【初・中級者向き】映画「知りすぎていた男」と米中関税戦争と漁夫の利を得る日本

公開日: : 最終更新日:2019/09/01 マーケットEye, 中級, 初級, 無料記事 ,

2019・5・19(第963回)

ご存知のヒッチコック監督の名作で、ジェームス・スチュアートとドリス・ディの共演。「ケ・セラセラ」の歌で有名だ。

同監督の1934年の「暗殺者の家」のリメイクでもある。大違いはドリス・ディの歌がヤマ場になっているところだ。

最近ドリス・ディが97歳で亡くなった。ヒット曲の「センチメンタル・ジャーニー」や「アゲイン」「二人でお茶を」なんて、ラジオで何回も聞いた。映画ではクラーク・ゲイブルと共演した「先生のお気に入り」なんかよかったなあ。

「知りすぎていた男」に話を戻す。米国人医師マッケンナ夫妻(J・スチュアート、ドリス・ディ)は息子と三人連れでモロッコに観光旅行に。怪しげなフランス人ベルナール(ダニエル・ジェラン)と知り合うがスパイだったベルナールは「アンブローズ・チャペル」という謎の言葉を残して暗殺される。

同時に息子ハンクが、一家に近寄っていた英国人夫妻によって誘拐されてしまう。そこから謎の言葉をヒントに息子探しが始まる。

少ないヒントを足掛かりに先行きの出来事を予測する作業が、今やマスコミはもちろん、ストラテジスト、エコノミスト、ファンドマネジャーによって、今や花盛りだ。もちろん大テーマは米中関税戦争の成り行きである。

わたくしなりの予想を申し上げておこう。

第一に米中貿易戦争の習近平首席が突然にケンカ腰になったことは重要なヒントだ。

おそらく二つの理由があるのだろう。

第一は台湾総統選(明年1月)での郭台銘鴻海会長の勝利の確率が相当高まっていること。当選後に中台両首脳による「一つの中国」共同宣言を習近平は期待していた。(私の時事通信コメントライナー5月9日をご覧ください)。

第二は米国の大統領選で民主党元副大統領ジョー・バイデン氏の出馬である。同氏は親中派政治家の代表であり、明年秋まで待てばいいと習近平は考えたのだろう。

二つともまだ期待材料に過ぎない。しかし習近平首席が「責任はすべてわたくしが負う」とまで言って、最後の妥結案を強硬なものに変更した(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト。

私はこの習近平側の強腰のちゃぶ台返しに対し、トランプ大統領が少々腰が引けて見えるのが少々心配である。

私は13日の深夜3時に起きてCNNのトランプ大統領の記者会見を観た。記者の質問が集中したのは米中関税。これについてトランプは次のように発言した。

  • 6月のG20に出席する(当初は欠席と発表していた)
  • 習近平首席とは首脳会談を行う。そこでは「何か起きるのかもしれない」「非常に有意義な会合になるかもしれない」とトランプ大統領は述べている。

ひょっとして両国のツッパリ合いになれば、市場経済の米国よりも共産党一党支配の方が耐久力がある、と考えているのかもしれない。私がトランプ腰砕けを懸念する理由だ。

ただこの腰砕けを含めて「新冷戦」が長期にわたればわたるほど、日本が漁夫の利を受けることは確かだ。

最新の世界貿易分析モデルのGTAPによると、成長率への影響は米国がマイナス1・60%、中国が2・46%のマイナス分、押し下げられる。しかし日本はプラス0・23%押し上げられる。(大和総研資料による)。

映画でドリス・ディが歌う「ケ・セラ・セラ」の歌詞を。

私が小さい女の子だった時

ママに聞いた

私、何になるの?

きれいになるの?お金持ちになれる?

そしたら、ママはこう答えた。

ケ・セラ・セラ なるようになるのよ

先のことは分からない

ケ・セラ・セラ

なるようになるわよ

ずい分イマイ先生、無責任じゃないの、と文句を言われそうですね。しかし、米中両国が新冷戦時代に突入すれば、日本が代替生産でメリットを受けることは絶対に確かです。詳しくは9月に発刊する私の近著で分析いたします。

関連記事

難問山積、疑問視されて当然の中国株の反騰

今週の経済雑誌はこぞって中国リスクを特集記事にしている。それも当然だろう。株価急落が不動産市

記事を読む

新高値更新の金先物価格。本命・小泉進次郎候補にクラ替えした私の調査

2024・8・25(第1235回) 本当なら亡くなったアラン・ドロン氏の出演作をとり上げると

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「ミステリと言う勿れ」とハマスのイスラエル攻撃のわが国にもたらす影響。上下動に関係なく利幅が狙える3銘柄

映画「ミステリと言う勿れ」とハマスのイスラエル攻撃のわが国にもたらす影響。上下動に関係なく利幅が狙

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

木下順二「巨匠」と対ドル120円の円高。そして米国の景気後退

木下順二「巨匠」と対ドル120円の円高。そして米国の景気後退 2023・12・17(第120

記事を読む

2024年からはじまった新NISAをわかりやすく解説

2024年からはじまった新NISAをわかりやすく説明 2024年からこれまでのNIS

記事を読む

PAGE TOP ↑