昨年は500%超のリターン!ドヤッ
実録・投資セミナー 仮想通貨編【上】
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最終更新日:2016/05/11
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ジャイコミ編集部
投資セミナーに行けば、販売会社がどんな投資商品を売りたがっているのか、どのような口説き文句を使っているのかがわかる――。
昨年くらいから投資セミナーのネタとして局所的な盛り上がりをみせているのが仮想通貨(暗号通貨)だ。
仮想通貨はインターネット上で利用されるおカネのようなもの。セキュリティ対策として暗号技術がベースにあるため「暗号通貨」とも呼ばれる。
セミナーの主旨はいたってシンプルだ。「近い将来に価値が上がるので、今のうちに買っておきましょう」というだけ。未公開株への投資話をイメージすればいい。
鉄板ネタの「4億円のピザ」とビットコイン長者
今回参加したセミナーは東京・渋谷の貸し会議室で開かれた。参加者は男性7:女性3といった割合だろうか。年齢層は40代から60代くらいまでと予想外に幅広い。
講師は30代前半とみられる男性でかなり弁が立つ。「口達者」という表現のほうが適切かもしれない。
仮想通貨関連のセミナーではいくつかの「鉄板ネタ」がある。もちろんこのセミナーでもその話が出てきた。
12万4000円って何だと思います?1ビットコインの最高値です。
2011年に1万ビットコインでピザ2枚を買うという取引が成立しました。これが通貨として使用された最初の例といわれます。
1万ビットコインは今いくらか?4億円を超えています。ピザの代金が4億円になったわけです。ビットコインが最高値のときだと12億円です。
仮想通貨セミナーの序盤は大体、仮想通貨の代表格であるビットコインの説明だ。
財政危機に陥ったギリシャやキプロスでは紙幣が紙くずになることを恐れた市民がビットコインを買って資産防衛の手段として使い始めたこと、中国でも富裕層が資金を国外に持ち出すための手段としてビットコインを用いていることなどが講師から紹介される。
だが人間、現金なもので儲かった話のほうが心に響くものだ。次のような「長者」の話もそうだろう。
僕の周りには暗号通貨長者、ビットコイン長者がいます。多いっすよ!
ビットコインは09年のスタート時は1BTC(ビットコインの単位)=0.1円でした。そこから13年のピーク時には12万4000円。つまり百万倍になったんですね。100円分買ったら1億円です。実際にあった話なんですけど、ビットコインを30万円分買って2000万~3000万円にしたパートタイマーのおばちゃんがいたんです。増えた1000万円分は利確(利益確定)して、残りは他のいろんな仮想通貨を買っていったんです。
僕のことを専門家だと知っていたので「何がいいの」と聞いてきて、公開前のイーサリアムを薦めたんです。それを300万円くらいで買って、約30倍の9000万円くらいになったんです。これで気持ちが盛り上がって。「また教えて」と来たので、次にレピュテーションコインを教えたんです。それに1000万円くらい突っ込んだのかな。これがいま2億円になってます。
イーサリアムは現在、ビットコインに次いで時価総額の大きい仮想通貨だ。仮想通貨全体の時価総額のうち、この2つのコインで仮想通貨全体の時価総額の9割を占めている。レピュテーションも仮想通貨の1つである。「公開前」については後述する。
(これ以上の説明は省略するが、この2つは単にコインとして注目されているわけではない。興味がある人は調べてみることをお勧めする。ブロックチェーンがもたらそうとしているインパクトがどんなものか、素人にもおぼろげながら見えてくるからだ。ビットコイン&ブロックチェーン研究所(日本デジタルマネー協会理事の大石哲之氏ブログ)などが参考になる)
成功談に続けてしたのが失敗談。あえて失敗にも触れることで、セミナー参加者の心をがっちりつかむ作戦なのだろう。若いのに実に上手い語り口だ。
2011年のことでしょうか。一人の怪しいおじさんが僕のところに来ました。歳は40過ぎだけど、カジュアルジャケットを着て、先が尖った靴をはいている。
そして言ったんです。「○○ちゃん、ビットコイン買わない?500円で」怪しいので、僕は関心すら持たなかった。もしこのときに200万円くらい出していたら、4億5000万くらいになってました。なんで尖った靴はいてきたねん!
