「日経平均、来年5万円」(エミン・ユルマズ)説の当否と、NY株の割高性
2025・6・15(第1277回)

<東洋経済オンラインより>
週刊東洋経済6月14日号を読んでいたら、人気のアナリストのエミン・ユルマズさんの見通しがあった。
「日経平均は来年5万円に到達、2030年に7万円を超える」という見出しで、2ページの記事である。
エミンさんは「私の想定シナリオでは、米国の景気が明らかに後退しているとデータで見えた時点で、世界株は3〜5割調整する。景気後退を受けて、日本銀行もFRB(米連邦準備制度理事会)も全力で金融緩和に切り替えると思う。そしてこれまで以上に大きなインフレの波とともに、日経平均は26年には5万円、30年には7万円を突破するのではないか。」
私は、今後3~5割世界株(もちろん日本も同じだろう)が下落したら、日経平均は1万数千円。これが1、2年で7万円。つまり4倍から5倍になる、というのは、いくら何でも上昇幅が大きすぎる。不可能とはいえないが、可能性は大きくないと思う。
ただし、時点は可能性は大きくないが、目標値はいいところにある。
名目GDPが1000兆円(2040年)の目標を参院選迄の公約として掲げる方針がある。石破首相は2024年の609兆円から1000兆円に1.6倍まで増加させる。そのためには平均で6割増加させる」と述べている。

<第一生命経済研究所レポートより>
第一生命経済研究所のレポート(6月11日)によると、「機械的に1.6倍とすると約6万円。1990年以降のデータによると約9万円になる。2040年のことだが。
さて、前々回述べた「ウォーレン・バフェット氏がNY株を売却している」ことの裏付けが、割高な株価水準であるとみられることを挙げている。

<ウォールストリートジャーナルより>
WSJ紙の5月19日の記事によると、①景気循環調整後利益基づくPER、②過去12カ月間の利益に基づくPER、③今後12カ月間の予想利益に基づくPER、いずれも、これまでより高い価格になっている。
もうひとつ。世界のファンドマネジャー達が良く使うPERの逆数「益回り」を米国債利回りと比較する。

<ウォールストリートジャーナルより>
チャートはロバート・シラー氏のものだが現在のS&P500種の益回りは2.8%であり、インフレ調整後の10年債利回りを1.4ポイント上回っている。その分、割高ということだ。
今回は余り元気が出ないテーマになってしまったが、ダメな面の日ばかりじゃない。梅雨もいつか晴れる。元気を出していきましょう。
GOOD LUCK!
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