映画「真実」と私がV字型上昇と信じる理由(第982回)

公開日: : 最終更新日:2019/10/15 マーケットEye, 中級, 初級, 無料記事 ,

万引き家族」の是枝裕和監督の第76回ベネッイア国際映画祭のオープニング作品として出品した新作。主演にカトリーヌ・ドヌーヴ、助演にジュリエット・ビノシュとイーサン・ホーク。この芸達者ぞろいで、見ごたえのある作品になった。私は試写会で観たが、周囲でも高い評価の声が多かった。

 映画のテーマは、国民的大女優という虚像になってきた主人公にとり、事実よりイメージの方が重要で、その方が彼女にとっての「真実」という事実である。

 大女優役のカトリーヌ・ドヌーヴにあてて書かれたシナリオなのだろう。8年を超えた構想と聞くが、さもありなん、だ。

 自伝「真実」を出版まじかの大女優のパリの屋敷に、娘夫婦と孫娘が米国からやってきた。娘は「原稿を送ってくれるはずだったが届かなかった」と文句を言うと「送ったわよ」と母は平気で嘘をつく。内容が嘘だらけで、生きている元夫が死んだとか、娘の学校への送り迎えをしていたとか、事実に反することばかり。娘は、「この本のどこに本当のことがあるの?」と噛みつくが「事実なんて退屈だわ」と平然と受け流す。ライバルで親友だったサラという女優の死も一言も書かれていないのが、娘は納得がいかない。最後は母娘の和解で、ジ・エンドだが。

 今の株式市場は、虚像と真実がないまぜになっているように、私には感じられる。

まず絶え間なく続いている外人売り。主力の米系ヘッジファンドのロンドン駐在の運用担当者にその背景を聞くと「中国、香港、日本」の三か国はワンセットで投資比重を下げている、と。

 対中国の関税戦争は一時休戦になったのではないのか、と聞くと「貿易交渉のヤマは越えたかもしれないが、あくまでも一時的。関税による制裁が止むことはないだろう。現在は知的財産権や香港の自治問題が重視されているのはご存知の通りだが、これで米国側が満足することはまず、あり得ない。」

 「香港人権民主法」は近く成立しそうだが、香港を統治する中国政府に対する優遇、在香港の中国系企業に対する対米輸出優遇税制はすべて撤廃。香港の株式、不動産は暴落。もちろん中国本土株、日本株にも波及する」。なるほど、このストーリーでは本格的日本株買いはなかなか再開されないと思われる。

 一言で言うならば、「香港ショック」を期待しての日本株売り。ただ、例によって「ウワサで売り、現実化したら買い」の作戦になるに違いない。

 そう考えられる根拠は、将来の反対売買を伴う「仮需」が、デモが激化した8月以降、経験的にあり得ないほど。異常な状況にあるからだ。

 まず裁定取引。通常は「先物売り・現物買い」のセットだが、今回は「先物買い・現物売り」が、記録的な水準で、しかも三か月も続いている。

 9月6日に史上最高最高水準の2兆円を突破した裁定売り残は、その後も1兆円台後半で推移している。前記したマネジャーたちは、どうもポジション・トークを(珍しく)私に述べたと思われる。株価が大幅下落を遂げた後、底値圏を滞留して、まだ買い戻しに至っていないからだ。明らかに下値が欲しい状況なのだろう。

 信用取引の方も同様で、異常な状態が続いている。買い残は2兆円近辺で3年ぶりの低水準。一方、売り残はリーマン・ショック以来の高水準。売り残を分母に買い残を分子にした信用倍率は1・8倍と東日本大震災翌年、民主党政権という日本の暗黒期以来の低水準だ。

 つまり、積みあがった低需全体の売り残はマイナス、つまり売り持ちになっており、いずれ必ず買い戻さなけれならない。

 従って、ヘッジファンドの一部が期待する「香港ショック」にせよ「ドイツ銀行ショック」にせよ、あるいは「合意なき離脱ショック」にしても下値は知れている。また反発がV字型になるであることも容易に推定できる。

 先日私のボイスメッセージの「今井澂の相場ウラ読み」に質問が入り、下げ相場では「落ちてくるナイフを手で掴むな」という格言があるが。10月末の急落に適用できますか?との内容だ。

 私が今回提唱する日経ブル2倍投信の買い増し買い下り作戦が大丈夫か?との意味だろうが、私は買戻しによる「V字型回復が見込める環境なので、この作戦は十分有効です、とお答えした。私は強気です。

  映画のセリフから。孫娘が祖母の大女優に言う。「私の願いを魔法を使って叶えてくれる?」[どんなお願いなの?」「女優」私の孫だよ。魔法を使わなくても大丈夫!」「もう一つお願いがあるの。おばあちゃんに宇宙船に乗ってもらいたいの」「宇宙船?」「そう。宇宙船に乗って私が女優になったところを空の上から見守ってほしいの」実はこのやり取りは大女優の娘つまり孫娘の母親の作戦。ポジション・トークに騙されないようにご用心を。

 最後になりましたが、今回の台風19号の被害にあわれた方々にお見舞いを申し上げます。とくに台風15号の被害からまだ回復されていない所に再び打撃を受けられた方々には、一日も早く、もとの生活への本復を祈っております。頑張ってください!

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