「大回り3年」の2016年相場
ナンピン、スカンピンにならないように
日本個人投資家協会事務局長 奥寿夫
アベノミクス相場は2012年11月に始まってから3年が経ちました。
「小回り三月、大回り三年」という相場格言があります。売買の期間を最初から決めて、もし見込みが違ったら早めに処置することを考えなければならない、短期なら3力月、長期だったら3年間を周期として考えるべきという意味です。
私は年賀状のご挨拶の中に「今年はアベノミクスの正念場 株価指数15%の下落に買えますか!!」と記しました。
昨2015年の日経平均の高値は2万0952円。15%の下落だと約1万7800円となります。年初から株市場は荒れ模様で、この状況が現実となってしまいました。
この下げの過程で「ナンピン買い下がり」をする方もいらっしゃるでしょう。ですが信用取引で買うのは厳禁です。企業業績も想定以上に弱く、大きな痛手を負いかねません。
実際、ここ数日は信用買い残が増えています。普通なら逃げないといけない状況であるはずなのに買い向かっているわけです。この人たちは相場格言にある「ナンピン、スカンピン」の典型ではないでしょうか。
次の展開が見えてくるのは、このような人たちが総投げしたときです。
一方、目先で日本経済のピークは東京五輪前年の2019年と考えられます。そうなると株価は「大回り3年」で今年はいったん休憩したとしても、来年以降は19年にかけて「三段上げ」が期待できます。ただ、それは徒花(あだばな)かもしれないことは念頭に置いておきましょう。
世界に目を転じれば問題は山積です。民族・宗教対立、難民、紛争拡散に資源価格の下落……。EU(欧州連合)の変革や独裁強行国家の騒乱・瓦解は起こりうることです。
強気相場が続いたこの3年と比べると投資家にとっては多難な年になるかと思われますが、皆さまと無事この相場を乗り越えられることを祈念して、年初の挨拶とさせていただきます。
関連記事
-
映画「沈黙のパレード」と米国経済のマイルドランディングとプーチンの自滅。そしてNY株と日本株の「差」(第1134回)
東野圭吾さんのこのシリーズは10冊で1500万部売ったという。 変人だが天才
-
【初・中級者向き】映画「千と千尋の神隠し」と8月の嵐の後の投資作戦
(第976回) 2019・8・18 ご存知の通りの宮崎駿監督の傑作で日本歴代興行収入第1位。第7
-
映画「PERFECT DAYS(パーフェクト デイズ)」と、2024年相場を的中させる確率の高い「当たり屋」のご紹介
映画「PERFECT DAYS(パーフェクト デイズ)」と、2024年相場を的中させる確率の高い「
-
基本の話by前田昌孝(第27回、終了!日銀ETF買い)
日銀が3月18~19日の金融政策決定会合で、株価指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ政策を終
-
映画「史上最大の作戦」と不況対策によるトランプ人気回復、それに日経平均暴落時でも株高になった我が国の銘柄(第1005回)
ご存知の戦争映画の代表作。当時の製作費43億円は普通の作品なら7,8本作れる巨費。エキストラの兵