映画「アイ アム ア ヒーロー」と大逆転

2016・4・30

600万部を売った花沢健吾の原作コミックの映画化だが、ベルギー、スペイン、ポルトガル、米国で受賞。話題を集めている。佐藤信介監督、主演大泉洋、ヒロインは有村架純と長沢まさみ。テンポの早い波乱万丈の快作で面白い。

35歳の鈴木英雄は漫画家アシスタントで全くメが出ず彼女とは破局寸前。ところがある日突然、アパートに戻ったら彼女は謎の感染でバケモノ「ゾキュン」に変わっていた!国中が感染パニック。そこからタクシーの暴走あり、標高の高い所ではうつらないという情報が頼りの逃走ありで急展開してゆく。

GWはヘッジファンドが仕掛け放題

平凡で頼りない主人公が、道中で出会った女子高生と元看護士とともに極限のサバイバルを開始。私はこの展開が、私の5,6月の相場シナリオに似ていると感じた。

この原稿を書いている4月30日現在、相場はひどい状況で円買い株先物売りのヘッジファンドの作戦の完勝。1週間で1万7000円台半ばから、28日には1万6666円に下げ、円レートは1ドル111円台から106円台に円高が進んだ。

具合の悪いことに来週は2日(月)と6日(金)の取引しかない。この間ヘッジファンドの仕掛け放題だろう。株価は悪魔のシンボルの6666。いいことはないのでは。

恐らく為替市場では円高。1ドル105円で止るか、どうか。

8月26日現在の投機玉は19日比で9144枚減少。112~3円で仕掛けた投機筋は、利食いに入った形跡があるので、せいぜい、あと少しと思うが。ミセス・ワタナベのドル弱気姿勢をエサにしている。

円高と先物売りで、二日間しかない取引日で急騰する可能性は極めて少ない。普通の上げ相場ならその逆で上げが拡大するのだが、円高→企業収益ダウン→株売りのストーリー。日本勢はお休みのところが多いし、投機筋は日本のホリデーは関係ない。仕事をしたくてウズウズしている。5月20日がヘッジファンドの決算だし、解約が多かったここ何ヵ月なので、運用成績を少しでも良くしたいはずだ。

安値は買い、5つの理由

しかし、来週の安値は買いだろう。理由は次の通り。

まず第一に5月26,27日の伊勢志摩サミット終了後の記者会見。安倍首相は財政出動で景気刺激を発表する。熊本の不幸な大地震への対策もあり、大型予算だろう。

第二には日銀。今回は弾丸を温存したが、政府との協力もあり、早晩追加緩和が発表される。6月15、16日の日銀政策決定会合でサムスィング・ビッグがあるだろうという期待で5月は、高い。

市場環境の変化も見逃せない。一番目立つのは原油価格でバレル46ドル台まで戻し、鉄鉱石、銅まで資源価格は上昇。中国経済がひところ騒がれた即死説が消えた。まあメチャメチャな景気対策だが、ともかく破局先延ばし政策は効いている。私が以前から主張している通り、中国は将来はともかく、ここ1,2年はハードランディングしない。

サウジのアラムコ公開でJPモルガンをアドバイザーにするなど、準備は進行中。これもSWFの大量売りの悪夢を少なくとも軽減する。

東京市場に対する外国人売りはこれまでで3兆円を超えた。サウジは昨年700億ドルの株売り、今年は専門家の予想は4000億ドル。その通りと考え、日本株の比重8%にすると4兆円。ヤマをこえた、と断言していいだろう。

以上が私の来週の安値は押し目買いのチャンスと考える理由だ。

大逆転は突然に

では底値がいくらか。高値はいくらか。正直言ってそこまではわからない。その場になってみなくては。しかし2月12日の時に大底説と申し上げたのを思い出していただきたい。幸いこのブログの読者は引用して頂いているものを含め月間ウン十万もの方が読者だ。予想が外れて申し訳ない思いをしたことは何べんもあるが、読者数は減るどころじゃない。ありがとうございます。

結論。私は強気だ。

映画のセリフから。

主人公は連発銃の免許を持ち、これが支えになって難局を切り抜ける。そこで女子高生が「英雄はヒデオじゃなくてヒーローだね」。それ以前はダメ人間で女性を助けようとしても不安で隠れているロッカーからなかなか飛び出せなかったのに。相場も同じで、ある日突然、流れは変わる。

映画「アイ アム ア ヒーロー」と大逆転(第824回) 

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