バルザック「ゴリオ爺さん」と米中対立の狭間で急成長する新興国への投資 (第1049回) 

サマセット・モームが選んだ「世界の十大小説」をご存じだろうか。作品名だけ列挙する。 

  1. トム・ジョーンズ②高慢と偏見③赤と黒④ゴリオ爺さん⑤デビッド・コパフィールド⑥ボヴァリー夫人⑦嵐ケ丘⑨カマラーゾフの兄弟⑩戦争と平和

年寄りの自慢話と思ってあきらめてください。私は浦和高校在学中に、全部、読んだ。(そのせいか1年浪人したが)。映画好きの私は、この十大小説が、映画化されると必ず観に行った。「赤と黒」のジェラール・フイリップ、「戦争と平和」のオードリー・ヘップバーン、適役でよかったなあ。

、山一証券経済研究所NY支社長でホテルに長期滞在している時「戦争と平和」を再読して「こんな面白い小説だったのか!」と驚嘆したのを覚えている。

 さて「ゴリオ爺さん」だ。私としてはバルザックの膨大な作品群の中では「従妹ベット」「知られざる傑作」「絶対の探求」「あら皮」の方が好きだが。

 何でこの作品をブログに書くのか。理由はカンタン。資産家の老いたオヤジを貴族に嫁がせた娘ふたりが食い物にし、最後は老人を破産に追い込む悲惨なお話だからだ。(あらすじは省略させて頂きます。)

 かつて英国やフランスに日本株の売り込みで訪問した折、7~8%成長率が普通の国だと私が話し始めると、(そんな段階だったのです。当時は)。さすがにいやーな顔は我慢したが、根掘り葉掘り成長の理由を聞かれ、最後に「やはり新興国は勢いが違うなあ」と言われた。86歳の私は老人の若者に対する羨望が良くわかる。

 あれから50年。今や我が国の方が昔の英国とフランス。つまり、老人だ

それを納得させてくれたのが,昨2020年の成長統計だ。

 みずほ総研の「みずほ新興国クオータリー(2020年12月11日付)によると、世界全体の実質成長率がマイナス4・4%という大不況の中で、プラスになった国はわずか三か国。

 中国 プラス1・9%

 ベトナム プラス 2・8%

 台湾 プラス2・6%

ではイマイさん、この三か国がおすすめですか?わたくしはある情報筋から、今年は反習近平勢力の力が増し、習の近辺にはゴマすりばかりなので、何が起こるかわからない、と聞いた。それに加えて、バイデン政権の出方もまだ不明。

 そこで中国関連への投資は、いまのところは控えている。

ただし、構造的な背景のほかに、新型コロナ肺炎の抑え込みに成功していることも大きい投資に対する魅力だ。

百万人当たりの感染者数で示す

中国62人

ベトナム16人

台湾37人

ちなみに日本は2736人、欧州ではベルギーは5万8898人、チエコに至っては8万5574人、米国7万5368人。アジアではシンガポールが1万81人。

 一方、台湾、ベトナム双方とも、米中新冷戦のよるメリットがあることは、連日の報道で明らかである。

 前述のみずほ総研の予測は2021年。

台湾  プラス3・4%

ベトナム プラス7・3%

 もうひとつ。米中新冷戦での受益国はインド。この国はあるエコノミストによると2030年には、現在の日本並みのお経済大国になる。

 過去3年、2018年~2020年のインドの成長率推移を示す(前述のみずほ総研資料による)

2018年プラス6・8%→2019年プラス4・9%→2020年マイナス4・5%

一方、予想の方は2021年プラス8・8%。これは新興国全体の第一位。

 この三カ国を含めた新興国14カ国の世界経済に対する比重は、2000年の20%が、現在の40%まで、上昇した。

もはや新興国への投資を財産の中に加えることは、絶対に必要だと私は思う。ポートフォリオの最大の比重は日本株であることは、もちろんだが。

 私の「相場ウラ読み」で最近参加された方は35歳の自営業者がおられる、私はイデコを通じて投資した方がいい、とだけ申し上げた。そこで研究すべき投信を三つご紹介します。(推奨ではありません。念のため)

  1. UBS ETF MSCI アジア太平洋(除く日本)コード1390
  2. 日興アセットマネジメント 上場インデックスファンド 海外新興国株式(MSCI EMERGING)コード1681
  3. 野村アセットマネジメント NEXTFUND新興国株式・MSCIエマージングマーケット・インデックス(為替ヘッジなし)連動型上場投信 コード2520

以上で終わりだが、先週に続いて米国の大ファンドマネジャーのフィリップ・フィッシャーの言葉で最後をシメたい。

「株式の買い付けさえ正しく出来れば、投資の仕事はほぼ終わったと考えてよい。

保有し続けるのが、最良の策である」

なお、FMヨコハマ(84・7メガヘルツ)の「バリエヨコハマ」に出演しました。

2月7日、14日。9時30分から10時まで、どうぞよろしくお願い致します。

 最後に一言。わたくしは来週、9カ月に一遍入院して検査する人間ドック入りなので、よほどの事件がないかぎり、このブログは一週間分お休みします。悪しからず(ボイスメッセージのウラ読みは続けます)。

どうぞ皆さまお元気で。   GOOD LUCK!

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