映画「虹を掴む男」とこの上げ相場の目標 (第989回)

「ポケタ・ポケタ・ポケタ」

「虹を掴む男」の主人公ウオルター・ミテイは幻想癖の持ち主だ。幻想の中での飛行機のエンジンの音や病院の医療器具の音が、ポケタ・ポケタと聞こえる。原作はジェームス・サーバーという短編作家。この音は原作でも、ダニー・ケイの主演映画でも使われている。

 サーバーの原作では、主人公は奥さんの尻に敷かれた冴えない中年男だが、映画では美しい女優(ヴァ―ジニア・・メイヨ)とのからみがあるので独身男にした。空軍での英雄戦闘機乗り、超超腕のいい外科医、西部の凄腕ギャンブラーなどなど、多様なタイプ。人物を演じ分ける所が得意な、ダニー・ケイには、当たり役となった。

 会議の最中に夢にふけっていたウオルターは、社長に怒鳴られて、とっさにポケタから連想してポケットブックを提案する。第二次大戦直後でペーパーバックがまだ盛んでなかったから、実に時代を先取りしていた脚本だったことになる。1947年の作品だが、カラー画面も美しく、セットや色彩が実にセンスのいい、洒落た映画になっている。

 私はBS放送で65年ぶりに見たので取り上げてみた。やはり私も、時として夢を見るからだ。かつて米国投信大手から日本支社の社長にスカウトされた時、直ちに断ったが、夢では日本法人のトップになっていて、さんざん失敗して窮地に立つ。

 実には帝国ホテルで私の代わりに就任した人物とエレベーターで先日乗り合わせて、私は居心地が悪かった。向こうも。同じ様子に見えた。

 今回のテーマに入ろう。会議中でも夢を見るウオルターのように、弱気大多数の中でも、先行きの強気相場を早くから予想的中した少数派のご意見を紹介しよう。

 いちよし証券投資情報部の高橋幸洋テクニカルアナリストである。同氏は9月26日に日経平均の日足に「中長期の強気シグナルが点灯しました」として、次の事実を指摘した。

 上向きの75日移動線が、上向きの200日移動平均線を下から上に交差した、いわゆるゴールデンクロスである。

 1980年以降の39年間で11回発生しているから、確かに珍しい。

 11回すべては別に機会に譲って、今回は、2012年の民主党から自民党への政権移行以降の3回を取り上げる。

 第9回目のゴールデンクロスが実現した日は、2012年25日である。

この時は、その前の週にジム・オニール氏が「We Want ABE!!!」というメールを私に送ってきたのが鮮明に記憶に残る。

 何しろBRICSという世界投資シナリオを早くから唱えたストラテジストのナンバー・ワン。しかも前述したメールの題は選挙で使われ「早く就任してください」という意味。

 内容はさらにすごかった。「私はこれまで、円高、日本株売り論者だった。理由は、日本経済が円高とデフレ、デフレと円高という悪循環に落ち込んでいたからだ。

 しかしアベノミクスは本物で、私は「円売り、日本株買い」を、グローバル投資戦略として唯一無二のものとして推奨する」

 これを見て、私は躍り上がった。しかし、日本人投資家は全く動かず、すぐ行動したジョージ・ソロスが半年で90億ドルも儲けただけだった。結局、内閣発足の前日の12月25日の1万0080円から、13年5月22日の1万5627円まで、実に55%上昇した。

少々話が別のところに飛んだが、10回目が今回との比較では重要だ。それは消費税増税だ。第10回は2014年8月3日、その日は1万5213円、その後の高値2015年6月24日の2万5868円まで上昇した。上昇率は37%。

 今回はどうだろうか。9月26日の日経平均終値は2万2048円だから、3万円を突破してもおかしくない。日柄も前回と同じ211日とするとピークは来年4月下旬。

 「現実には3万円直前の2万9000円台じゃないですか」と高橋幸洋氏は言う。私も同様の結論だったので、握手した。

 そこで投資戦略だ。やはり日経平均の上昇幅4~6千円分と想定するならば、やはり日経平均10%の上昇に対して20%上昇すべく設計されている「日経ブルETF」がいい。

野村(1570)、大和(1365)、日興(1358)、楽天(1458)、シンプレクス・アセット(1579)の5種。ただし1回で資金全部を投資するのではなく、何回かに分けて、押し目買いする。私の心配三原則を思い出してほしい。

 映画の締めくくり。ウオルターは、悪人どもを逮捕させ、理想の美女を妻とし、怪しげな以前の婚約者の男友達にパンチを食らわせ、結局昇進する。社長をファーストネームで呼ぶが、弱気の男から強気の男になったのを好感して、社長はウオルターを友達として扱う。そうです。相場が強気相場になると、すべてが変わってしまうのです。

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