日経平均2千円を超える大幅下落を起こした真犯人。 そして私が五月十三日の二万七千円台を底値と判断したワケ (第1064回)
文字通りのメイ・ストームだった。五月十日(月)の二万9518円から五月
十三日(木)の二万7488円まで、下げ幅は二千円を超えた。
市場で騒いだ下げ材料は、五月十二日発表の四月の米国の消費者物価。年率
4・2%。市場ではまつたく予想していなかったので、10年もの国債の金利
は一時、四月五日以来の1・7%台に乗せた。
しかし、後述する理由からNY市場は落ち着き、金利は再び1・6%台に。
株の方も同じ。五月一三日、一四日の両日で、NYダウは合わせて八百ドルも
高騰した。
理由の説明に戻る。「バロンズ」10月13日号の説明を要約すると打撃が
大きかった部門は、パンデミックで打撃を受けた部門がまず第一だ。
②たとえば航空チケットは10・2%、ホテルは8・8%も一か月で上昇した。
③パソコン5・1%、中古車10%は半導体不足の影響だろう。
④しかしこれらの部門の米国経済全体の7%に過ぎない。残りの93%は0・
3%の上昇にとどまった。
私の結論は「市場の解釈は誤解で影響は大したことはない」。そうでしょ?
日本の方は、これにプラスして東京オリ・パラの中止がくすぶったことと、信用
買いの期日がある。また米国の人気ETFのアーク・イノベーションの売り
も手伝った。
この事実を紹介したのは二人。パルナッソスインベストメントのチーフストラテ
ジストの宮島秀直さん、それに大和証券の木野内栄治理事さんだ。
以下、主に、宮島さんの5月14日のレポートを中心にまとめる。
- 未曽有の資金ダブつきで、米国の住宅・不動産投資は三十六兆四千億ドル、
前年比二兆五千億ドルの増加.個人所得の合計額も十七兆二八六三億ドルと、
同七二八七億ドルに増加。
- この結果今年支払う固定資産税は三七五億ドル、個人所得税は一六三三億
ドル。合わせて二千八億ドル。
これが五月一七日の納税期日直前の外人の大量売りの真犯人だ。特に
米国の人気ETFのアーク・イノベーションからの売りが
多かった理由である。ただ、大和の木野内さんによるとこのETFへの
資金流入は再開された。これなら、強気でいい。
結論。来週は日米ともに株は買いだ。騰落レシオも80%台で底入れを示している。
とりあえず三万円、かな。東京オリ・パラの中止が出れば、噂で売って、事実で買う
ということになるだろう。私は、相変わらず、強気だ。
関連記事
-
-
基本の話by前田昌孝(第25回、オルカン一択で失うもの)
全世界の株式を組み入れるインデックス運用の投資信託が脚光を浴びています。少額投資非課税制度(NIS
-
-
【初・中級者向き】映画「アリー/スター誕生」と2019年の日米株式市場の動向
アカデミー賞候補とうわさされる映画を最近続けて2本、観た。一つは「グリーン・ブック」そして今回の「ア
-
-
映画「サンセット大通り」と技術革新の威力、そして中東に発生した不安 (第1026回)
ビリー・ワイルダー監督の名作中の名作。無声映画時代の大スター・グロリア・スワンソンが、世間からと
-
-
木村喜由のマーケット通信
しばらく遊べるインバウンド関連銘柄
過熱して急反落してもまた戻す訪日旅行客数が30%増、2000万人達成も確実 大きく報道されていたが昨年の訪日旅
-
-
蝦夷と熊襲。21世紀後半の大発展地域。それに金価格
2025・6・8(第1276回) <日本経済新聞より> 6月3日(火)日本経済





