映画「マネーモンスター」とソロスと習近平とトランプ

 

2016・5・29

「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターが監督し、ジュリア・ロバーツとジョージ・クルーニ―が主演するサスペンス。6月10日公開予定。試写で観た。

マネーモンスター

舞台は大手TV局のスタジオで全米高視聴率の財テク番組「マネーモンスター」(ディレクターはジュリア・ロバーツ)を生放送中。番組のセットに暴漢が侵入し、司会者リー(ジョージ・クルーニー)にピストルを突き付け体に起爆装置を巻きつける。この犯人は番組で推奨していた銘柄を投資して全財産を失った。時価総額下落分6億ドルを用意しろと―。犯人は株急落のからくりを世間に暴露するのが真の目的だった。

ここから話は急展開、ネタバレしたくないからやめるが、犯人を狙う警察の狙撃手がうつかどうかがスリルあるカギになる。不安とサスペンスが続く。

ソロスの売りと買い

不安材料はヤマのようにある。文字通り世界中に。

先週、ソロス・ファンドの1~3月期の投資実績が発表された。金のETFの買いオプション、世界最大の産金鉱山株バリック・ゴールドの株購入が話題になった。

私はS&P500の売りオプションの量を倍増させたことを注目している。間違いなく、2月のダボス会議での「中国経済のハードランディング」発言が背景にある。

加えて5月9日の人民日報に掲載された習近平主席又は非常に近い人物(ブレーンの劉鶴氏)による李克強首相や国務院、地方政府、中国人民銀行への批判記事がある。1、2ページのほとんどを割き、記者の対談相手は「権威人士」、これは毛沢東が使ったペンネームだった。習近平本人の指示でなければ人民日報にこんな扱いはしない。

本当に習近平が権力を握り、個人崇拝に近いほど大切にされているなら、こんなことはするはずがない。50年前の毛沢東が文化大革命で、劉少奇やトウ小平を失脚させ権力を再び握った事態を思い出させる。

リスクは中国ショックとトランプ大統領

これまでは中国経済指標や過剰債務、国外への人民元流出に一喜一憂していたが、共産党内部の権力闘争がこれに加わった。しかもこの動向は外部からはうかがい知れない。中国発の世界への巨大なショックのリスクは高まっている。ソロスが売るわけだ。

今週は大ビックリだ。カネを賭けているWEBサイトのベットは5月25日まではトランプ必敗。ところが26日に米国務省監察官の報告書が公開され、ヒラリーを厳しく批判し、逆転してしまった!

ただ内容をよく読むと、個人メールばかりを使っていたのはヒラリーだけでなく、コリン・バウエル元国務長官もやっていた―とか。批判ははげしくない(WSJ5月26日)。

よく分からない。5月7日付でCNNがFBI高官の話として「ノー・クリミナル・ロングドゥイング」と結論付けたのが記憶に残っているからだ。しかしこれでトランプ大統領の悪夢は否定しがたい。そうなれば大変だ。米国孤立主義がとられて親米国の国がみんな打撃を受ける。たとえばNAFTA参加国のメキシコとカナダ。TPPもダメになる。瞬間私は円高を連想した。

6月1日に何を言う

伊勢志摩サミットは大方の予想通りG7の合意は得られず玉虫色の声明だけ。

となるとイマイチな日本の景気に絞られる。強気の野村証券でも2016年度はプラス0・7%と3月比0・1%減額修正。まあ財政出動と日銀の追加緩和の催促となる。BREXIT、米国利上げ、それに中国と消費税。放っておいたら景気指標は悪化、外国人投資家の日本離れは加速する。6月1日に安倍首相がどんな声明を出すか。

たよりは株式市場の古い言い伝え「閑散に売りなし」。1日の出来高が2兆円を下回って久しい。下値の方は1万6500円。上値は1万6800円でここが抜けない。何か材料が出て壁を抜けるとスッと1万8000円ぐらいに行くのだが、やはり中国リスクとトランプ・リスクが頭を押さえているのか。

私は大型補正と財投債や永久債(アベノミクスの限界が言われてしまうので、総選挙後)を期待するが。安倍首相の決断次第だ。

内閣支持率+政党支持率の「青木比率」でみると、安倍政権は圧勝しないがそこそこの価値は固い。

2016年という年。いろんな意味で大きな転換点に立っている気がする。

 

映画ではマネー番組らしく司会者はいろんな教訓を言う。「株は需給で価格が決まる」「儲けたければ、他の人より早く動くのが秘訣だ」「金だけを信じろ。人を信じちゃダメだ」。流れが変わったら素早く乗りたい。

先日ご紹介した6月5日(日)の講演会は定員を早々とオーバー!ありがとうございます。

映画「マネーモンスター」とソロスと習近平とトランプ (第828回)

 

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