「川中島の戦い」とまだ絶えないインフレ再燃と日本国債紙クズ説を検討する (第1048回)

 余りも有名なこの合戦は、武田・上杉双方の作戦の予想比べの面と、信玄と謙信の直接の戦いという勇壮な面が共存している。私にはワクワクする位面白い。

 この戦いを取り上げた井上靖の「風林火山」や海音寺潮五郎の「天と地と」は、映画にもなったし、NHKの大河ドラマとなった。

 簡略に「川中島の戦い」の推移を述べる。

1万3千人の上杉勢は妻女山、2万人の武田勢は海津城に立てこもって、膠着状態に入った。士気の低下を恐れた武田軍は「キツツキ作戦」をとる。

 別動隊1万2千が妻女山を攻撃、ふもとの平野に近寄り、本隊八千が待ち伏せ、上杉勢を狭撃して激滅しようという作戦である。

謙信もさるもの。海津城からの炊煙がいつになく多いことから、この作戦を察知。一切の物音を立てず密かに妻女山を降り、千曲川を渡った。頼山陽の「鞭声粛々 夜河を渡る」だ。

川中島を包む深い霧が晴れた時、いるはずのない上杉軍が目の前にいる。さぞ驚いたことだろう。すかさず上杉勢は攻撃。武田勢は「鶴翼の陣」(鶴が翼を挙げた形で敵を巻き込む)を敷いて応戦。

武田軍は別動隊が戦場に現れるまで、大変な苦戦で、信玄の弟信繁や山本勘助などが討ち死に。10時ごろまでの2時間、大苦戦で本陣も危機的状況だったらしい。両将の太刀打ちはこの時だ。

最後は「甲陽軍鑑」の結論通り「前半は上杉の勝ち、後半は武田の勝ち。」死者は武田軍が4千、上杉軍が3千。

この戦いを私なりに解釈すると、ある行動を起こすと、必ず相手方の対応がある。

今回、コロナ危機で2020年、世界のGDPは700兆円ダウンした。

 この大危機に対し、米FRB,欧ECB、日銀の総資産は2019年末から、2020年末までの1年間で1200兆円増加した。債券やETFの購入、銀行への貸し付けなどである。

これだけのカネをバラまくと、通常はインフレになるが、私は少なくとも数年間消費者物価は3%以上には、相当高い確率で到達しないと予想している。

1200兆円ものカネをばらまいて、なぜインフレにならないの?」と聞かれそうだ。

近著「2021コロナ危機のチャンスをつかむ日本株」とダブるのが、申し訳ないが要約を次に書く。

 「トランプ(前)大統領は“戦争”と表現している。

「感染症」 と戦争は、経済的には異なる。戦争は巨額な軍事字支出による需要を創出するし、需要超過とインフレをもたらす。」

 「反面、コロナ危機は、需要と供給を同時的、強制的に削減させる。デフレを引き起こしやすくする。マスクや衣料品などの価格は高騰するが、経済全体としてはインフレにはなりにくい。むしろ、デフレだ。」

 余ったカネはどこに向かったか。昨年3月から12月までの市場動向を次に示す。(全部プラス、単位%上昇分)

  NYダウ39・7、ナスダック84・1、

  S&P500 61・7

    日経平均 42・4

    金 25・4

    原油 106・6

大豆  57・0

 市場が小さいので、正確には比較しにくいが、暗号通貨での上昇率は群を抜いて群を抜いて大きい。

 ビットコイン350・4、イーサ446・8(以上はSAIL代表大井幸子さんの資料を中心とした。お礼を申し上げる)

 では、将来インフレになり、日本国債は紙クズになるのか。

  ならない。

理由を申し上げる。日本国債は94%が日本人、残り6%も円だけで買われている。例えていえば、家庭内での貸し借りである。

 第二は金利を見ればわかる。15年前に武村正義さんが、財政破綻宣言をやった時は、長期金利は、3・2%、現在ではご存じの通り、0・3~0・35%。

 当時の大蔵省の破滅説を聴いてある米国有力ヘッジファンドが「日本国債売り、円安」に賭けて何年か前につぶれた。有力な女性が出資していたので「ウイドーズ・キラー」と呼ばれている。

 本当は日本国全体のバランスシートが出ればいいのだが、4月ごろに2019年度分が出るくらい遅いので、現在はできない。できればバランスシートでの資産を差し引くと、一部でいわれている国債紙くず説がウソのことがわかる。

 というのは、日本国債のほとんどは日本銀行が買っている。日本銀行は、政府が50%以上の大株主。しかも監督権限がある。子会社扱いでもまあいいだろう。

 「統合政府」ということをご存じない方も「連結決算」は知っておられよう。要するに子会社に入れれば見方は変わる。資産があるので、借金だけで脅かすのはウソなのだ。

増税がしたくて宣伝している向きのように「債務残高がGDP比252%」というバカなことは言えなくなる。

 結論。コロナショックでが、完全に収まり、時代が5GやDXやテレワークなどが中心となる時期まではインフレは起きない。その先?いくら私でもそこまではー

  シメは米国の大ファンドマネジャーのフィリップ・フィッシャーの言葉を。

「戦争で株が下がったら、敢然と買い向かえ」

戦争をコロナに言い換えてください。

 最後に一言。このアイデアは阪田陽子さんからいただきました。感謝。

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