【初・中級者向き】映画「スリー・ビルボード」NY株急落

公開日: : 最終更新日:2018/02/07 マーケットEye ,

 

 

2018年2月4日

劇作家として著名なマーティン・マクドナーの映画進出で注目していたが、期待にたがわない一作だった。

舞台は米国ミズーリ州の田舎町、うららかな風景の中に巨大な赤の広告看板が三つ。7か月前に娘を殺された母親が、一向に進まない捜査に怒って出した広告で警察を非難する。女主人公ミルドレッドは口も態度も悪く、時には法に触れるような行動も。一方、警察署長のウィロビーは重いガンを患いながら家族思いで、これまた意外な行動を起こす。ウィロビーを父のように慕うディクソン巡査は暴力的な差別主義者でマザコン。登場人物たちの行動は私の予想をはるかに超えて激しい。犯人捜しのミステリー劇ではない。テーマは「許し」。一筋縄ではゆかない群像劇で、アカデミー賞脚本賞が有力視されている。

 

この1週間、NYダウの下げがきつく、2月2日には665ドル安、2万5520ドルになった。1月26日の2万6616ドルからほぼ1000ドル、4・5%下げた。当然の調整だろう。25日移動平均とのカイリ率が高値日の4・53%から2月1日に1・91%に下降、スピード調整に違いない。

米長期金利の上昇は要注意

ただ、私にはそれだけですむのかな?という恐怖感がぬぐい切れない。長期金利の急上昇である。私にいつもヤマほど数字や資料を送ってくれる市岡繁男君は早くから「米国10年債利回りが520週移動平均を上回ったら米国株は要注意」と言っていた。

 

10年間移動平均は2・58%、2月2日には2・82%だから、米国の機関投資家は皆、含み損を抱える。当然、株などリスク資産保有は難しくなる。

 

私は先物でヘッジするだろうし、物価が下落歩調なので、金利の急上昇の可能性は大きくない、と考えていた。しかしFRBは満期が来ている債券には再投資しないので、需給関係から長期金利はジリ高になっている。長期金利が上昇する、わけだ。

 

そこにエド・ハイマンさんが「火に油」と評した法人税引き下げ、設備投資即時償却が効いて米国景気は、過熱と言わないまでも相当景気がいい。物価はジリ高基調だ。このストーリーだとNYダウは1000ドル下げではきかない。

オイルマネーの売り

流れが変わった真因は①仮想通貨の流出②アップルのiphoneXの販売低調、のニュースだろう。もうひとつ、サウジなどのオイルマネーによる米国債券、株式売りである。

 

私は昨年9月10日、芝パークホテルでフォレスト出版主催の講演会で「近く発生するNY急落と背景」をタイトルにした。10~11月という予想よりずいぶん遅れたが、お詫び申し上げるしかない。

ただ、その時でも私は「日本株は大丈夫」と大強気を主張。すぐ10月2日から24日まで、立ち合い日数にして16日連騰という新記録を樹立したから、そこだけは自慢させていただく。

怒りが怒りを呼ぶ中国

ただ、米国金利上昇と株安は、とんでもないところで発火する可能性がある。

 

「スリー・ビルボード」の中のセリフ。主人公の別れた夫が若い女性を連れているのにレストランでバッタリ会い夫は言う。「この娘が言ってた。“怒りは怒りを来(きた)す。実際にそうだ。」

 

怒りが怒りを呼ぶ例は、中国だ。今の外貨準備は借入増で賄っており、金利上昇はハードランディングの可能性を大きくする。また新興国の借入金も金利負担増で金融引き締め→景気下降リスク、と相成ってロクなことはない。

 

私は強気だが、その強気でグローバルなシステミック・リスクを過小評価していたことがある。2006年ごろからサブプライム・ショックの前兆はあったが「残高は1兆ドル強で住宅ローンの1割。欧米の大手銀行は無縁」と考えられていた。

これが間違っていると教えてくださったのは日鉄住金総研の北井義久さん。米国内だけでなくグローバルな金融システムの危機につながることを詳しく説明してくださった。

 

それでは、現地に行って――となって2007年10月にNYに行ったが、時すでに遅し、でリーマン破綻でウォール街の金融システムが殆どマヒしていた。改めて複雑・怪奇な「証券化」の仕組みがマル秘の世界から表面化されて、とんでもない所が崩れ始めて居た。あとは「100年に一度」のあの騒ぎだった。

日本は大丈夫

今回は、ひょっとすると仮想通貨と思えないこともない。サブプライムの時も当初は軽視されていたんだから。「ビットコインが時価総額3000億ドルが1800億ドルになった。この程度なら米国時価は0・5%押し下げる程度」なんて説明を聞くと、逆に不安になる。

 

まあ世界中が不安材料だらけだが、日本は大丈夫、という考えに変わりはない。前提として「永久債」が必要、ということも同じだ。

映画「スリー・ビルボード」NY株急落(第895回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

ジャイコミ有料記事テキスト画像

 

関連記事

木村喜由のマーケットインサイト
株価はレンジ切り上げへ
放っておいても株に資金流入

日本個人投資家協会 理事 木村 喜由 <2015年2月号> 日経225は先週一時18,000

記事を読む

【初・中級者向き】映画「アトミック・ブロンド」と中国党大会人事と「北」制圧

2017・10・29 「007」のジェームス・ボンド、「ミッション・インポシブル」のイーサン・

記事を読む

【初・中級者向き】映画「検察側の罪人」と魅力的なマザーズ市場の注目銘柄

2018・8・26 原作はかなり前に読んだが、映画はずいぶん内容が書き加えられて、原田真監督の

記事を読む

木村喜由のマーケット通信
決算発表ラッシュ突入、株主還元策も株価への影響は微妙
東芝が握るエネルギーの本命

 日本個人投資家協会 理事 木村 喜由 本日(4月27日)から決算発表ラッシュとなるが、大勢は昨報

記事を読む

世界的暴落、まずは第一ラウンドの下値の見当は付いた

不透明感強まり、米国利上げは先送り濃厚 物凄い下げである。225は11日高値20947円から25日

記事を読む

ジャイコミメンバーの特典


メンバー登録はこちら

投資歴40年のベテラン投資家等による
他には無い、生涯の資産運用に役立つ、
本物の投資家によるマーケット情報!

投資家・経営者・業界のプロ達も読む
(有料記事の執筆者紹介はこちら)

ジャイコミをフォローしよう


ジャイコミをフォローしよう
 


メディアとは異なり、利害関係が無いNPOだからできる唯一の中立な情報サイト
『真の情報を、数多くの人々に広める』
  • より賢く、豊かで自立した投資家を育てる

    by NPO日本個人投資家協会
PAGE TOP ↑