ミュージカル「ラ・マンチャの男」と日経平均の底値と反転とそれぞれの目標値(第983回)
このミュージカルは松本白鴎丈が染五郎、幸四郎時代から、私は5,6回観て
いる。一回はアムステルダムの国立劇場で、ブロードウエイからの派遣スタッ
フによる上演だった。
とにかくこの作品のテーマである「見果てぬ夢
(The Impossible Dream)」が素晴らしくいつでも元気をもらえ
る。あとタイトル曲の「われこそドン・キホーテ」もいい。
曲だけではない。脚本も素晴らしい。ディル・ワッサーマンの作で、セルバ
ンテスが小説「ドン・キホーテ」を着想したのはセビリアで入牢している時だ
ったという事実をもとにしている。
このミュージカルは多重構造になっている。作者セルバンテスと牢獄の囚人
たちの「現実」、作者と囚人たちが演じる劇中劇での田舎郷士アロンソ・キハ
ーナの「「現実」、そしてそのアロンソの「妄想」としての騎士ドン・キホー
テ。
ドラマの最後に田舎郷士アロンソとして死にかけていたが、従者や宿の下働
き女などが駆け込んで元気を出し、ドン・キホーテとして死ぬ。
私のブログの愛読者からご存知と思うが、私は今月24日が買い場になるとい
う予測を何回も申し上げている。その前に(暗黙のうちに)下げがあるという
前提があるのだが、10月1,2日のNYダウ900ドルの下げにお付き合いして
、2,3日に合わせて4540円の下落があったが、18日に2万2492円と、年初から
ざっと1000円上昇している。
材料面では10月10,11日の米中閣僚級協議でごく一部にせよ合意に達したこ
とが素直に好感されたこと。日経平均については円安でプラスしたと思われる
。
私は来週から今回の上昇の過熱感の訂正が始まると観ている。理由は次の通
り。
1 10月18日は一時200円高だったが、2万2500のカベ(コールオプション取引
権玉3万3000枚)に跳ね返され、結局40円高が終わった。
2 騰落レシオが一般に言われて買われすぎの120%を超えた。24日移動平
均は16日に129%、18日でも125%、調整安が今週発生しても少しもおか
しくない。
3 日経平均のチャートを見ると、上昇過程で三つのマドが空いている。上げ
相場の中のマドは、その後株価は反落し、マドを埋める動きになりやすい
。仮に三つのマドをすべて埋めるとなると、日経平均は2万1600円まで下落
してもおかしくない。
4 これまでの上昇は、ヘッジファンドなどの買戻しが中心であること。
一方、底値が付いた後の上昇を私が確実と考える理由は次の通り。
昨年1月以降の日経平均の調整期間はすでに22カ月経過しおり、ダメ押しがあ
れば価格面の調整が一巡し、明年以降再び長期上昇基調への転換が期待できる
。
材料面では、以前から私が予想している超長期の建設(投資)国債の発行を
財源としての大型補正予算。これは生保がイヤがっているらしいので、日銀が中
心となって引き受けすればいい。
外国人とくにヘッジファンドは、米民主党のエリザベス・ウオーレン候補の
台頭による反ウォール・ストリート、反富裕層、反IT巨大企業に恐れをなし
ている。ウォーレン大統領になれば、25%はダウ平均が下落するという予測
が流れているそうな。そこに16日の9月米小売売上高が予想の前月比0・2%増
加が現実には同0・3%減少となり、そこで7~9月期と10~12月期GDP成
長率が1%台半ばに落ち込むとの予想が多くなった。
NYがこの状況ならば、日本もダメと誰でも考える。しかし超長期債による
不況の深刻化防止が行えるという条件付きだが、かなりな上昇を私は見こんで
いる。具体的な数字の「当たり屋」のご意見を紹介しよう。
テクニカル・アナリストの「当たり屋」の三菱UFJモルガンスタンレー証
券の宮田直彦さんは「重要なフシ目を抜いた」として「当面2万3525円を目指
す」と10月17日付のレポートで述べている。
宮田さんは「10月16日に10か月半ぶりの高値を付けて、重要なカベでありネ
ックラインの2万2347円を抜いた。(中略)これでターゲット2万3525円で、
順当にいけば11月中に達成。今年度中には昨年の高値2万4448円試す展開もあ
り得よう」と述べている。
私の目先の調整説と違うが、高値の目標としては私の想定とほとんど変わり
ないので、引用させていただいた。
宮田さんも私も「見果てぬ夢」を見ているのだろうか。私はそうは思わない
。内外の投資家の日本株に対する期待値が極端に低い現在、私も宮田さんも「
長期的な投資の好時期到来」と考えているだけである。
確かに裁定残が売り越しになること自体が異常事態である。詳しくは別の機
会にゆずるが、9月に過去最大の売り越しになったことにはもっと注目されて
いい。かつての1ドル50円説や、日経平均5000円説と同じではないか。
「見果てぬ夢」の歌詞だ。
「夢はみのりがたく 敵はあまたなりとも 胸に悲しみを秘めて 我は勇み
て行かん(中略)これこそわが宿命(さだめ)」。そう、私の生きがいこそが
、市場の「予測」という大変な難事業なのです。
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