「平家物語」とラニーニャ現象。(第1117回)

私が4、5歳の時から「平家物語」や「十八史略」を読んだことはかなり前のブログで書いた。幼い頭の中に「盛者必衰のことわり」や「おごれる平家久しからず」といった言葉がきざみつかれたことは言う迄もない。

しかし最近、名古屋大学の中塚武教授の著書「気候適応の日本史」を読んで、アレレと思った。

平家の滅亡が、実は気候変動の結果と結びついている、という論旨だからである。

チャートを見て頂きたい。9世紀以降、徐々に低下してきた気温が、12世紀中ごろから突然上昇した。

夏の気温上昇は水稲の生産力拡大をもたらし、全国から農作物を京都に集める強制組織としての武家の役割が高まる。

その主役が平家、と言う構図である。

1160年代でも安定した良い気候が続き、豊作続きで、平家の繁栄は続いた。

対宋貿易での収益増もあり、現在の神戸の大輪田泊の建設も、平家の領地の西日本から、農産物を効率よく京都に集めるためであった。

ところが1170年代に入ると、寒冷化が始まる。気象災害も増加して、皇室と平家の関係も悪化。1181年には「養和の大飢饉」が起ってしまう。

当時のいわば責任政権であった平家が責任を取らされた、というのが真相である。

気候から逃れられない人間の生活。日本経済の方は、と誰しも思う。

折しも私が日本一のエコノミストと確信している嶋中雄二さん(三菱UFJモルガンスタンレー証券景気循環研究所所長)が「ラニーニャが救う日本の景気後退リスク」というレポートを私に送ってくれた。

ここで「ラニーニャ」について説明しよう。

女の子の意で「エルニーニョ」(男の子の意)と対している。

南東ペルー沖で、暖水が北から逆流して海水温が上昇する。これがエルニーニョ。日本では暖冬、冷夏となる。

この逆がラニーニャである。

観測の基準としては、気象庁は海面水温の過去30年間の平均プラス0.5℃以上がエルニーニョ。

逆にマイナス0.5℃以下がラニーニャである。

嶋中さんは「エルニーニョの年には、日本の景気は後退しやすいが、ラニーニャの年には猛暑、厳冬が予想されるため、個人消費が季節品需要(エアコン、衣料、食料など)を盛り上げる」と述べている。

好材料であることはいう迄もない。

先々週のこのブログに書いて、ご質問が多いもうひとつの好材料についても述べる。

大和証券理事でチーフテクニカルアナリスト兼ストラテジストの木野内栄治さんの論文を紹介する。

私が外人ストラテジストに日本株をすすめると「日銀の持っているETF経由の持ち株はいつ売るんだ。市場は暴落するぜ」と必ず言う。

木野内さんは、次のように言う。

「日銀保有のETFは昨年9月時点で27兆6000億円に達しており、市場売却されれば確かに物価への悪影響は大きい。しかし『信託型従業員持ち株制度』を利用して、年金資産としてプールすれば、長期にわたり、なだらかな現金化で可能になる。」

「この制度は、伝統的な従業員持ち株制度を有している企業が従業員持ち株投資会社を作る。その会社が日銀の持ち分を借り入れで一括取得する。」

「NISAやiDECOなどで国民の4分の1に当たる3000万人が、iDECOの上限年14万4000円を投じると、6年半で現在の日銀取得のETFが消化される。」

「日銀保有のETFは昨年9月末で3兆1000億円の含み益を有する。日銀が取得した価格で前述の信託にETFを譲渡すれば、含み益は従業員にとってはインセンティブになる。」

以上。いい材料だが、マスコミが注目していない2点を挙げた。

出来れば、ここ数週間の私のブログをひっくり返してほしい。4万円への途は、皆が笑うほどバカげてはいない。

私は、いぜんとして強気だ。


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