嶋中雄二さんの「2023年から2025年のゴールデンサイクル」説2023・1・22(第1155回)

公開日: : 最終更新日:2023/01/23 マーケットEye, 中級, 初級, 無料記事 ,

嶋中雄二さんの「2023年から2025年のゴールデンサイクル」説

そして2050年のインドの覇権

2023・1・22 (第1155回)

私は嶋中さんを日本一の景気循環論学者と考えている。リーマンショック時の景気回復の予想的中など、山のように成功例を持つ人だ。

この嶋中さんが「今年、日本は明治以来6回目のゴールデンサイクルに入った」と述べている。

ダイアグラム

自動的に生成された説明
ダイアグラム が含まれている画像

自動的に生成された説明

確かに、チャートが示す通り、2023年は短期・中期・長期・超長期の4つの波が上昇期に入る。

これ迄の5回は、①1904〜5年 ②57年 ③60〜61年 ④67〜68年の5回ある。(チャートは省略)

私がこの人はすごいと感ずるのは、景気だけでなく、スケールの大きい「世界の覇権サイクル」を見ていることだ。

日本だけという狭い見方じゃない。

覇権サイクルは次の通り。

ポルトガル・サイクル ①1430〜1460 ②1494〜1516 

収益の中心は ①ギニア・金 ②インド・コショウ

(①と②はスタートアップ時期)

オランダ・サイクル ①1540~1560 ②1580~1609

収益の中心 ①バルチック・アトランチック貿易 ②米国・アジア貿易

(やはりオランダに貿易独占権を与えた徳川幕府はすごかった)

第1次英国サイクル ①1640〜1660 ②1688〜1713

収益の中心 ①米国・アジア貿易(砂糖) ②米国・アジア貿易

第2次英国サイクル ①1740〜1763 ②1792〜1815

収益の中心 ①綿・銀 ②鉄道(蒸気)

米国サイクル ①1850〜1875

収益の中心 ①鉄鋼・化学 ②自動車、航空機、電子機器

そして現在。米国の覇権を追って中国が新冷戦を戦っている。

私は1980〜90年代。最重要物資だった半導体で日本が世界の80%近くをためたとき、また米国を追って、エズラ・ボーグルの「ジャパン・アズ・ナンバーワン」がベストセラーになったとき、もし軍事力があれば世界の覇権を扱ったかもしれないと思うのだが、国の中に基地があり非武装の我が国は、あっという間に抑え込まれた。

いま日本の半導体のシェアは5%に過ぎない。

私が犯人の1人かもしれない。NYの全米アナリスト協会で日本人として初めてスピーチした時の話。

半導体について質問があり、私は「We have won!」とやっちゃった。下院議員が数人いてこれをきいて頭にきたとかそりゃそうだろう。その後、東芝のラジカセを叩き壊すとか酷い扱いになっちゃった。

私はクビをすくめていただけだった。実は私は「戦犯」の1人、である。

さて、現在の米中はどうか。

私は中国の人口減、それに独裁体制の持つ欠点を習近平が聞く体制を持っている形跡がなく、また経済がわかる人は「新チャイナ・セブン」の中にいない、そこに不動産バブルの崩壊。

今から10年がせいぜいピークに思う。

代わりに私はインドが少なくとも世界のリーダーシップを獲るんじゃないかと思う。

ダイアグラム

自動的に生成された説明
グラフ, 折れ線グラフ

自動的に生成された説明

人口が中国を抜く、だけじゃない。すでに成長率で中国よりインドの方がずっと高い。

特に数字に強く(ゼロの発見)、デジタル領域で優れた能力を発揮している。

ごくごく一例。

2009年ごろから国民全体に生体認証付きIDを付与する国民的プロジェクトを行なってきた。すでに9割を超える国民がこれをもつ。

その結果、金融機関の口座を持つスピードが速い。

人口の半数が銀行口座のデジタルIDを所持している。

世界の工場よりも、「世界の頭脳」になるのではないか。

最後に。

嶋中さんは終わりの時期を、資料では2026年としている。

次に会ったとき聞くつもりだ。

関連記事

今井澈のシネマノミクス

映画「カツベン!」と、トランプ→ペンスの政変と株(第991回)

周防正行監督の5年ぶりの新作。100年前の「映画」、じゃなく「活動写真」。白黒の無声映画だが、ナマ

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「眼下の敵」と米・中・朝のカード切り合い

  2018・5・27 今どきは新作のいいのが少ない。「狐狼の血」はガッカリだ

記事を読む

投資の羅針盤
国民皆保険の徹底を
企業にも医療保険の提供を義務付けるべき

日本個人投資家協会副理事長 岡部陽二 今回は医療保険(健康保険)制度の問題点をテーマとして採りあげ

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「サタデー・ナイト・フィーバー」と12月上旬に襲うNY市場の「ド」か「ドカ」(第1088回)

いまから45~6年前のディスコ全盛時代の火付役の映画。主役のジョン・トラヴォルタはこれでスターにな

記事を読む

伊藤稔副理事長のコラムが5月11日の日経新聞に掲載されました

『日本経済新聞』2016年5月11日の夕刊に、日本個人投資家協会の伊藤稔副理事長がコラム「十字路」で

記事を読む

PAGE TOP ↑