映画「ノマドランド」とNY・東京株式市場を襲う七つの難題と私の強気 (第1061回)
近く発表されるアカデミー賞作品賞の最有力候補とされる話題作。
あらすじから入る。
ネバダ州の企業に頼り切った町で暮らしていた60代の女性ファ
ーン(フランシス・マクドーマンド)はリーマンショックで倒産した企業の影響で、
長年住み慣れた家を失ってしまう。
ファーンは、「ノマド(遊牧民)」として、季節労働の現場を転々と歩きながら、
車上生活を送る。
行く先々で出会うノマドたちとの交流や広大な大自然の中で、ファーンは
再起してゆく。
この映画を見て私バイデン大統領を思い出した。
リチャード・クーさんの表現に従えば、次の通りだ。
「いねむりジョー」から「スピードジョー」に豹変した
その政策の中で、誰でも連想するのか①米中新冷戦のホット化
②富裕税とキャピタルゲイン税の大幅引き上げの二つ。派生した問題で
は「アルケゴス」。以上三つの難問が発生した。
別枠で①本年2月の1・9兆ドルの経済対策②4月に構想が発表してきた
2・3兆ドルのインフラ整備政策。まあ民主党が上下両院を押さえている
うちにやっておこうという思惑。くわえて明年の中間選挙の政治的要因
からだろう。
さて、話を戻す。
- は私がこのブログで発表した米国防衛株4月に入っての急騰と中
国側の猛烈な対米批判。それに習政権上層部の思い上がりが裏付け材料。
しかし、環境問題サミットへの習近平出席、ケリー特使の派遣。さらに(未確
認だが)バイデン大統領が漏らした「中国への米国内での中国四大銀行の
資産差し押さえと、ドルペッグのハシゴ外し」が、ホット化への懸念ひとまずは
遠のいた。米国防衛株の高騰は、日本の武器の大量購入の思惑、で説明できる。
- の富裕税・キャピタルゲイン税の大幅引き上げについては、パルナソス
インベストメントのチーフストラテジストの宮島秀直さんが、実に明快に悲観
の必要がない理由を説明してくれた。以下要旨をまとめる。
「米国で富裕層税が大幅に引き上げられた時期①1992年から93年(3
1%→39・6%)②2012年から2013年(31%―39・6&)
キャピタルゲイン税が大幅に引き上げられていた時期①1967年から197
1年(25%→35%1986年から1987年(20から28%)③2012年から
2013年(15%→20%)(このすべての期間で)株価はほぼ調整せず、コン
スタントに上昇相場」
宮島さんはその理由として、米国の好景気に投資家の株式市場が併存
していたことを挙げる。
第三のアルケゴス問題は、ここ5週間、NY連銀が10~12%の資金供給
を行って、破綻の連鎖を防いでいる事実を挙げるだけで十分だろう。これ
だと75億ドルと想定されている想定されている残存ポジションは無害
だろう。(アルケゴスは100億ドルのヘッジファンドで、中国人富裕層の私
的な資産を運用、管理している。バイアコムCBSへの投資で巨額の損失を
こうむり、米国勢は売り逃げたが日本とクレディスイスが打撃を受けた。)
さて、日本。四つの疑問を挙げたい。
- 東京五輪の中止。②日銀の市場介入方針の変更
- ルネサス那珂工場の生産停止による自動車生産への悪影響
- 三度目の緊急事態宣言
- と②はつながっているから、説明が必要だ。
4月19日、米国国務省は新型コロナ・パンデミックの影響を恐れて160
万人への渡航中止を決めた。
そこで日本の株価は急落。4月20,21日と連続して、1,000円近く
下げた。五輪が中止になれば三菱UFJ証券の景気循環研究所によると、
3・6兆円の打撃があるから、この下げは当然、と言える。
20日前場で株価が1・2%下落したときには市場参加者は「日銀の介入」
を期待した。通常はTOPIXが1%以上下落すると日銀はETF購入を行う。
しかし日銀は介入しなかった。
21日にTOPIXが2・2%下げ、そこで市場介入が行われた。
結論、五輪中止の正式発表がまだないし、悪影響の発表もなお先。従って
この二つの問題は解決できないままに今後に持ち越される。
次の二つは、いわば「災害に売りなし」で、数字は大きいかもしれないが、
しかし、半導体不足で「4月から6月期成長率を年率7・3%押し下げ」と
言われると、やはり無視できない。(野村総研木内登英エクゼ゙クテイブ・エコノ
ミスト)
第四の問題点は4月25日から5月11日までと、比較的短期なこ
とと、ワクチン注射が開始されたことが加わり、打撃は国としては軽いだろう。
そんなこと、書くくらいだから、イマイさん、弱気?とんでもない。私の強気は、
ここ何回かのブログに書いてあるから、読み返してください。
では、目先の乱高下はどう見るの?
ここは、実績があるテクニカルアナリストの意見を聞くのが手っ取り早い。
いちよし証券投資情報部市場分析課の高橋幸洋さんに電話した。
「月内は、落ち着きませんよ。いろんな変化日が集中しているし、連休前と決算
発表前、どこも動きません。でも連休明けから、ムードは変わるでしょう。私は
強気です。」
最後に主人公ファーンのセリフでシメよう。「私はホームレスでなくハウスレス
なのよ」
私の方も会社のトップでなく(いろんなお誘いはありましたがね)、一介のア
ナリストです。しかし、86歳の今でも現役でいられるのは、支持してくださる
皆様のおかげです。
感謝。
なお、4月27日(火)19時からウエブナーの4回目を行います。銘柄中心です。
著名な経済ジャーナリストで、雨宮総研代表の雨宮京子さんの出演も決まっています。
ぜひご覧ください。
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