ビットコインのような100倍、1000倍を超える値上がり率はもうあまり期待しないほうがいいと思うんです。でも10倍、20倍出るコインはざらにあるんですね。景気のいい話じゃないですか。
こういうときにちゃんと乗ることが大切なんです。こういう倍率はずっとじゃないですから。いまはバブル期。
予想の斜め上をいく煽りっぷりだが、ここまでくるとむしろすがすがしい。
なおこの手のセミナーを行う団体は「一般社団法人」であることも少なくない。何となく響きがよく、それだけで信用してしまいがちだが、公益性がなくてもなれるものだ。「公益社団法人」と混同しないようにしよう。
値段を吊り上げるのも自由です
儲け話の臭いが漂ってきたことで、セミナー会場の場は十分に温まった。
男性講師の話はさらにヒートアップしていく。
なんでコインの価値が上がっていくんですかという質問をよく頂きます。
株の場合、欲しい人が増えると値段が上がるというのが基本的な構造です。需要と供給の関係です。仮想通貨では値が上がるから欲しい人が増えるという関係があります。仮想通貨は今のところインサイダーとか市場操作というのが適用されません。現時点では金融商品でないからです。なので値段を吊り上げるのも自由です。上場株なら相場操縦となり事件になりますが、仮想通貨の場合だと問題ない。
では値上がることがわかっていたら……。欲しい人は増えますよね。こういうものはマーケットに出る前、つまり「公開前」のもので多く出ています。値上がることがわかっているので買う人が出る。欲しい人が増えるからコインも価値が出てくるという循環が作られていくのが仮想通貨の特徴。
ただ、こういう未公開の話って誰でも聞けるわけではありません。公開前と公開後だと全然リターンが違います。
僕はレピュテーションコインというものを100ビットコイン分買いました。1BTC=2万8000円くらいだったので約280万円分です。それが現在380ビットコイン分にまで上がりました。この間3カ月程度、それで3・8倍です。ビットコイン自体も上がったので円換算すると1900万円くらいでしょうか。280万円が3カ月で1900万円と6倍。ま、そんなものです(さらりとドヤる)。
こんな感じで僕の場合、去年1年間のリターンが500%くらいでした。
講師のいう「公開前」とは、ネット上に設ける自社取引所(交換や売買ができる場所)やビットコインなどを扱っている既存取引所(国内含め世界に複数ある)で公に売買されていない状態を指す。株式と同じで取引所で一般の人も売買できる状態を「公開」といっている。
公開前は人づてにしか購入できず、その段階を「プレ販売」「クラウドセール」「縁故販売」などと呼んでいる。この期間中はコインを購入することはできるが売却は不可としているものが多いようだ。
気になるのが「値段を吊り上げるのも自由」という発言だ。正直、講師はどのような状況を念頭に置いて、このような発言をしたのかはわからない。
言葉どおりにとらえると、公開前にせよ公開後にせよ、コインの発行会社や運営会社が価格を恣意的に動かすことがありますよ、と暴露しているのだが。
公開前は購入できても売却は不可というタイプのコインであれば、購入者が増えるにつれて価格は上がるということを言いたかったのだろうか。
それをまさしく「吊り上げる」ようにやっているのが、「ネットワーク型」といわれるマルチ商法まがいのタイプのコインだ。マルチ商法は報酬を餌にピラミッド状に販売組織を拡大しながら商品の拡販を図る手法で、コインを人に紹介すればするほど自分に報酬が入るとともに、購入者が増えていくのでコインの価格を人為的に上げていける。
ここまで読んできた皆さん、「そんな儲け話があるなら他人に教えるわけがない」とツッコミを入れたくなるのではないか。
だがデキる講師の彼はこのツッコミへの返しも当然用意している。
それはいい視点ですね。半分そのとおりだと思います。ただ種類にもよります。
たとえば自分しか携帯電話を持っていなかったら意味あります?ないですよね。みんなが持っていて使うから意味があるんですね。使えば使うほど価値が出てくる。
通貨とかまさにそうです。僕とあなたしか使えない通貨だと肩叩き券レベルのものでしかありません。でも日本全員が持っていたらどうなるか。これが日本円ですね。通貨はどんどん普及していくほど価値が出てくるわけです。
やはり、口達者だ。
前振りが長くなってしまった(実はまだ前振りなんです)。
この続きはあなたも踏み出しちゃえばいいんです!実録・投資セミナー 仮想通貨編【中】で。
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