【初・中級者向き】映画「第三の男」と米朝首脳会談と三方一両トクの「落とし所」と原油価格・金利・株

 

2018・5・13

ご存知の名作中の名作で、グレアム・グリーンの原作をキャロル・リード監督が映画化。私はこの2週間、お子様向け映画を見る気がしなくて、DVDで好きな映画を観た。

西部劇小説の作家ホリー・マーティンスは、古くからの友人ハリー・ライムを訪ねて第二次大戦直後のウィーンにやってくる。しかしハリーは直前に交通事故で死んでいた。

ウィーンは米英仏ソ四か国の共同統治下にあったが、英国軍のキャロウェイ少佐はハリーは悪質なヤミ屋だったと告げる。怒ったホリーは友人の身のあかしをたてようと調べるうちに、不審な「第三の男」が浮かび上がる。

実はハリーは生きていた。水で薄めたペニシリンで荒稼ぎしていた。正義感とハリーの愛人だったアンナへの恋心から、ホリーはキャロウェイ少佐の指示で友人をおびき出すおとりになる。地下水道で追い詰める少佐、ハリーは手負いになりホリーに撃たれて死ぬ。

ハリーを埋葬した後、アンナは待ち受けるホリーを見向きもせず中央墓地の並木道を歩き去る。アントン・カラスのチターの音楽が素晴らしい。

後年、英国人の友達にこの映画の話をしたら、「あの作品には実に英国人らしいテーマがあるんだ」「何?」「平凡で二流の善人と、魅力的な悪人と、女性はどちらを選ぶか、さ」。

たしかに、オーソン・ウエルズ演じるハリー・ライムの方がジョセフ・コットンの二流小説家よりも魅力的でアリダ・ヴァリがホレるのも当然に見えた。

米朝中は三方一両得

いま、本来悪役なのに必死で善人ぶって演じているのが金正恩委員長。私は朝鮮日報で読んだが「4・27南北首脳会談に先立って、北朝鮮のハッカー組織ヒドウン・コブラが韓国消費社院などに大規模なハッキング攻撃を行っていた(5月8日付)」。南北首脳のあの親善ぶりの準備中だった。

この北朝鮮ハッカー組織は昨年5月に全世界で30万台のコンピューターを感染させた「wan naCry」事件を引き起こし、バングラデシュ中銀や米FRBへのハッキング攻撃も行っている。どこに「敵対的行為中断」の合意があるのか。

こういう相手だから、米国側も確かに準備おさおさ怠りないように見える。イラン核合意からの離脱表明は「非核化合意が不十分なら、米国は決して受け入れない」というメッセージだろうし、ポンペオ再訪朝も同じ文脈だ。「北」側も金委員長が早速大連に飛んで中国に援護射撃を頼んでいる。3人の解放も同じ。一枚のカードをすでに切らされている。

恐らく米国が北に要求するCVID(完全で、検証可能、しかも不可逆的な核兵器の廃絶)とミサイルの廃棄を中国を検証してもらう。そこいらを妥協点というか落としどころになって、中国軍が正式に駐留する形になる。これも私の想定だが、中国は在韓米軍(3万人弱)と同程度の軍隊を駐留させて均衡をとるのではないか。

 

金正恩としては自体制が維持できるし、習近平は「北」を支配することが出来て得点になる。トランプはトランプで、CVIDを通したのだからメンツが立つ。三方一両得、だ。

円借款に日本の重電が躍進

例によって「日本仲間外れ」説がそうなると出てきそうだが、全くそんなことはない。安倍さんがトランプにキチンと中国を含めた世界中の対「北」制裁を推進することの重要さを納得させたのが、今回の事態の始まりだ。このために「北」は手持ち通貨がほとんどゼロになり、の木炭自動車まで出現。和平姿勢に切り替えざるを得なくなった。

