映画「マネーボール」と日銀保有のETF処理と資産所得倍増プランの行く末。投資作戦のベター(?)な案

2024・5・19(第1225回)

ソニーピクチャーズのサイトより>

ブラッド・ピットの代表作のひとつ。2011年に公開され、7部門でアカデミー賞にノミネートされた。万年ビリっかすで貧乏球団のオークランド・アスレチックスが舞台。赤字経営に耐え切れず主力3選手を放出。イエール大卒で期待されながら芽が出なかったブラピがGMになる。

同じイエール大卒の後輩が創業した「サイバー・メトリックス」を使って、カネの出ない貧乏球団がいかにしてワールドシリーズで勝ったかを画く。

「オレたち(観衆)は今のお前のプレーにカネを払ってるんだ!(これ迄の球団経営者は)選手にいいのを揃えれば勝つと思っている。しかし「選手」じゃあない「勝利」にカネを払っているんだ!」

従って打率よりも出塁率、ヒットでなく、四死球でも相手方のエラーでも、ともかくアウトにならなければ、試合は負けない。

このアスレチックス方式が一世を風靡したというから、世の中面白い。

一見、地味だが動向を決めると、国策の反映として重視されること必至なのが、日銀が市場から購入するETFである。去る3月に止めたが、保有額74兆円、含み益32兆円という巨大ファンド。外国人機関投資家たちが、いまの日経平均は4万4000円(4万3000円説もないではない)日銀のETF買いによってカサ上げされている、と口を揃えて言う。

ところで市場では、3月に入って急増した外国人と個人投資家の買いを注目している。

(単位:兆円)

 外国人個人
2023年11月マイナス494マイナス404
同 12月プラス2069マイナス937
2024年1月プラス972マイナス273
同 2月プラス972マイナス271
同 3月プラス88872プラス821

2023年1月2024年3月迄、海外機関投資家は62兆5500億円、一方、個人は33兆円の売り越しである。

3月にETF買いは止められたが、個人投資家の方は3月に入り買い越しで3万8000円近辺を維持している。今後どうなるのか。

先週、大和証券の木野内栄治さんの「従業員持株制度を利用せよ」というご意見をとり上げたところ、意外に反響があった。そこで調べたら、2つ有力なご意見があった。

第1が2022年6月17日の野村総研・竹端克利さんの「資産所得倍増プランの日銀ETFの活用を」である。第2は日経ヴェリタス2024年4月28日付「日銀の株ETFを未来志向の投資へ」である。

順に骨子をご紹介してゆこう。

第1のご意見は「政府が日銀ETFの一部を買い取った上で、若年世代に毎年少しずつ、無償で配布する」というもの。

目的は、日本の証券保有の裾野(人数)を拡げることとある。たとえば18才が、27までの間、毎年1回あたり5000円、10年で5万円配賦してもらう。10年目以降は600億円分配金利回りを2.5%とすると、最大支出15億円となる。

金融機関に持ち込めば、ETFと交換できる「引換券」を配る。竹端さんはこのETFを、新NISAやiDeCoの拡充につづく「第3の柱」として行うべきだ、という。

次いで日経ヴェリタスでの渋沢健さんのご意見はこうだ。

「政府は特別基金を設置し日銀から株式ETFを引き受け、基金が発行する(変動金利の)永久債を日銀が引き受ける。リスク資産をオフバランス化する。」

「特別基金が永久に株式ETFを保有することになり、市場の需給バランスが崩れる不安がなくなる。」

「有識者委員会が運営をファンドマネジャーに委託し、基金の運用に当てる。70兆円に対し1~2%配当なら約1兆円の財源が生じる」

「拠出先はGX(グリーントランスフォーメーション)ソリューション、教育などの未来志向の投資に当てる」

私なりの第3案を。含み益資金を含有したパッケージ商品をつくる。1口10万円か(月掛けを考慮する)12万円。最低5年間売却しないという誓約書を入れる。これに抽選で月間5000億円ていど政府、日銀は売却する。30兆円を超える含み益のある証券は魅力的だ。いっぺんに証券立国が定着する。

これに第1のプランである「18~27才」を入れる。チャートで最低の層が富むことは、一挙に証券リテラシーを上昇させる。

いいことばかり、と私は考える。

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