日本人が知らない中国投資の見極め方【1】
アリババの米国上場で注目
中国のインターネット企業
アナリスト 周 愛蓮
電子商取引(eコマース)で中国最大手のアリババ・グループ(阿里巴巴集団)が早ければ8月にも米国で株式公開する。アリババは米アマゾンなども超え、世界最大のeコマース企業に成長。アリババの新規公開で、改めて中国のインターネット企業の急成長に世界の注目が集まるだろう。
中国のネットユーザーは2013年時点で6億1758億人と世界最大規模。前年比で5358万人も増えたが、中国全土の普及率はまだ45.8%で、今後もさらなる成長が見込める。
これに連動して急成長しているのが中国のeコマース市場。調査会社iReserchによれば、13年は9.9兆元(約160兆円)に拡大。これが15年には15.5兆元、17年には21.6兆元に拡大すると予想されている。
なかでも成長著しいのが、ネットショッピング(ネット通販)だ。
利用者は13年で3億人を超え、年間売上高は1兆8400億元(約30兆円)と米国を超えて世界最大の市場となった。これが17年には4兆4500億元(約71兆円)にまで拡大する。
ネット広告やオンライン旅行サービスなども拡大している。
ネット広告の市場規模は11年に新聞広告を上回り、513億元まで成長。これが13年には1100億元に拡大、15年には2000億元と倍々ゲームの成長が見込まれている。
オンライン旅行サービスも13年には前年比27%増の2181億元に拡大。 爆発的な成長期が過ぎたと言われるオンラインゲーム市場も13年の市場は同33%増の900億元とモバイル・ゲームが牽引。今後も20%台の安定成長が見込まれている。
中国のネット業界の特徴は、各ビジネス分野に圧倒的なシェアを持つ最大手の企業がおり、その周辺で多数の企業が競争するという世界一熾烈な競争環境にあることだ。それだけにネットユーザーのニーズを迅速にくみ取り、サービスを改善している国際競争力を持った企業が少なくない。
海外の投資家にとって好ましいのは、こうした国際競争力を持った中国のインターネット企業の多くが海外の株式市場で上場している点だ。
中国本土市場に上場している株(通称A株)は、海外の個人投資家に購入できないが、以下に紹介する企業は全て日本の個人投資家も購入することができる。
社名の後の()はティッカーコード
■アリババ・グループ=阿里巴巴集団
eコマースで世界最大手。取引高で米アマゾンを上回る。NY市場に上場申請を行っており、早ければ8月にも上場するもよう。
ソフトバンクと米国ヤフーが出資しているため、日本でも知名度が高い。アリババの米上場で、中国のネット企業への注目度も高まる見込み。
■百度=バイドウ(BIDU)
中国の検索サイト最大手。市場シェアは約70%。米国ナスダック市場に上場。
2005年上場時の株価は2.7ドル(株式分割調整済み)だったが、現在は190ドル前後。
オンライン広告の急成長と積極的なM&A(合併・買収)を通じて、いまなお大幅な増収増益を続けている。
■騰訊=テンセント (0700.HK.)
中国のオンラインゲーム最大手。13年の売上高は600億元超(約1兆円)。
ゲームのほか、SNS(交流サイト)サービスの利用者数でも中国最大。同社独自の無料メッセンジャーアプリの微信(ウェイシン)の利用者数は3.5億人以上。
04年に香港株式市場に上場。IPO価格は0.74香港ドル(同、調整後)だったが、今では120香港ドルを上回っている。年間の利益成長率は30%前後と高い。
■携程旅行網=シートリップ・ドット・コム(CTRP)
中国のオンライン旅行サービス最大手。14年1ー3月期時点の市場シェアは52%。
03年に2.25ドルの公募価格(調整後)で米ナスダックに上場。現在の株価は約60ドル。
■奇虎360科技=チーフー360テクノロジー(QIHU)
中国のネット・セキュリティー・サービス最大手。11年に米NY市場に上場。
公募価格14.5ドル、現在は約90ドル。
■捜房網=ソーファン ホールディングス(SFUN)
不動産ポータルサイトでは中国最大手。10年にNY市場上場。
公募価格2.13ドル(調整後)、現在は約10ドル。
■網易=ネットイーズ(NTES)
ネットアプリの開発などネット技術の開発を営む中国の大手ネット企業。
00年に米ナスダック上場。公募価格は3.88ドル(調整後)、現在は80ドル前後。
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