、当たっているの?残念ながら、今回は外れました。私の新著で「2019年10月末ごろに『ドカン』がやってきます」。大外れです。

 しかし「過ちを改たむるに、はばかることなけれ」。である。11月初めから自分を含めて、押し目買いを中心に買い始めた。幸い米国FRBのQE4(FRBは準備金管理と呼んでいるが)が始まったので、NYダウは歴史的高値を更新、日経平均にも外国人買いを中心に堅調。リカバリーショットは SO FAR SO GOOD だ。

 今回のテーマに話そう。この当たり屋説を採用すると、アメリカの次期大統領選挙ではトランプは再選される。エリザベス・ウォーレンもジョー・バイデンもサンダースも敗北する。

その「当たり屋」とはアメリカン大学のアラン・リットマン教授である。

1984年以降9回の大統領選ですべて勝者予想を的中させて来た。

それで終わりではない。最近出演したCNNテレビで「トランプが弾劾される」という主張を述べた。大統領弾劾は、現実には成立は極めて困難なのだが。

しかし同教授は「共和党にとってトランプ氏はいわばいわば危険人物だ。共和党にとってペンス副大統領のほうがずっと望ましい」と述べた。見方によっては選挙戦の最中に修正憲法第25条第4項によって、ペンス副大統領の大統領就任を望んでいるようにも聞こえる。

一方、四選を否定した安倍首相だが、私のソースでは、高齢の二階幹事長を衆議院議長に就任させ、岸田政調会長を幹事長に登用。後継者を明確化させるのが2020年の後半のどこかで決定。これが決まれば、トランプ=安倍のコンビが、ペンス=岸田に変わるかも。

 映画のセリフから。勘定方が言う。「いずれこのお金が必要になるので取っておきましょう。」「いずれ?“いずれ”なんてもうないんだ」。未来は不透明です。大切なことは、現在は超金融緩和下の「金融相場」ということです。

関連記事

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」と安倍政権の今後

2017・7・22 創業者といえばすぐ井深=盛田とか本田宗一郎の尊敬できる偉人たちを想

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

そろそろ終わりのNYの「ドカ」。新しい明るい日本を読んで一斉に業界トップ企業が動き出した。押し目買いのチャンス!

そろそろ終わりのNYの「ドカ」。新しい明るい日本を読んで一斉に業界トップ企業が動き出した。押し目買

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「52ヘルツのクジラたち」と過小評価されている日本経済。2025年以降、さらに力強く上昇する

映画「52ヘルツのクジラたち」と過小評価されている日本経済。2025年以降、さらに力強く上昇する

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「鵞鳥湖の夜」と私の「それでもトランプ」説(第1033回)

 久しぶりに妻の渋い顔をヨソに有楽町まで足を延ばしてこの作品を観た。「浅田家!」の方は文庫で原作(

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】歌舞伎「勧進帳」と原油と金価格の高騰

  2018・1・14 歌舞伎座で「勧進帳」を観た。9代目幸四郎が2代目白鴎を

記事を読む

PAGE TOP ↑