宮本武蔵「五輪書」と今回の「ド」を予感した背景と 来週以降の株価の反発。私の強気(第1072回)
「五輪書」は宮本武蔵の書いた兵法書。地水火風空の五巻から成り立っている。この書の目的は実戦に役立つ兵法の伝授。
すでに三十年間戦闘はなく、剣術の稽古は道場でのみ。武蔵は合戦を知る最後の世代として、後世に自分の経験を残そうとしたのである。
今の相場と一般の認識と似ている。理由を述べる。
五十、六十代のリーダーたちは負け戦つまり下げ相場しか知らない。長期上昇相場を知っている86歳の私としては、この大相場を広く知らせるために、毎週強気を主張している。
先週のブログとウラ読みで、私のいつもの強気をウラハラに、やや弱気と見られる内容を表明した。
早速、読者から反応があった。「久しぶりの弱気」「長期での強気に変化はないか?」
答えは。ともに「イエス」です。
では、なぜ?
40年間相場取り組んできたすストラテジストとしては、何となく「ドカン」でなく「ド」か「ドカ」がありそうな場合、予感があることがある。実は7月中~下旬の弱持ち合い相場の目先の終わりに「ド」が来る気がしていた。しかし理由は判然としなかった。
プラザ投資顧問の伊東秀広さんが「香港のハンセン指数が暴落してます」と教えてくれた。イマイチ、日本株への直接の関連が分からなかったので、不安材料を七つ並べた。
「結果オーライ」となった。7月5日までの2万8578円から、7月9日の2万7949円まで下げた。「ド」が発生した。
早速、来週は反発局面が期待できますよと、連絡を寄せてくれたのは、いちよし証券の高橋幸洋さんである。
「200移動平均を下値支持線と見ていたが、(7月9日の)ザラ場では割り込んだ。しかし乖離率が1%を超えた例から見て、調整期間は極めて短期に終ろうとしている。従って、反発局面に入る可能性が高くなった。
また東証一部の騰落レシオ(25日移動平均)が48・15%と21年5月13日の78・86%に接近している。
つぎに空売り比率。48・25%と経験的に反発がはじまる50%ラインに接近している。」なるほど。
しかし、当面の上昇目標を私は低めの3万円未満に置く。
理由はカンタン。明年4月の証券市場再編による需給の緩和が上値を抑えるからだ。
例を挙げる。東証一部からプライム市場に上場するには、流通株式比率
を35%以上にする必要がある。
日経225種のうち10・46%を占めるファーストリテイリングと1・61%を占める中外製薬が除外される可能性がある。(個人投資家協会 木村喜由さんによる)
前社の場合は、柳井氏一族と関係会社が5150万株、日本銀行がETF経
由で2100万株を保有。これだけで68・4%になる。
後者の場合は親会社のロシユが59・8%、日本銀行が6~7%。
ファーストリテイリング、中外製薬ともに記述した大株主以外にも固定株主は多いので、両社株が下落しやすくなっている。両社で日経平均の六分の一を占めるので、日経平均全体の上値は限定的だろう。他の銘柄も、現時点では安値が望ましいと考えていよう。
しかし、来年4月から証券市場が、新体制になればいっぺんに全上場企業は上値を求め始めるだろう。
明年はコロナ・ショックの打撃から回復し、ペントアップデマンド(22兆ある)が開花。成長率は上昇。現時点での日経平均の一株当たり利益は、2000円以上。
22年3月期のPERは14倍と割安。買い一本で報われるだろう。
結論。私の強気は変わらない。
武蔵の名言でこのブログをシメる。
「我、事において後悔せず。」
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