黒澤明「蜘蛛巣城」と大統領の地位に固執するトランプ2.0。そして私の相場見通し

2025・11・2(第1297回)

アマゾンより>

三船敏郎演じるマクベスが、最後は矢でクビをつらぬかれ、目をむいて死ぬ。「マクベス」は悲劇だが、主君殺しが重要なテーマのひとつになっており、そこに森の中で会った魔女の予言がからむ。

ウィキペディアより>

クビに矢がささる前のマクベスは、生への執着をむき出しにしており、思わず同情したくなる。ロンドンで観たときも、そんなテーマを強調していた。

地位への執着、という点では天下広しといえどもドナルド・トランプ米国大統領の右に出る者はまあ存在しないだろう。

二週間前に私は、800人近い軍首脳(制服組)を、首都に近いバージニア州の海兵隊基地に招集したことを述べた。理由は分らなかったが、私のワシントンの情報ソースは、その折トランプ大統領が述べたスピーチを教えてくれた(Washington Watch10月18日付)。 

9月30日トランプ大統領こう述べた。「極左の民主党が支配する都市は非常に危険だったとして『内なる戦争』に勝つことが今後数年間、軍の最重要任務となる」。

また、この内なる戦争を「新戦争」と名付け、歴史的に外敵と内敵双方と戦った英雄的指導者として、ワシントン、リンカーン、クリーブランド、G・W・ブッシュなどを挙げた。

すでにロサンゼルス、ワシントンD.C.の内戦をオレゴン州ポートランド、イリノイ州シカゴ、マサチューセッツ州ボストンまで「War Zone」を広げようとし、軍隊の訓練場にすべきだともしている。現在そのための特任部隊が準備されている。

この戦争状態を2028年の次期米国大統領選の時期までひっぱれば大統領の地位をつづけることが出来る。

勿論、米国の憲法は三選を固く禁じている。しかし、あの手この手で、法の抜け道をトランプ2.0は探している。

「米大統領がCIAに外国での秘密工作を指令するケースは多くない。過去半世紀ではカーター大統領(民主党)が1979年、旧ソ連のアフガニスタン侵攻後、アフガン人の対ソ連軍ゲリラ活動の支援工作をCIAに命じた他、1980年代半ば、ニカラグアの革命左翼政権に対抗した親米反政府民兵組織コントラを支えるため、レーガン大統領(共和党)がCIAに秘密支援を命じた。G.W.ブッシュ大統領(共和党)は、上記の通り、9/11後ビン・ラディン容疑者やアルカイダ残党を一掃するため、及びシリアのアサド前政権の暴政に抵抗運動を続けた反体制勢力助勢のためCIAに秘密工作を命じている。

トランプ氏は2期目になり「トランプ人気」を煽るため自分の事業会社にオンラインで「トランプ・グッズ」を売らせている。ヒット商品は「Trump 2028」と大書した赤い帽子である。2028は次期大統領選挙を意味し、トランプ氏が2028年の大統領選挙で当選し、もう1期大統領を務めることを望む声を掻き立てる狙いで売り出した。上記の通り、憲法の大統領3選禁止規定はあっても、トランプ氏は「法の抜け道」を探している。「戦争中のため大統領選挙中止により大統領を続ける」ことが可能か、当面の焦点となっている。

加えて「戦争中なら大統領選挙を大統領が中止でき、それによって大統領3期目を掌中に収める」とのトランプ大統領の「延命策路」はもう一つの点でも「障害」がある。大統領選挙日は米連邦議会に設定権があり、かつ同選挙は1845年以来1回も「中止」されたことがないことだ。同年米議会は4年毎の大統領選挙日を「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と設定、その後現在に至るまで、南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦中も含め、1回も休まず続けて行ってきている。トランプ氏はこの伝統を破って、大統領に居座る算段を練っている。

米議会が大統領選挙日を「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と手の込んだ決め方をしたのは(1)当時米国は農業国家で、11月上旬は農閑期(10月末で刈り入れが終わり、感謝祭がある11月下旬には冬支度を始めるため忙しい)で投票しやすい(2)農民(有権者)は投票するため郡庁所在地まで馬車で丸1日かけて行かなければならず月曜日投票が難しかった(3)日曜日はキリスト教の安息日、水曜日は多くの町で市場が開かれたから避ける必要があった(4)「第1火曜日」にするとキリスト教徒にとり大事な「諸聖人の日」の11月1日と重なる可能性がある(5) 逆に「第2火曜日」にすると、11月中旬になり冬支度に影響が出る――との現実を勘案したためである。)

そして2029年1月20日から大統領3期目に入るならトランプ氏はその時点で82歳である。米国は史上最高齢の大統領時代を迎える」(Washington Watch10月18日付)。

会社四季報オンラインより>

私が信頼するテクニカルアナリストの宮田直彦さんは、4万9000円を永い間史上最高値を予想している。この人が、どう言っているか最近の彼のレターを引用しよう。

マーケットスクエアより>

「【週足 エリオット波動分析】

今年4月7日安値(30,792.74円)からインターミディエイト級第(5)波の上昇にあり、この第(5)波完成を以て、コロナショック底(16,358.19円、20年3月)からのプライマリー第➂波は完成します。

10月20日、日経平均はザラバと終値の両方で初めて4万9000円に乗せました。「9~10月に日経平均が4万5000円~4万9000円」という筆者の予想は十二分に達成されました。

4月7日週から今週は28週目です。週次トレンドは半年程度で一巡することが珍しくなく、第➂波天井は10月中に付ける可能性があります。

直近の水準は、21年2月高値以来の上チャネルライン水準を明確に上回っていますが、これは強気相場の最後を飾るスローオーバー(throw-over)の可能性があります。」<マーケットスクエアより>

では皆さん、Good luck!

関連記事

時価総額更新を機に日本株投資戦略を再考しよう

日本個人投資家協会副理事長 岡部陽二 東証第一部の時価総額(終値ベース)は昨年(2015年)の5月

記事を読む

「資産運用立国」はカケ声だけに止まるのか。「金利のある世界」をもっと高度利用すべき。まだイケる銘柄5つ。

2024・7・14(第1229回) 入院して早くも5週間。運動出来ないのと、病状の治り方のペ

記事を読む

急落時には安値を拾う
ギリシャは影響少だが中国の大幅減速は世界景気に波及
木村喜由のマーケットインサイト

市場には不思議と波乱になったり、最安値、最高値を付けに行くような極端な値動きをしやすい時間帯がある。

記事を読む

【初・中級者向き】 半値で会社を売り渡し上場廃止にする対価がカステラ1つでしょうか?

日本個人投資家協会事務局長 奥寿夫 あなたたちの会社が上場している意義は何ですか? 投資家と

記事を読む

G・ガルシア・マルケス「百年の孤独」とバフェット弱気に対し、私の強気の理由。ポスト岸田をどうみるか

2024・8・18(第1234回) <アマゾンより。病床でも読書してます!>

記事を読む

PAGE TOP ↑