映画「サンダーボール作戦」と容易でない中東情勢とロビンフッダーたちの起こす株価乱高下 (第1050回)

 実は007ものの大ファンで、全部のDVDを持っているが、やはり初代のショーン・コネリーがずば抜けていい。脂ぎっていて男くさく、それでいてダンデイ。

 だから、次のようなやり取りが大いに「そうだろうなあ」ということになる。

 ボンドが悪玉の射撃の練習をしているのを見てボンドが言う。

「これは女性用の銃ですね。」

「その通りです。銃に詳しいようですな。」

「いや、女性の方を少々。」

 お話の方はNATOから原爆を盗んだスペクターが英米から大金を脅し取ろうとするのをボンドが防ぐ、といういつも通りの破天荒なもの。私には冒頭の3分ほどが特に面白かった。

 自分の同僚を殺して敵をその邸内で殺したボンドが、個人用小型飛行機で飛んで逃げる。追いかけてきた敵の部下を車の後ろから大量の水ですっころがして逃げる。何とも奇想天外で、大いに痛快だった。

 今回このブログでこの映画を取り上げた理由は、ボンドを演じたショーン・コネリーさんの死去を悼むのと。もう一つは我々がつい忘れがちな「危機」をこの007シリーズが取り上げていること。

 私はバイデン政権のエネルギー政策が案外原油高につながる、と予想して専門家に聞いたら、意外に強い反応があった。

 経済産業研究所コンサルテイングフローの藤和彦さん。ご意見をまとめると次の通り。

  1. バイデン新大統領はイラン核合意に復帰する。制裁により締め出されていたイラン産原油が日量200万バレル超、市場に出る。これはイランの手元資金が潤沢になることを意味する。
  2. 従って、イラン情勢の変化により原油価格の高騰リスクが高まる。現にイランの介入強化と思わせる事件が起きた。

1月23日と24日の二日、サウジアラビアの首都リヤドでドローン攻撃があった。これはフーシ派が行うのが通常だが、今回はイラクの民兵組織の一つが犯行声明を出した。当然武器はイラン産であり、気の早い情報筋には、かつての、イラン対イラク戦争の再燃を懸念する向きもある。(終わりの部分は私個人のものです。念のため)

 さらに、別の商品アナリストは、バイデン政権のエネルギー政策そのものが、原油相場急騰を招く可能性あり、と警告している。

 マーケットエッジ代表の小菅勉さんだ。ご意見を次にまとめた。

 「バイデン大統領は、連邦政府の所有地において原油・天然ガス鉱区の借地権売却を一時停止する方針。近く正式発表になる予定、とか。

 なたシェールガス開発のキメ手になっているフラッキング(水圧破砕)に対して規制される公算は大きい。勿論、これは連邦政府所有地への規制であり、私有地ではない。

 しかし米国の原油生産の約一割が連邦政府の保有地で行われている。影響を軽視することはできない。

 こうした動きは、原油相場に対しネガテイブな影響を与える。しかし、中長期では、逆の影響もおおいにある。

小菅さんは「供給サイドの制約を急ぎすぎると、原油需給バランスに不測の混乱が生じ、原油相場は逆に大きく上昇する可能性がある」と警告を発している。

 以上二人のプロのご意見をご紹介した。

 おわりに、最近、私に寄せられている質問を紹介し、その答えを私なりに申し述べたい。

 「NY株が、何であんなに乱高下するんですか?」

「個人投資家が最近好んで使うロビンフッドというアプリのイタズラである。有力ヘッジファンドのカラ売り情報がネットで伝わると、この「ロビンフッダー」たちは群れを成して動き出す。

ではどのくらいのロビンフッダーがいるのか。HF情報では数百万人いる。ㇿッダウンの給付金で、手元資金がある若者が、手数料はゼロ、預金もいらず、しかも超値嵩株は何人もの注文をまとめて買える。ロビンフッド・マーケッツ社は大量の注文が出せるので、ブローカーからリベートをとる。やられるHFを除けば、いいことばかりだ。

最近話題になった例をひとつあげる。空売りをした大手HFがロビンフッダーにやられたケースだ。売ったのはこの業界では有名なプロトキン氏。

 発行済み株数に対するカラ売り比率を見ると、やられた対象銘柄のGameStopで151・8%、レバレッジをかけたカラ売りを行ったためだ。ところが、ロビンフッダーたちに買いはものすごく、連日数十%の株価高騰。買戻しが不可能になりかけたので、他のHFから救済資金を入れた。

1月29日のダウ3万ドル大台割れは、ロビンフッダーへの規制が出るとの観測からだ。

 折しもSEC新委員長が決まった。ゲンスラ―氏はロビンフッドの現状を問題視していると伝えられている。まあ、当然のことだが。

ただ、ロビンフッド側もさるもの。規制担当の幹部にルーカス・モスヴィック氏、最高法務責任者にダン・ギヤラガー氏。ともにSECの元最高幹部だ。一筋縄では行くまい。

先週のNY市場はロビンフッドへの何らかの規制が出る前に、益出しをしようとしている臆病な機関投資家が売りを出した。とくに年金勢は昨年高収益を上げたHFへの解約を大量に出した。しかし売り注文はピークを迎えた、と私のNYの情報源は先週、話してくれた。現にNYダウは勢いを取り戻しつつある。

では今後ともNY株高は続くのか。

問題は、もうカラ売り銘柄の98%は過去三か月で値上がりしたことだ。ゴールドマン・サックスのアナリストは「これほどのショート・スクイーズ(カラ売りの買戻しを狙った買い出動)はこれまでになかった」と警告している。もうタネはなくなった、と言っているのだ。(この部分はSAIL代表の大井幸子さんの資料に与った)。

SECの規制がどんな内容なのか。何人もの民主党のベテラン議員が問題視し厳しい規制を主張し始めた。暴落を恐れて緩い規制を(恐らく)主張しているバイデン政権との水面下での折衝が行われているのだろう。数百万の若者に損害を与えるほどの厳しい規制を断行できるか、どうか。しかも、まだ米国社会全体が、コロナによる不況の時期に。

結論。 依然私は、強気です。シロウトは儲かっているうちは買いを止めないから。

先週私は人間ドックで入院するのでお休み、と予告したが、パソコンが目の前にあると、習慣というか、貧乏性というか、ご覧のとうり書いちゃった。余分なことですが。

最後にもう一つ、余分なことを書く。私はブロッコリーが好きだが、007シリーズの制作者のアルバート・ブロッコリーのおじさんが、カリフラワーを改良して作ったとか。アイデアはこの人の家系らしい。

では皆さん、お元気で。   

GOOD LUCK!!

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