映画「鳥」と世界的株価急落の分析(オマケ付き)

 

ご存じヒッチコックの名作。急に鳥が人間を襲い始める。その恐怖がめちゃコワーい。しかもなぜ攻撃して来るのか全く分からないところがなお恐ろしかった。原作はデュ・モーリア、主演ティッピ・ヘドレン。恋人になるロッド・ティラーがいかにも強そうに見えて、しかも終わりに恐怖に震えるところが皮肉だった。

 

ひどい年明けだった。日経平均は12月30日の1万9033円から1月21日には1万6017円まで3000円下げた。

原因がはっきりしない。

  1. 中国経済の減速と人民元下落の反動で円高
  2. 原油価格安と産油国政府系のファンドの日本株売り
  3. 裁定取引、信用取引の記録的買い残による需給関係の悪化
  4. 米FRBの利上げの第二弾、第三段がもたらす新興国の巨大ドル建て負債による経済危機
  5. 肝心の米国経済の先行きへの不安感の抬頭。

 

まあこの五点が、云われている世界の、特に日本の日経平均3000円下げの理由付けだろう。

では、この五つの理由は、この20日間でどう変わったか。

下げ5要因のホントのところ

①の中国経済については、2月の統計が出た。スフィンクス・リサーチの藻谷俊介さんによると季節調整済み年率で10~12月期は6・3%。政府公表の6・8%より低いが、一般的に5%割れが信じられているよりは上。鉱工業生産が6%、電力3%、貨物輸送量6%の伸び。すぐ破滅説というマスコミと違い藻谷さんは「凡庸だが危機とほど遠い成長率」と。

上海株は5%以上の大株主への売り止めが解禁されたのが下落を呼んだ。終わったとはとても言えないが、売買高を見ているとヤマは越えた。上海が下がるとヘッジファンドは、カラ売りしやすい日本株を身代りに売った。とんだ迷惑。

②の原油価格安はショートカバーで反発。バレル26ドル台から32ドルに週末には上昇。連日の下落に歯止めがかかった。

産油国の政府系ファンドの日本株売りは、あったことは間違いないが騒ぐほど多量だったのか、どうか。産油国の投資はホテルや不動産が多かったはずだし、株は米国が中心。日本はこの三週間優良株の下げがとくにきつかったが、ここいらだったのだろう。

③の需給悪化。これは日本の裁定取引の買い残の解消がかなり進んでいる。12月第1週に21億株だったものが、1月20日に12億7000万株。信用取引の期日売りはまだ続いているが、損切には違いないがヤレヤレの売りが、2月第2週には期日が終わる。ヤマはこえつつある。

④の米利上げによる新興国危機は不安だけ。まだ現実化していない。

⑤の米国経済の指標?別におかしいとは思えない。(ひとつ心当たりがあるが後述)。

「年末を過ぎて、とりあえず売った」のが真因

私は年頭に世界中に無数にあるファンドは(日本は3月末だが)12月の数字が良ければいいので、はっきりいうと自分の持ち株は売りたい。そこにいろんな云い訳が出来たのでとりあえず売ったのが、世界の株式市場が一斉に下げた真因と考えている。

私が以前から取り上げていたドイツ銀行問題は、近く2015年決算が巨大損失を出すことが明確。9月のドイツ総選挙まではツブすまい。メルケル首相の退陣後、だろう。

となると日経平均の株価収益率13倍台、騰落レシオ50%台で一応下げ止まり。安倍首相はこのままでは参院選(場合によってはダブル)を戦えないから、株価をはっきり言えば上げる戦略をとるだろう。

28,9日の日銀の政策会合後に追加金融緩和があるかも、26,7日に米FRBのFOMCがあるから後出しジャンケンだ。すでにECBマリオ・ドラギ総裁が3月の追加緩和を示唆して世界の株安を止めたが、黒田さんが続くか、どうか。

原油安で富が還流する

株は誰かが買わなければ上がらないが、GPIFの株式投資の自家運用が可能になる法案が近く提出される、とか。三つの共済組合も追随するだろう。

2017年3月期の企業収益も9カ月先行する交易条件から見て、必ず増益。ただ、円安はさほど期待できまい。

というのは、2016年は恐らく13兆円つまり消費税全収入に匹敵するプラス要因が日本経済には、ある。原油安だ。これまで資源国に移転されていた富が、日本に帰って来る。

最近月の輸入額は16%の減少、額にして1兆1000億円、年間13兆を超える。実質輸入は少額増だから、輸入減は原油を中心とした資源価格の低下が原因である。貿易収支の黒字転換が認識される日は近い。しかも年13兆という水準はバレル40ドル。その後とこれからを考えるともっと大きくなる。

それでも東京市場は上がる

私は「2016年はオリンピック特需、岩盤規制への『風穴』が開き、しかも原油安の効果が、明るい日本の好循環を始める」と主張してきた。

株価というものは下がっている間は何かわからない。悪い材料を予見しているのでは―と不安になる。しかし、NYが下がってもフランクフルトが下がっても、東京の株価は、上がる。映画の「鳥」はなぜかわからないが、日本の前途を不安がることは不要だろう。

 

映画「鳥」では母親と息子の恋人という関係も作品の軸だった。

ヒロインのティッピ・ヘドレンは出会ったばかりのロッド・テイラーを追って港町に来る。その町で母のジェシカ・タンディと昔の恋人スザンヌ・プレシェットに会う。母親は息子の恋人に対し常に冷たく、そのためプレシェットは別れた。母親は息子を失うのを恐れている。

しかし鳥の襲撃をきっかけに母親の気持ちはヒロインに接近する。母親が死んだ夫についてのセリフ。「彼は子供を理解して、子供の世界に入ることが出来た。それはめったにない才能なのよ」。私は才能はないが、大努力しているつもり。

米大統領選はヒラリー多難の出足

このブログを読む方は、私の、世界での変化に関する情報にも関心がある。

そこで、米国大統領選についての情報を。

2月1日のアイオワ州、2月9日のニューハンプシャー州の予備選挙が行われる。世論調査ではサンダース上院議員52%でヒラリー・クリントン39%で最有力の筈だったヒラリーは最初の2州で敗北らしい。情報でしょう?

理由は夫のビル・クリントンの不倫歴。それにベンガジゲート、Eメールゲートのむし返し。米議会下院ベンガジ特別委の報告書、私的Eメールで機密情報が漏れた容疑でのFBI告訴が懸念されている。15日公開の「サーティーン・アワーズ」という映画も。CIAのベンガジ警備担当者の書いた本を映画化したもの。まだ全米ではヒラリーはサンダース氏を組織と資金で圧倒しているが、多難な出足になることは間違いない。

ヒラリーは銀行中心にウォールストリートとの関係が深い。そこがサンダース陣営の攻撃の的。ひょっとするとー株安の真因???

映画「鳥」と世界的株価急落の分析(オマケ付き)(第810回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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