アレクサンドル・デユマ「モンテ・クリスト伯」とまだまだ続く日米株価の新値更新、そして五つの落とし穴(第1051回) 

 このブログで「世界の十大小説」を取り上げたが、古い友人から第十一位は

?と聞かれた。

 私は「モンテ・クリスト伯」と答えると「ああ『がんくつ王』だな」と言った。

 小説家の中島梓さんが「黒岩涙香にケチをつける気はないけれど「モンテ・クリスト伯」と「がんくつ王」は百パーセント違うものである。言ってみれば手打ちの上湯麺(ジョウタンメン)とカップラーメンの差がある」と述べている。私はそのことをウロ覚えで言ったら、「お前、全巻をちゃんと読んでいるのか?」と聞かれた。

 そこで2月1日、九か月に一回入院している定期検診のための人間ドックに入った時、岩波文庫7冊を持って行った。いやあ、面白いの何の!

 中島梓さんの表現によると「物語の原点みたいな本」。うーん、何という見事な言葉だろう。(「名作52読む見る聴く」②))

 たしかに。誰でも知っている導入部。船長昇進直前のエドモン・ダンテスが、悪人たちの陰謀のため婚約式の夜逮捕され、14年シャトー・デイㇷの地下牢に幽閉される。たまたま囚人のファリア司祭の遺言で、途方もない宝物を手に入れて、復讐を誓う。

 これは、再三中島梓さんの言葉を引用すれば、「単なるオードブルにすぎない」。

 カタキ役の三つの家庭内部での複雑な人間関係があり、それぞれの物語が入り組んで、次から次へとヤマ場が盛り上がる。

 スープもサラダも魚も肉も、美味しいの何のって!一口ではとても説明しきれないが、私はデユマの話術の巧みさに、お釈迦さまの掌の上の孫悟空のように引っ張りまわされる楽しみを味わった。

 出来すぎの偶然また偶然のストーリーも言うだけ野暮。物語にひたる楽しみかわからない人は不幸だ。

 ではイマイさん、何でこのブログにエドモン・ダンテス、いやモンテ・クリスト伯を引っ張り出したの?

 私なりの「復讐」です。

 9日のテレビを観ていたら「バブルの崩壊は近い」と予言する学者さんがいた。また某行のエコノミストも、同様な警告をしている。

 私に言わせれば飛んでもない間違い。株の根幹をわかっていない。当分、日米ともに中長期の株価上昇は目に見えていると観る。

 確かにいつかは相場は崩れる。その時に予言者面してこの学者さんは出演するのだろう。番組の担当者は、上司に点数を稼げる。アホなことだ。

私の強気を順序だてて説明する。

 第一に、カネがいぜん余っている。昨年の世界のGDPは、700兆円もダウンしたが、三大中央銀行((FRB、ECB、日銀)は1200兆円のカネをばらまいた。これで信用不安になるのを防いだ。今年に入っても、少しペースは落ちているが、総資産は全体では、年率10%近い増加を行っていると、私は観る。

第二に、世界中でインフレが起きていない。当然、金利はきわめて低く、欧州ではほとんどマイナス金利。コロナ不況対策の財政出動が始まっても金利の負担は少ない。米イエレン財務長官は50年物国債を検討中。ECBも日銀もいずれ追随して、巨額の財政負担を中央銀行引き受けで消化する作戦をとるに違いない。景気刺激は大型化しているし、次の手も打てる。

 第三.ワクチン注射の世界各国での開始。それに「いつまでもコロナ大不況は続かない」という前途についての明るい見通しは、世界中で共有されている。当然、明るい兆しが少しでも出てくれば、株価は反応する。

 カネは余る、信用不安はない。投資先は限られ、前途には希望がある。折しもデジタル化、グローバル化、そして米中対立を材料としてサプライチェーンの再構築化がある。これらを背景に、5G,DX等々のイノベーションが開花しつつある。

それでも弱気筋は、HFの倒産か大量の解約を懸念する。理由は確かに、ある。

 先日から、ヘッジファンドの売っている銘柄にロビンフッダーたちの集中大量買いがあり、大手HF会社いくつかが巨大な損失を被った。

 私は60年間、株式市場では弱い者を叩くのが一番儲かるという冷たい市場論理が勝利するのを何回も見てきた。それの再来にすぎない。ロビンフッダーがいること自体がバブルを意味すると私は観ているが。

 一方、バブルの象徴のロビンフッダーの没落を起こすような激しい規制が、株価全体の暴落を引き起こすという論者もいる。バカなことを言っちゃいけない。現在展開しているのは「対コロナ戦争」である。国の士気にかかわる大暴落を好む政治家がいるはずがない。規制は、ほどほどだろう。

 2月8日付のパルナソス・インベストメントのストラテジー・レポートを読んでいたら、マーク・ファーバーさんの名が出てきてびっくりした。彼が来日したときに私は会っているし、定期的にメールまたは 画面で情報を頂いている。

ファーバーさんの名を一躍有名にしたのは、1987年の「ブラックマンデー」を予測したこと。来日した時には、日本株のバブルは8000円割れまで行かなければ収まらない、とした。これも的中。要するに予測の大名人なのです。

では、ファーバーさんは今回どのような予想をしているのか。宮島秀直ストラテジストの表現を借りれば「19年米中摩擦以前の水準まで改善」。心配は不要です。

実は私は新情勢が日米で発生しているし、前記した間違った見方に反論するため

新著を準備しています。

 一流のテクニカルアナリストとの座談も加え、銘柄中心の1冊に仕上げるつもりです。ご期待ください。

 では、バブルが破裂する(としたら)ブラック・スワンは何か。五つ、ある。

第一が習近平にからんだ何らかの大変化。米国への攻勢(台湾?尖閣?)。

第二は東京地下直下型地震、又は南海トラフ。

第三は三極中央銀行の「金融の平常化」、つまり放出していたポンプの蛇口を閉める。これは効く。

第四は、原油、食糧価格の高騰。金利上昇というこの相場の「大敵」の復活。やや兆候が見える。

第五は、バイデン大統領の息子のハンター・バイデンのからんだ汚職問題への特別検察官の報告の公開。その後のゴタゴタ。

結論を言います。私は強気です。

 いよいよ終わりにします。シメは「モンテ・クリスト伯」の最後の一言。

「待て、しかして希望せよ!」(山内義雄 訳) 

では皆さん、GOOD LUCK!!

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