平和的な「次」の事態に変わったら、日本のカネを当てにせざるを得ない。かつての対韓国の場合は、円借款と有償合わせて5億ドルだったが、1960年代と現在ではおそらくケタが二つ、違うのではないか。

私は本モノの重電機は中国も韓国も作れないので、日立、三菱電機や部品もいいと予測する。円借款なんだから日本企業が有利に決まっている。

 

映画のセリフから。ハリー・ライムがいう。「ボルジア家の圧政と暗殺の時代にレオナルド・ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ひいてはルネサンスを生んだ。一方スイスは500年の平和と民主主義の成果は何だった?鳩時計だよ」。オーソン・ウエルズのアドリブらしいが。

 

オーソンの存在感は凄い。彼の出番はすべてさらってしまう。ジョセフ・コットンと乗った観覧車の中でいう。「誰も人類のことなんか考えてない。政府は人民と呼び、オレは野郎とかカモというが、結局同じことさ。」三人の首脳たちは、自分の国の中間選挙や国内の体制固め、それに自分の首が斬られないよう、それぞれの理由で動いている。人類とか世界とかという言葉は頭の中にないようだ。

原油高の理由は「飛ばし」

1週お休みしたので、サービスに原油高と、つれ高して3%を超えた米国長期金利について一言しよう。

結論。OPEC、とくにサウジやUAE、クウエートが、在庫を「表面上」少なく見せるため、タンカーに積んで隠す「飛ばし」が行われている。

数字で示すと、昨年1月には3億4000万バレルあった原油在庫はわずか1年間で1500万バレルに減少した。原油価格が15%上昇した背景になった。

この数字の意味について述べよう。昨年1月の在庫はOPEC生産の10・6年。現在発表されている1500万バレルはOPEC月間生産量の47%に過ぎない。

本当にそんなに劇的に在庫が減少したかというと疑わしい。原油をタンカーに積んで「飛ばし」ているからだ。

衛星で見た世界のタンカー係留隻数は中東海域で2月の204隻が4月末には278隻に74隻も増えている。米国は1隻、上海で10隻、欧米1隻、ナイジェリア3隻の増加だから犯人は明らかだ。

1隻当たり9万7000トンとすると飛ばし在庫は6838万バレル。コストはバレル54ドル程度だから、含み益はバレル14、5ドルで、在庫飛ばし3か国は30億ドルを超える利益が出た。

もちろん原油価格高は①米国と連合国のシリア空爆②米国の対サウジ核リアクターの技術供与③米サウジの動きに刺激された異端の核開発再開。それに④トランプ政権のイラン制裁離脱も中東不安材料として買い材料となったのは確かである。

原油安で日本株は再び買い

しかし2月16日以降の原油価格上昇の主因がOPECの在庫急減ニュースだっただけに、きわめて怪しげな「砂の城」のように見える。トランプ大統領にこの事実をツィッターで激しく糾弾して、いったん原油高=長期金利上昇は足止めされたが、ここ、2,3日再びともに、上昇に転じた。NYダウは上伸したが、これは反落を予想しているからだろう。

日本株式市場はSQもあるが、この原油高をまともに受けて強含み横這いでの推移となった。原油高と政治不安を理由にしているが、これはほぐれ始めるだろう。私は強気姿勢を変えていない。原油安が再び日本株買い材料になる日は近い。

もうひとつ。柳瀬喚問で漸く国会が動き出したのは大きい。外国人投資家は長期安定政権に不安が出たここ半年間日本株を売っている。柳瀬氏は追及を切り抜けている。これも6兆円の先物売りの買い戻しの材料になるだろう。

もうひとつ、ある大材料があるのだが、それはナイショ、来週以降に。

最後にお詫びしなければ。先週予告なしでお休みして、ファンの方からどうしたんですか?とお問い合わせがあり、恐縮しました。私は元気です。

映画「第三の男」と米朝首脳会談と三方一両トクの「落とし所」と原油価格・金利・株(第908回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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