【初・中級者向き】映画「ハドソン川の奇跡」とトランプ・ショック
公開日:
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マーケットEye 今井澂, 今井澂のシネマノミクス
2016・10・23
監督クリント・イーストウッド、主演トム・ハンクスの組み合わせならハズれはない。恐らく今年のベスト5に入る佳作だ。

NYラ・ガーディア空港を飛び立ったUSエア1549便が離陸直後に、鳥の群れが双発エンジン両方に飛び込み航行は不可能に。そこで機長サレンバーガー(愛称サリー、トム・ハンクス)はとっさの判断で、もう近くの空港に着陸するのは不可能とみてハドソン川に着水。乗客乗務員合わせて155人は全員無事に助かった。
ところがこの英雄的行為が危険すぎた操縦だったのではないか、と航空事故調査委員会はサリーに追及を始める。「当日飲酒していたか?」「家庭でケンカしたか?」等々。質問ひとつにしても「どのように機体は『墜落』したのか?」これに対して「墜落ではありません『着水』でした」と何回も反論しなければならなかった。そこに左のエンジンは鳥の死体で完全に停止していなかったのでは、という疑いも出て、サリーは苦境におちいってしまう。
トランプ勝利の「大魔王」
いまの世界情勢は、双発の航空機のエンジンに鳥が飛び込んで止った状況に似ている。いつ、何が起きるか分からない。私がこのブログでよく使う「大魔王」である。ブラックスワンと呼んでもいい。
いつ、大魔王が来るか、それが読めれば苦労はいらない。一つの方法として、いろんな分野での達人に話を伺うことにしている。もちろん私なりによくソシャクして、おなかに落ちて自分の決断として結論を出すのだが。
目先はほんの、2週間に迫った米国大統領選で、意外や意外、ドナルド・トランプが大統領になるショックだろう。日本株は20日に1万7000円の大台を抜いたが、これはクリントン確実、とベットで出たカネが動いた、との情報。別に新しくもないが、ここ何週間も持合いでエネルギーがたまっていたのだろう。その割には円安の幅は大したことはなかったが。
BREXITの時に似て、ヒラリー有利は「もう確実」に変わっている。90%以上のマスコミはヒラリーの見方だし、州ごとの選挙人予想でも(例クック・ポリティカル)はヒラリー272人、トランプ197人で残る69人を全部とってもトランプの敗け。また3回のTV討論でもCNNによると勝敗は明白だ。
BREXIT並みの急落か
それだけに、万一トランプ勝利となれば大変。BREXITの時の6月24日(1万6389円→1万4864円)の1500円の急落が11月8日(日本時間9日)に発生するかも。可能性としては30%あるか、ないかだが。私はヘソ曲がりだし、米国でピーター・ディールがトランプに献金した、とか。この人はすごい予知能力を持っているベンチャーキャピタリストで有名だ。
下げはチャンス
日柄から言っても11月始めは急落の危険がある、と言っているのが、伊東秀広さん。私が信頼する下げ予想にツヨいテクニカル・アナリストだ。
伊東さんは「ヒラリーもトランプも不人気。しかし米国人に聞くと、最高裁の判事は民主党だとリベラルを選ぶ。しかし人工中絶や同性結婚など本来の米国人はイヤなので容認する立場のリベラルにつながるヒラリーに投票しない」と言っている。伊東さんがトランプ、と見ている背景だ。
では、かりに下げがあったら―。私は下げ幅次第だがもちろん勝負に出る。キャッシュ・ポジションはそのために高めてあったのだし、値がさ株での大きく値下がりはチャンスだ。もし、なかったらー、いぜん慎重な作戦を継続する。
日本の時代が来る
私は大きく下げた後、長期で大きなスケールの上昇を予想しているのは、まったく変わりない。前記したように空売り比率は過去最高水準だし、裁定買い残シェアはこれまた過去最少(9月9日に0・07%)で、弱気派が多数ななかで、日本株の上昇エネルギーは高まっている。そんな短期の動きで見ないで、日本の金融力が世界でただ一国伸びている現実を見るだけで「日本の時代」に入りかけていることがわかる。ここいらは近く刊行される新著をご覧ください。
トランプは中国を封じ込める
さて、今回は「トランプが本当に米国大統領になったら、NYと日本の株、為替(ドル円)はどうなるか」を万一のためにまとめておきたい(ムダになることを願うが。)
市場についてより、日本人として気になる中国の尖閣侵略時の米軍の行動。大統領が動く気がない場合でも、中国の高官が米国内に持つ資産を差し押さえしたり、ロサンゼルスにある「お妾さん村」の住民を公表したり、これは簡単にできる。中国からのサイバー攻撃するゾというおどしを押さえ込む。中国共産党の内部はガタガタになる。中国の攻撃は終わるにちがいない。
トランプでドル安円高、株安も長期停滞を脱する
トランプの財政政策はとりあえずドル安、円高。株は安い。
ただこの人の経済政策は1980年のロナルド・レーガンのレーガノミクスに似ている。インフラ整備や防衛関連支出の増大と法人税、所得税の減税は強力な「ケインズ効果」をもたらす。(このことは安達誠司さんも指摘している)。
TPP反対なので保護貿易主義者というレッテルが張られているが、NAFTA重視、WTO中心の自由貿易を維持する、としている。クリントン政策より長期停滞を脱するには、トランプの方が有効だ。
買われる株、攻撃される業界
トランプ大統領なら、同氏支持を続けてきたコンチネンタル・リソーシズ、ボルナド・リアルティ、ニューコア。どの経営者もトランプの経済アドバイザーだ。株は買われるだろう。
半面、税法でいじめられるヘッジファンドは手痛い打撃を受けるし、マスコミ、とくにアマゾン(傘下にワシントン・ポスト紙を保有)、NYタイムスにも攻撃があろう。
映画のセリフから。サリー機長が言う。
「208秒の間に決断した。これが40年間の私の経歴をポシャらせるなんて」。
結局は左のエンジンが操作不能、近くの空港への着陸も時間的に無理、と分かって犯人扱いから英雄に戻るのだが。トランプ、このメチャメチャな自己顕示欲満々の男は、英雄になれるのだろうか。
映画「ハドソン川の奇跡」とトランプ・ショック(第849回)
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